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「Microsoft 365 Copilot」に再度名称変更! 「Copilot Pages」「Copilot agents」など仕事で役立つ機能が利用可能に

ITmedia PC USER 2024年9月17日 17時40分

 Microsoftは9月16日(米国太平洋夏時間)、「Microsoft 365 Copilot: Wave 2」と呼ばれるオンライン動画を公開し、大企業(Enterprise)/中小企業(Business)向け「Microsoft 365」で提供しているAIエージェントサービス「Microsoft 365 Copilot」の機能拡充を発表した。

 従来、本機能は「Copilot for Microsoft 365」と呼ばれていたが、今回の発表に合わせてMicrosoft 365 Copilotという登場時の名称に戻されている。

 今回の発表では、新機能としてチーム全体でデジタルキャンバスを共有して生産性を向上させる「Copilot Pages」、チャットボットのようなユーザーサポートページをクリックしていくだけで作成できる「Copilot agents」などが披露された他、Microsoft 365 Apps(Microsoft Officeアプリ)におけるCopilot機能拡張も明らかとなった。

 同社のサティア・ナデラCEOは「Copilotは、AI時代のUI(ユーザーインタフェース)だ」と述べ、Microsoft 365 Copilotが単に生成Aを利用できるだけでなく、ビジネスユーザーに使いやすいようなUX(ユーザー体験)を含めて提供するものだと強調した。

●Microsoft 365 Copilotは「生成AIをビジネスに活用するためのUI」

 動画の中で、ナデラCEOは以下のように述べた。

 Copilotのリリースから18カ月がたったが、その間の進化にはめざましいものがあったのは皆さんがご覧になった通りだ。特に直近の2四半期で実際にビジネスに利用しているユーザー数は2倍になっている。

 なぜこんなに急速に普及したのかといえば、CopilotはAIを活用するためのUIであり、サイロ化(細分化)されたビジネスプロセスや同僚とのコミュニケーションを統合していけるからだ。

 ビジネス向けのCopilotは単なる「生成AIチャットボット」ではなく、生成AIを手軽に使えて、かつツールによって細分化されてしまっているビジネスプロセスを1つに統合し生産性を上げるためのツールであると強調した格好だ。

●Copilotに聞いたデータなどを保存してチームで共有できる「Copilot Pages」

 新機能の詳細な説明は、ナデラCEOに続いて登壇したジャレード・スパタロ氏(ビジネス向けAI担当執行役員)が担当した。

 スパタロ氏は以下のように述べ、今回の発表に限らず、Microsoft 365 Copilotの機能拡張を今後とも続けていくと強調した。

 既にMicrosoft 365 Copilotを利用している1000近い顧客からたくさんのフィードバックをもらっている。我々はそれらに真摯(しんし)に耳を傾け、700の製品アップデート、150の新機能、性能の向上などを実現してきた。

 (サービス開始当初と比べて)Copilotの応答性は2倍になり、顧客の応答性への満足度は3倍になっている。今後も機能拡張を続けていく予定で、OpenAIが発表した「o1」への対応などもしていく計画だ。

 通常、CopilotのようなAIツールに聞いた結果(応答)は、OSやアプリのコピー&ペースト機能などを利用して、WordやPowerPointなどに貼り付けて保存しておくというのが一般的なビジネスパーソンの使い方だと思う。Copilot Pagesでは、聞いた結果をそのまま貼り付けることで他のユーザーにサッと共有できる。

 単に共有/保存するだけでなく、Copilotの機能を利用してPageにデータを追加することも可能で、Pages上でプロジェクトの進行を管理といった使い方もできる。

 Copilot Pagesは既にロールアウトが始まっている。Microsoft 365 Copilotのユーザーは段階的に利用できるようになり、9月中には一般提供(対象全ユーザーへの提供)となる予定だ。

●Microsoft 365 AppsのCopilot機能も拡張

 続けて、Microsoft 365 AppsにおけるCopilot機能の拡張について説明された。その概要は以下の通りだ。

Copilot in Excel

 Copilot in Excelは従来プレビュー提供だったが、今回正式版に移行する。基本的にはCopilotを利用してデータの処理をより効率よく行える拡張を中心に実装される。既にロールアウトが始まっており、9月中には一般提供(対象全ユーザーへの提供)となる予定だ。

