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Lofree「FLOW Lite」は滑らかタッチとコスパに優れる大注目のメカニカルキーボード

ITmedia PC USER 2024年9月12日 12時5分

 キーボードにこだわりを持つユーザーから熱視線を集めているLofree(ロフリー)は、優れたデザインと同時に、良質な操作感が評価されている周辺機器メーカーです。PC USERでもこれまでさまざまな製品のレビューをお届けしてきましたが、9月19日(米国時間)に同ブランドから待望の新製品が登場します。

 それが「FLOW Lite」です。このモデルは柔らかくも着実なキー入力を好むユーザーの心を(価格的にも)わしづかみにする魅力があるロープロファイルの薄型キーボードです。

●キータッチの軽さからネーミングされたであろう「Lite」という名称

 2023年にクラウドファンディングが実施され、日本でもLofreeの名が広がるキッカケとなった「FLOW」というキーボードがあります。ロープロファイルで持ち運びもしやすい薄くありながら、メカニカルキースイッチの採用によって“コトコト系”の優れたキータッチを実現しており、高い評価を集めました。

 そのバリエーションモデルとなるのが、今回取り上げる新型のFLOW Liteです。

 従来のFLOWは、アルミ素材のケースが使われ、キートップバックライトやサイドライトなどの機構も組み込まれた、ぜいたく仕様であり、重さは実測で644gでした。

 一方、新しいFLOW LiteはABS樹脂のケースを採用しています。金属的質感は失われましたが、重さは実測で555gに抑えられています。この軽量化によってLiteという名称が付けられたのでしょう。

 そして同時に軽くなったのはキーの押下圧です。約50g(FLOW)から、約40gの軽さとなりました。この1/5の軽量化は、実際にキータイプしてみると数値以上に差を感じます。柔らかい餅に触れているかのように軽やかなのです。何時間でもタイピングしていられそうな心地よさがあります。

 約40gという押下圧は、ハイエンドモデルであるEdgeでも同じ設定でした。しかしFLOW Liteの方が触れたときの感触が軽く感じます。

 メイン基板を別素材のシートで挟み込み、タイピング時の軸ブレを吸収するガスケット構造は変わらず採用されています。つまりこの柔らかいという感覚は、ABS樹脂ケースが影響しているのでしょうか。

 触れる人によって好みの感触は異なるでしょう。しかし静電容量無接点方式のHHKBやREALFORCEに慣れた筆者にとっては、FLOW Liteこそ僕の身体にマッチするキーボードだと強く実感します。

 同時にキーボードは筆や万年筆のように「キーを押したとき=文字を記したときのセクシーな感触」の良しあしで選んでもよいデバイスだという思いが強くなります。

●FLOW LiteはFLOWの下位製品は言い切れない

 FLOW Liteには、FLOWより安い(後述)のに、FLOWより使いやすくなっているポイントが2つあります。

 1つ目は、ワイヤレス接続の方式が選べること。Bluetooth接続だけではなく、付属のUSBドングルを用いた2.4GHzワイヤレス接続が可能です。

 有線接続とほとんど差がないとはいえ、気になる人にはとても気になってくるし、なんなら気持ち悪さも感じてくるBluetooth接続時の遅延を解消するためでしょうか。FLOW Liteのキーをたたくと有線接続と変わりがないと思えるくらい、接続しているPC側にはダイレクトに文字が打ち込まれていきます。

 実はFLOWにはこのドングルが付属しておらず、2.4GHzによる無線接続に非対応でした。

 もう1点の改良ポイントは、キックスタンド(ティルトスタンド)の搭載です。デザイン優先で作られたと思われるFLOWの脚部は固定式でしたが、FLOW Liteはご覧のように角度調整用の足が付きます。

 椅子の高さと机の高さ、そしてキーボードを使うユーザーの体形など、さまざまな要因が重なり合うために、キーボードには絶対に角度調整用のキックスタンドが必要とは言い切れませんが、筆者はキックスタンドで角度をつけた方が疲れにくくて長時間のキー入力が楽になるという感想を持ちました。よってこの機構は歓迎できます。

●柔らかタッチバージョンでも納得できる低ノイズ性能

 FLOW LiteにはKailh製ロープロファイルのフルPOMスイッチが使われれるようです。製品情報を見ると、軽い押し心地のSpecter、もしくは静音性重視のHadesの2種類から選べる様子です。筆者が使わせてもらったのはSpecterでしたが、いずれもキーストロークは2.8mmで、ロープロファイルキーボードとしては極めて良好です。

 メンブレン式やパンタグラフ式のようにすぐに底突きすることはなく、軽やかに文字入力を続けられる深さと柔らかさを両立しています。キータッチ音も控えめなもので、耳になじみやすいですね。Hadesはさらにノイズが少ないのでしょう。一度試してみたいところです。

 そして特筆するべきは軸ブレをほとんど感じないこと。キートップの四隅から押し込むようにしても、キートップの天面が上下左右に動くことはなく着実に押下できます

 ところで右上には円筒のようなボリュームノブが配置されています。標準状態だとPCのメインボリュームを操作できるようになっています。

 またこのボリウムはプッシュスイッチの機能も持ちます。押すと音のミュート/ミュート解除が切り替わります。

 PCで仕事をしている時に音楽再生をしている人にはもってこいの機能ですし、他の用途で使いたい人も大丈夫。キーマップ変更用アプリ(現在はWindows用のみ提供されている)があります。

 気になったのは、キーボードのバックライトでしょうか。半透明処理の文字刻印を照らして文字を浮き立たせるバックライトが組み込まれていますが、文字全体ではなく中央部のみ照らしています。

 暗い場所であれば周辺部も十分に明るく見えるので、実用面ではさほど問題にならないでしょう。しかしなぜ全面を光らせなかったのか。

 これは想像にすぎないのですが、電球を模したデザインなのかな、と感じました。タイプライター風だったり、80年代のマイコンピュータ用キーボードをモチーフにしたキーボードをリリースしてきたLofreeゆえに、細部にクラシックな要素を取り入れてきてもおかしくありません。

●英語キー配列でも大丈夫、という人に試してほしいキーボード

 標準のファンクションキーやカーソルキー、ページアップ/ダウンなどのキーも取り入れながら、無駄がなくデスク上の専有面積も最低限です。現代のPC操作に求められる要素をLofreeならではのミニマルデザインでまとめた──FLOW Liteそんなキーボードです。

 なじみやすいと思える価格にも注目です。クラウドファンディングでプラン「Super Early Bird」(超早割)を選べば、84キーの「FLOW Lite84」が69ドル(正式価格は129ドル)、テンキー付きの「FLOW Lite100」が79ドル(正式価格は139ドル)です。

 69ドル(記事執筆時点は約1万円)で購入できるキータッチに優れたキーボード──これは品質追求型の高級キーボード市場のトレンドを作る素質があるとみました。日本での一般販売時にいくらのプライスタグがつくのかはまだ分かりませんが、コスパに優れたキーボードとして提供されるでしょう。

 唯一の懸念点として英語配列オンリーというのがありますが、慣れてしまえば問題ありません。ノートPC内蔵のキーボードからステップアップしたい方にはおすすめできます。

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