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きっかけは何? ふと思い立って自宅の光インターネットを1Gbps→10Gbpsに切り替えた話【前編】

ITmedia PC USER 2024年9月13日 16時0分

 私事ですが、現在の住居に引っ越してきて5年半が経過しました。「まだ5年半か」という思いと「もう5年半か」という思いがあります。

 さて、現住地ではNTTドコモの光インターネットサービス「ドコモ光 1ギガ」を契約して使っています。ある日、この回線を「ドコモ光 10ギガ」に切り替えることを思い立ちました。

 Webを探すと、光インターネットを「新規で引く」「事業者を切り替える(転用する)」「別の回線を引き直す」という事例は結構見かけます。しかし、「事業者を変えず、回線を引き直さず、サービス内容(回線速度)を変更する」という事例はあまり見かけません。せっかくなので、スピードを切り替えることになったいきさつから、切り替えて実際にどうだったのかという話を2~3回に分けて記事としてしたためることにしました。

 今回は、自宅の光インターネット回線のあらましと、なぜ1Gbpsから10Gbpsに“増速”しようと考えたのか、まとめてみようと思います。インターネット回線の増速について、検討している人の参考になれば幸いです。

●筆者宅の光インターネットの歴史

 筆者が契約している光インターネットサービスは元々、ニフティの「@nifty」経由で契約したものです。可能な限り記録をたどった上で、沿革を記すと以下の通りです。

・2005年4月:「@nifty TEPCOひかりコース」を申し込み

・ソフマップ有楽町店(東京都千代田区:閉店済み)店頭で「コシヒカリ5kgプレゼント」に引かれて契約

・名前の通り、東京電力(当時)が提供していた光回線サービス「TEPCOひかり」を利用した上下最大100Mbpsのサービス

・@niftyは新規加入(当時は富士通グループだったという理由で選んだ記憶がある)

2005年5月17日:TEPCOひかりの実地調査

・回線敷設先がアパートだったため調査(TEPCOひかりは戸建て住宅前提だった)

・調査の結果工事可能と判断され、後日、本工事を実施することに

・大家への工事許諾は東京電力が代行してくれた

2005年6月1日:TEPCOひかり開通

・今までPHSで頑張っていたところに超高速回線が来て感動

・回線事業者は後に東京電力からKDDIに変更(事業譲渡のため)

2009年7月某日:筆者居住のアパートに「フレッツ光 ネクスト」が導入されることが判明

・大家との雑談で導入を知る

・同じ通信速度で月額料金が1000円以上安くなるので、切り替えることに

2009年7月19日:@niftyから「@nifty光 with フレッツ」を申し込み

・フレッツ光 ネクスト回線と@niftyの接続サービスのセットプラン

・本プランへの切り替えをもって、旧TEPCOひかり回線は解約(後日撤去作業あり)

・この際にNTT東日本の「ひかり電話」も契約

2009年7月30日:フレッツ光 ネクストの工事を実施→回線切り替え

・「ひかり電話ルーター」の貸与を受け始める

2009年10月1日:フレッツ光 ネクストの「ハイスピードタイプ」を申し込み

・最大通信速度が上下100Mbpsから上下最大200Mbpsに

・NTT東日本に問い合わせたところ「ISP(@nifty)非対応」と言われたものの、当日中に「対応可能」とのコールバックを受けて手続きを実施

2009年10月6日:フレッツ光 ネクスト回線を「ハイスピードタイプ」に切り替え

・ひかり電話ルーターを再起動するだけで速度アップして驚いた記憶

2015年2月某日:フレッツ光 ネクスト回線を「ギガラインタイプ」に切り替え

・最大通信速度が上下最大200Mbpsから1Gbpsに

・ひかり電話ルーターを再起動するだけで速度アップして驚いた記憶(再び)

2016年11月某日:フレッツ光 ネクストを「ドコモ光」に転用

・いわゆる「光コラボレーションモデル」を使った事業者変更

・ドコモショップで切り替え手続きを実施

・「@nifty光 with フレッツ」は「@nifty光 with ドコモ光」に(追加手続き不要)

・ひかり電話は「ドコモ光電話」としてNTTドコモからの提供に(番号変更なし)

