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Appleの空間ビデオも見られるQuest 3のライバル「PICO 4 Ultra」と「PICO Motion Tracker」が日本発売 実機を見てきた

ITmedia PC USER 2024年9月13日 12時30分

 Pico Technology Japanは9月12日、MR/VRゴーグル「PICO 4 Ultra」とPICOシリーズ初のVR対応モーショントラッカー「PICO Motion Tracker」を20日に発売すると発表した。価格は順に8万9800円(税込み、以下同)と1万1800円で、既にAmazon、ヨドバシカメラ、ビックカメラの各ECショップで予約受け付けを開始している。先着750人にはPICO Motion Trackerをプレゼントするキャンペーンも実施する。

●SoCなど基本性能をアップした「PICO 4 Ultra」

 PICO 4 Ultraは、2022年10月に発売した「PICO 4」の性能アップデート版だ。PICO 4で搭載していたSoC「Snapdragon XR2 Gen 1」が「Snapdragon XR2 Gen 2」に置き換わり、メモリは8GBから12GBに増えた。ストレージは256GBで据え置きとなる。ワイヤレス機能は最新のWi-Fi 7の無線LANと、Bluetooth 5.3に対応している。

 ディスプレイのスペックとして、解像度は片目で2160×2160ピクセル、両目では4320×2160ピクセル、リフレッシュレートは90Hz、視野角は105度となっている。レンズにはパンケーキレンズを採用した。サイズはゴーグル部が約165(幅)×62(奥行き)×84(高さ)mmで、ストラップも含めると奥行きは約256~312mm、ゴーグル部の重さが約304g、背面の重さが約276gとなっている。

 コントローラーもPICO 4に付属していたものから刷新され、トラッキング用のリング形状部分を廃することで持ちやすさを向上させた。

 本体には3200万画素のデュアルカメラの他、中央にToF深度センサーを搭載し、高精細なパススルー表示を可能にしたという。また、フロントのデュアルカメラは3D撮影にも対応し、手軽に空間ビデオを撮影できる。撮影したコンテンツの視聴も本体で行える。なお、PICO 4 UltraはMV-HEVC形式のハードウェアデコードに対応しているため、iPhoneやVision Proで撮影した空間ビデオや写真の再生も可能だ。

 PICO OSを搭載するPICO 4 Ultraは、「パノラマワークスペース」に対応する。これは、PCのディスプレイを拡張またはミラーリングするもので、超広角、縦型、横型など任意のサイズ、解像度で仮想スクリーンを表示できる。また、新たにスマートフォンの画面ミラーリングと操作にも対応した。

 同時に開けるアプリウィンドウの数は最大20で、Windows、macOS、iOS、Androidに対応する。360度にウィンドウを配置できるので、PCの画面を前面に表示させつつ、横、または背面に表示させたスマートフォンの通知に素早く対応できるようになったという。いずれも接続には「PICO Connect」アプリのインストールが必要で、接続はワイヤレスで行う。

 パノラマワークスペース利用中には、パススルー機能で現実世界を背景に表示させておくこともできるが、欧州の農場やアイスランドなど、まるで自然の中で仕事をしているようなバーチャル環境を表示させることもできる。突然の来客や、デスクの上の飲み物に手を伸ばしたいときなどは、PICO 4 Ultra本体のサイド部分を強めにダブルタップすると周囲をパススルーで表示できる。

 PICO 4 Ultraは、コントローラー、ハンドジェスチャー、キーボードやマウスでの操作に対応するので、好みの方法で操作できる。

●足に装着するだけでほぼ全身の動きをトラッキングするPICO Motion Tracker

 PICO Motion Trackerは、PICO 4 UltraとPICO 4に対応するモーショントラッカーだ。本体は約27gで、直径は約3.8cm、厚さは約1.5cmとコンパクトだが、総重量は約27gと軽く、激しい動きをしていても装着時の負担が少ない。充電式で、内蔵バッテリーにより最大25時間の連続使用が可能だ。