 また、Excelではパブリックプレビュー版として「Copilot in Excel with Python」も実装される。プログラミング言語「Python」をノーコードで利用して、各種のデータ分析が可能だ。

 「Copilot in PowerPoint」には、新機能「Narrative builder」が登場する。日本語に直訳すると「物語構成装置」となる本機能では、ユーザーがプロンプトに「こういうスライドを作りたい」と概要やファイルなどを入れると、それを元にしてCopilotが最初のドラフト(下書き)を作成してくれる。ただし、最初期バージョンではファイルの追加(添付)には対応せず、段階的に実装される予定だ。

 また、途中の章立てを変更したいなどに、Copilotのプロンプトから指示を出すだけで行える機能も追加される。

 新機能は既にロールアウトが始まっており、9月中に一般提供される予定だ。

 「Copilot in Teams」には、「Meeting Chat」という新機能が実装される。

 従来のCopilot in Teamsでは、ビデオ会議の文字起こしとその要約などが可能だったが、Meeting Chatを使うとチャットの内容の転記とその要約を行える。

 本機能も既にロールアウトが始まっており、9月中に一般提供となる見込みだ。

Copilot in Outlook

 「Copilot in Outlook」には、2024年末までに「Prioritize my inbox」機能がパブリックプレビュー実装される。

 この機能は受信したメールをAIが解析し、「High Priority」を選択して並べ変えを指示すると、高い優先度と考えられるメールだけを抽出して処理できるようになる。さらに、高優先度になったメールを開くと、そのメールが「高優先度」となった理由をCopilotが解説した一種の要約を見ることも可能だ。

 既に受信したメールの数が多くて未読メールが多数となっているユーザーなどにとって、重要なメールを見逃すことを防ぐという意味でありがたい機能だといえる。この機能は2024年末までにパブリックプレビューが開始される予定だ。

Copilot in Word

 「Copilot in Word」の新機能は、Word、PowerPoint、PDF、電子メールなど別のファイルのデータなどをCopilotが自動で取り込み、プロンプトで指示された指示された文章のドラフトを作成してくれる機能だ。ドラフトをユーザー自身が編集したり、Copilotでさらに直したりすることもできる。

 この機能は既に提供が開始されている。

Copilot in OneDrive

 「Copilot in OneDrive」には、OneDrive上に保存されているファイルの中からユーザーが必要なファイルを見つけて、最大5つの同じような名前のファイルの“差分”を分析する機能が追加される。ファイルを開いて全部に目を通す必要がないので、より早く目的のファイルにたどり着けるようになる。

 本機能は既にロールアウトが始まっており、9月中に一般提供される予定だ。

●AIアシスタントをノーコードで作成できる「Copilot agent」

 「Copilot agents」は、人間が利用するAIアシスタントの機能をノーコードで作成できツールだ。例えば、社内IT担当者が従業員向けに「FAQ(よくある質問)」といったコンテンツを作ると、それをもとにAIが自動応答するチャットボットを構築することが可能になる。

 作成者は必要なコンテンツや情報を与え、NG行為の規定(定義)といった簡単な設定を行うだけOKだ。専属のIT担当者がいなかったり少なかったりする中小企業にとっては“福音”といえる機能かもしれない。

 Aiエージェントを作成するツール「agents builder」は、Copilotのカスタマイズツール「Copilot Studio」内で提供される。既にロールアウトが始まっており、9月中に一般提供される予定だ。

SharePointとの連携機能も

 10月からは「Copilot agents in SharePoint」のプレビュー提供が始まる。これはCopilot agentsとSharePointが連携して動作する機能となる。

 最近は「Google Forms」や「Microsoft Forms」といったオンラインでアンケートや受付などを行うためのツールが人気を博している。こうしたツールは地味だが、企業のビジネスプロセスの改善にとって大きな効果がある。少し言い方を変えればデジタルトランスフォーメーション(DX)につながる。

 より効率のよいITサポートが可能になるだけに、要注目の機能だ。

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