・ひかり電話ルーターのレンタル元はNTT東日本からドコモに変更(機材交換なし)

・ひかり電話ルーターのレンタル代が450円(税別)から0円(無料)に

2017年10月31日:IPv6接続サービス利用開始(無料)

・日本ネットワークイネイブラー(現JPIX)の「v6プラス」を契約

・@niftyなのに、ISPが「KDDI」と認識されるという状況に(現在に至る)

2019年3月中旬:現住地に引っ越したところ、マンションタイプ回線非対応と判明

・1Gbpsのマンションタイプに対応していると聞いて引っ越し

・ひかり電話ルーターは旧居から持ち込み(電話番号変更を伴わないため)

・ところが、工事日当日に工事できないと宣告される

2019年3月下旬:現住地の管理会社に「戸建てタイプ」敷設の相談をする

・金具類の“打ち込み”をしないことを条件に敷設の承認を取得

2019年4月某日:ドコモに戸建てタイプへの注文変更を連絡

2019年5月某日:現住地で戸建てタイプの工事を実施

・エアコン用の配管を流用して自宅内に光ファイバーを引き込み

 よくここまで記録していたなと思います……。回線の工事(開通)日は、休みを取得するほどだったので、本当にワクワクだったんでしょうね。

 苦労(?)して引いた、ドコモ光(フレッツ光)の1Gbps回線。コロナ禍の際は快適なビデオ(Web)会議にも貢献してくれました。ビデオ会議をこなしつつ別の通信をしても、基本的には詰まることもありません。

 では、筆者はなぜ、ネット回線の10Gbps化を進めることにしたのでしょうか。

●増速の障壁は「電話」だった

 PCにしてもスマートフォンにしても、筆者は基本的に「一番(スペックの)いいモノ、頼む」という考えです。ただし、それはあくまでも一定の実用性があることが前提で、どれだけスペックが良くても、実用性に欠ける場合は選定を見送ることもあります。

 このことは自宅ネットワークも同様です。回線事業者の変更にしても、契約プランの変更にしても、原則としてスペックダウンになる選択はしません。その観点でいえば、ドコモ光(フレッツ光 クロス)に10Gbpsプランが出てきた時点で、すぐに切り替えることを検討しました。併せて、他の事業者(KDDIやJCOM)の提供する10Gbps回線への乗り換えも考えました。

 しかし、リリース当初のフレッツ光 クロスではひかり電話を継続利用できないという制約がありました。希望者に貸し出される「ホームゲートウェイ」(ひかり電話ルーターに相当)には電話の接続端子があるにも関わらず、利用できないとされたのです。これは、ドコモ光を含む10Gbps対応の光コラボレーション事業者(FVNO)も同様でした。

 「今さら固定電話なんて使うの?」と思う人もいるかもしれませんが、コロナ禍を受けて在宅勤務が増えて、通話料金を抑える目的で使う機会が増えました。携帯電話でもオプションで国内通話(準)定額はあるのですが、ひかり電話を使う方が手っ取り早いし出費を抑えられるんですよね……。

 「じゃあ、10Gbps対応で電話もある他社回線への乗り換えは?」という観点ですが、以下の観点から見送りました。

・工事費が結構掛かる(新規敷設となるため)

・住所検索で10Gbpsプランを契約できないとされた(検討当時)

・ひかり電話用に発番された電話番号を他事業者に移行できない

 「工事費とかは、キャッシュバックとか受ければ穴埋めできるんじゃない?」と思うかもしれません。確かにそれはその通りなのですが、解約時に必要な支払いも鑑みると必ずしもお得とは言いきれない面もあるので、あえて考えていません。

 ここまで来ると、10Gbps回線はフレッツ光 クロス(か、同回線を使う光コラボレーションサービス)しか事実上選択肢がないが、ひかり電話を使えなくなるのは困る――ビデオ会議で困ることがなかったこともあり、10Gbps回線への切り替えは当面見送ることにしました。

●約3年の時を経て「電話」に対応するも「工事費」の壁にぶつかる

 10Gbps回線の導入を見送ってしばらく経過し、2023年に入りました。大型連休が終わった5月6日、大ニュースが入ってきました。フレッツ光 クロスでもひかり電話を利用可能になるというのです。ドコモ光 10ギガも、特に報道発表はありませんでしたが同じタイミングでドコモ光電話に対応する旨が発表されました。

