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私たちの“仕事”に適したビジネスPCをどう選ぶ? ~メモリ編~

ITmedia PC USER 2024年10月2日 12時20分

 本連載では、ビジネスPCを構成するパーツにそれぞれフォーカスを当て、情シスの方々に向けたビジネスPCの選び方を掘り下げていく。今回はビジネスPCを選定する上でたびたび議論に上がる「メモリ」にフォーカスを当て、私たちの”仕事”に適したメモリ選びについて詳しく解説していこう。

●メモリは後から増設できないモデルが多いため、慎重に選定したい

 昨今、ビジネスPCに多く採用されるノートPCは薄型軽量化を実現するために、メモリがシステムボードに直接はんだ付けされている製品が非常に多い。

 メモリ不足を感じても後から増設できないため、必ず購入前に過不足ないメモリ容量を選定するようにしなければならない。

 一度失敗すると後戻りできないビジネスPCのメモリを選定する考え方について、詳しく触れていこう。

●メモリの選定は認識のアップデートが必要? OSの最小要件が思っているよりも高くなっていることに注目

 ビジネスPCを含めたPCのパーツを選定する上で、たびたび議論にあがるメモリ。X(旧Twitter)でもPCに搭載されているメモリの量について話題になっている様子を見かけたことがある人も多いのではないだろか。

 Windows XPやWindows 7が主流だった時代は、ビジネスPCに採用されているOSの多くが32bit版だったこともあってか、4GBを搭載していれば十分だった。

 またそれと同時に、Windows XPとWindows 7は安定性の高さから根強い人気があり、非常に長い間利用されてきた。これが「ビジネスPCのメモリは4GBで十分」という認識が定着した理由ではないかと筆者は考えている。

 例えば、Windows 11の“最小”システム要件を見てみると「メモリが4GB搭載されていること」と記載されている。

 64bit版Windows 7の最小システム要件がメモリ2GBだったことから分かる通り、現代においては「PCのメモリが4GBでは、OSを最低限動かすことしかできない」ということを理解しておきたい。

●PCでの作業はどんどん広範囲に、扱うコンテンツもよりリッチに

 さて、OSの最小システム要件が昔と比べて高くなったことが分かったが、そうであるなら「推奨されるメモリの容量はいくつなのか」という疑問が思い浮かぶ。

 少し前の感覚なら「最小システム要件の2倍程度、Windows 11であれば8GBのメモリを搭載すれば快適なビジネスPCが出来上がるのではないか」と考えがちだが、なかなかそうもいかないのが最近のPC事情だ。

 昔と比べてWebページは動画コンテンツやさまざまなスクリプトなど、ふんだんに画像ファイルが使われるようになり、かなりリッチなコンテンツが増えてきた。

 Webページのコンテンツがリッチになればなるほど、使用されるメモリ量は増えてくるし、Google Chromeのようにタブブラウザが主流となっているため、おのずと開くタブの数も増えてくる。

 一例として、筆者のPCのタスクマネージャーを開いてみると、タブを30個開いている状態で、既に約6.5GBのメモリを使用していることが分かる。

 特に最近の業務では、検索エンジンで調べ物をするだけでなく、Google WorkspaceといったSaaSツールを多用することも増えた、開くタブの数も自ずと増えてくる。

 この状態で、さらにMicrosoft TemasやZoomを利用したビデオ会議を行い、画面共有も行うとなると、8GBのメモリでもかなり厳しくなってくる。

 PCに搭載された以上のメモリ容量が必要になった場合、ストレージの一部をメモリとして利用する仮想メモリ(ページングファイル)機能がある。

 この機能のおかげで、メモリ容量の限界を超えたとしても、すぐに動作停止することはないが、NVMeなどの高速SSDと比べたとしても、メモリの方が転送レートがはるかに高いことから、できることなら仮想メモリを頻繁に利用しない状況が好ましい。

●最低限16GBのメモリは搭載しておきたい

 業務で16GBのメモリを搭載したノートPCと、32GBのメモリを搭載したデスクトップPCの計2台を利用している筆者の体験をもとに、ビジネスPCに搭載したいメモリ容量について考えてみよう。

 普段、チャットツールやビデオ会議を行いながら、SaaSツールを使ったドキュメントの作成の一般的な業務の他に、リモートデスクトップやVisual Studio Code、PowerShellを使って大規模なIdP(Identity Provider:クラウドサービスなどを利用するユーザーの認証情報管理システム)を管理している。

 チャットツールやビデオ会議、SaaSツールを使ったドキュメント作成業務においては、16GBのメモリを搭載したノートPCでも特に動作が重たくなることもなく、快適に業務を行える。

 ちなみに、Microsoftが提唱するCopilot+ PC(AI PC)に関しても、要件として16GB以上のメモリ搭載が定められている。

→・Microsoftが「新しいAI PC」の要件を発表 40TOPS以上のNPU搭載が“必須”に

 ただ、Visual Studio Codeでスクリプトを書きながら、内蔵するターミナルでIdPの管理や、ログ解析などを行うと、メモリ16GBのノートPCでは、少し厳しい場面に遭遇する。

 とはいえ、何もできないくらい負荷が高まる、というわけでもないため、ビジネスPCには、最低限16GBのメモリを搭載することを強くオススメしたい。

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