 IMU(慣性計測ユニット)の他、12の赤外線センサーを搭載し、正確にトラッキングできるという。

 基本的には両足首に装着するが、寝転ぶ、腰をくねらせて踊るなどの動きも検知できる。それを可能にしたのは400時間以上、1億以上のモーションポーズデータ、100種類以上のモーションポーズの組み合わせを機械学習させたことによるものだという。。ステップ精度は98%以上、位置の誤差は5cm以下、角度の誤差は6度以下、遅延は0.2秒としており、足を使ったリズムゲーム(いわゆる音ゲー)でストレスを感じることはなさそうだ。

 人気のVRアプリ「VRChat」「TempoClub」「All-In-One Sports VR」もPICO Motion Trackerに対応した。特にVRChatでは全身フルトラッキングする場合、PCとの接続が必要という場合が多かったが、PICO Motion TrackerとPICO 4 Ultraのみで対応するため、気軽に参加できるようになるという。

 PICO Motion TrackerとPICO 4 UltraまたはPICO 4を装着すると自動的にペアリングするので、あとは後は画面の指示に従い、背筋を伸ばす、つま先を見るという動作のみでキャリブレーションが完了する。慣れれば5秒で済むため、面倒に感じることはないだろう。

●狭い部屋でも踊れる! 大画面ディスプレイで仕事ができる!

 ここからは筆者の体験レポートとして、PICO Motion Trackerを装着し、ゲーム「TempoClub」をプレイしてみた。

 くるぶしまであるワークブーツとジーンズという装いで臨んだが、バンドの長さが足りないということも、トラッキング精度の減衰も感じられず快適に装着できた。

 ゲームでは音に合わせて前方からやってくるバブル(手での操作用)やブロック(足での操作用)をパンチ、カット、ステップ、キックなどでヒットさせていく。最も低いレベルをプレイしたが、前方からやってくるバブルやブロックに対処しているだけで息が上がってしまった。まるでゲームセンターのダンスダンスレボリューションをプレイしたときのような爽快感を得られた。

 横移動や足の動きをしっかりトラッキングしており、キックしたのに無反応といったこともなく、ストレスを感じずに楽しめた。

 次にパノラマワークスペースも体験した。こちらは既に複数のデバイスと接続済みだったため、接続するところからの体験はできなかったが、PCの拡張ディスプレイとして十分に使えるレベルである。というのも、グラス型ディスプレイでは解像度が足りない上、外光が入り込み、スプレッドシートやWebサイト、ドキュメントのテキストを識別しづらく感じることがあるからだ。

 しかし、PICO 4 Ultraのパノラマワークスペースでは、フロントにあるデュアルカメラのパススルー機能により室内が見える状態であるにもかかわらず、実際には外界から遮蔽(しゃへい)されているので、余計な光にじゃまされるということがない。また高精細ゆえ、全体的にくっきりとした表示である。そのため、テキストもくっきり見えていたのだ。

 また、パノラマワークスペースで使えるバーチャル環境も試してみた。ワンタッチで、開いているウィンドウの背景に草原が広がり、自然の中で作業をしているような感覚に浸ることができた。自宅で使えたら、さぞリフレッシュできるだろう。PICO 4 Ultraの本体サイドを強めにダブルタップするだけで、開いているウィンドウも背景の草原も消え、パススルー機能で室内を表示するので、手元を見たくなったとき、来客があったときなどに即座に切り替えられる。一気に現実に引き戻されるが、これはこれで便利だ。

 筆者は中度の近視でありコンタクトレンズを装用しているが、軽い老眼も入ってきている。そのため、「視度調整機能がないとよく見えないのでは?」と不安を抱いていたのだが、見えづらいということはなかった。

●キヤノンとのパートナーシップも発表

 PICO 4 Ultraは、単体で空間ビデオや写真の撮影ができること、またiPhoneなどApple製品で撮影した空間ビデオなどの取り込みもできることを先に紹介したが、キヤノン「EOS VR SYSTEM」を使って撮影した3D映像にも対応する。

 キヤノンの堀口泰助氏(イメージング事業本部 VR事業推進室)は、「2021年からVR事業に力を入れており、視差のある2つのレンズで取り込んだ映像を1つのセンサーで記録する『EOS VR SYSTEM』を開発している。特別な知識を必要とせず、3D映像を撮れるようになったが視聴する方法が少なかった」と経緯を説明し、「PICOと連携することで、実写VR/3D業界を盛り上げたい。VR愛好家がカメラに興味を持つきっかけにしてほしい」と狙いを語った。

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