 実用面において、1Gbpsから10Gbpsへ切り替える上での障壁はなくなった……のですが、今度は工事費がハードルになりました。

 ドコモ光 1ギガを光配線(通信回線が光ファイバーとなる)プランで使っている場合、ごく一部の例外(※1)を除いて自宅側での回線工事は不要、つまり使っているONU(光コンバーター)やホームゲートウェイを取り換えるだけで10Gbps対応にできます。

(※1)集合住宅(アパート/マンション)向け光配線プランで、設置(自宅)側施設に10Gbps対応でない部分がある場合など(物理的な工事が必要な場合は、申し込みのコンサルティング時に伝達されます)

 しかし、筆者の契約条件の場合、ホームゲートウェイの設定に伴う派遣工事が必要です。この派遣工事は有償で、1万1660円となります。これに、ドコモ光電話の機器工事料(設置料)として1650円がプラスされます。

 別事業者の回線を引き直す工事費より安いことは確かなのですが、大規模な工事がないのにこれだけの金額を払うのには、どうしても“ためらい”がありました。分割払いも可能ですが、この金額で分割払いするのも何だかな、と思ってしまったのです……。

●速度の切り替えでも「工事費無料」に

 しかしドコモ2024年6月、1ギガ(1Gbps)から10ギガ(10Gbps)に変更する場合の工事費を“無料”とするキャンペーンを開始しました。これを適用すれば、先述した工事料のうち1万1600円は確実に無料となります。

 光インターネットの工事費無料キャンペーンの多くは、キャッシュバック(または月額料金の値引き)で「実質無料」とするところ、ドコモのキャンペーンは完全無料です。後から還元する実質価格よりも、その場で値引くスタイルを好む筆者としては、これで切り替える障壁が完全になくなりました。

●決定的な決め手は「料金差」

 繰り返しですが、ドコモ光 1ギガでも通信に詰まることは基本的にありません。ただ最近、大容量のデータ(動画や高解像度画像)のやり取りをすると「ちょっと遅い?」と思うことが増えました。

 ダウンロード/アップロードに使うデバイス(PCやスマートフォン)、ネットワーク機器、ネットワーク回線、そして接続先のクラウドストレージ(サーバ)――データのやり取りが遅くなる際にネックとなる部分は、いろいろと考えられます。ただ、以下の状況を踏まえるとインターネット回線を増速すれば一定の効果が得られるのではないかとの結論に至りました。

・自宅にある有線/無線LAN機器は、ほぼ全て1Gbps以上の通信に対応している

・いくつかは2.5Gbps/10Gbps通信にも対応

普段使っているWi-Fi 6EルーターのWANポートは2.5Gbps通信に対応している

・Wi-Fi 6/6E通信であれば、無線で1Gbps超の速度を生かせる

引っ越しに合わせて、有線LANケーブルは全て10GBASE-T対応のものに交換済み

・1Gbps超に対応するルーターなどを導入しやすい

理論上の通信速度が速くなった分、実効速度もそれなりに上がるはず

・ISP(@nifty/JPIX)側にボトルネックがあれば話は別だが、その点でネガティブな話はない

 10ギガの戸建てタイプの場合、月額料金は660円増しとなります。また、ホームゲートウェイのレンタルが有料対応で月額550円の追加出費も必要です。トータルで月額1110円増しとなりますが、その辺は携帯電話の回線契約を見直すことで十分にカバーできます。

 また、1Gbps超の通信に対応する昨今はPCや無線LANルーターをレビューする機会が増えてきたので、より高速な回線で使いたいという意図もあります。

 もっというと、最近は一部時間帯でドコモの5Gの方が下り通信(データの受信)が速いことがあるのも、切り替えの判断に至った理由でもあります。上り通信(データの送信)やPING(応答速度)は、どの時間帯でも光回線の方が圧倒的に速いのですが。

 1Gbpsから10Gbpsに切り替えると決めたら、早速行動……と行きたいところですが、切り替えが完了するまでにも紆余(うよ)曲折がありました。次回は、切り替え手続きのプロセスを詳説していきます。

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