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約8カ月も動作! 機能充実の2K対応屋外向けカメラ「Arlo Pro 5S 2K」を試す

ITmedia PC USER 2024年10月7日 12時0分

 Arlo Technologiesから、2K撮影に対応した屋外向けセキュリティカメラ「Arlo Pro 5S 2K」の国内販売が開始された。Arloのカメラは以前、屋内向けのコンパクトなモデルを紹介しているが、本製品は2K解像度(2560x1440ピクセル/アスペクト比16:9)に加えてスポットライトも搭載した屋外/屋内の両対応モデルという位置付けになる。

 実売2万円台後半と、価格的にはややハイエンドだが、高い解像度を求めるユーザーには魅力的な1台だ。メーカーから機材を借用したので、試用レポートをお届けする。

●Arloおなじみの楕円形ボディーを採用 給電方法は2通り

 まず外見から見ていこう。ボディーはArloのセキュリティカメラの多くに共通の、断面が楕円(だえん)になった形状で、壁掛け用マウントを介して壁面に木ネジで固定する。ネジ止め以外の取り付け方法は用意されていないので、賃貸住宅での設置は難しく、基本的に一戸建てでの利用を想定した製品ということになる。

 従来モデルにあたる「Pro 4」との外見上の相違は、ボディーの奥行きがかなり伸びていることだ。また付属する壁掛け用のマウントは、本体後部のネジ穴に差し込んで締め付けることで角度を決める仕組みで、同じ角度をキープするのがあまり得意ではない。詳しくは後述する。

 本体には大容量バッテリーを内蔵しており、カメラ本体を正面から抜き取ることで取り外しが行える。複数のバッテリーを用意しておき、交換しながら運用することも可能だが、マグネットで本体底部に吸着させる専用ケーブルを用い、カメラ本体からバッテリーを取り外さずに充電も行える。

●屋外用カメラならではの便利機能を多数搭載

 スマホアプリによるセットアップの手順は、以前紹介した「Essential屋内用カメラ」と基本的に同一だが、こちらはペアリングボタンを使わず、QRコードを読み込ませてカメラを認識させるフローを採用している。多くのネットワークカメラで取り入れられている仕組みなので、迷うことはないだろう。

 セットアップが完了すると、前回の「Essential屋内用カメラ」と同じく、アプリから映像を見られるようになる。アプリにはカメラの一覧が表示される「ダッシュボード」と、録画済みの映像が並ぶ「フィード」があり、そこから「デバイス」に切り替えることで、個々のカメラ単位でライブ映像および録画済み映像を表示できる。

 ただし、本製品は屋外/屋内両対応ゆえ、前回の屋内用カメラになかった独自の項目も多い。例えば電源回りの項目がそれで、省電力にまつわる設定項目が多数用意されている。本製品はバッテリー寿命が公称8カ月と、この手の屋外用カメラとしてはかなり長く、ここでそれらを設定することになる。

 実際どのくらい持つのだろうか。試しに標準的な設定内容のまま、バッテリー1個で2~3カ月は持つRingの「Spotlight Cam Plus」とほぼ同一条件で両製品を並べて3週間ほどテストしたところ、バッテリーの減りは同等かそれ以下だった。8カ月持つかは分からないが、2~3カ月は十分に持つとみてよく、製品の強みと言って差し支えないだろう。

 他にも、アクティビティーゾーンが長方形だけではなく、八角形で指定できるのも特徴だ。屋外用カメラでは、斜めになった道路や入り組んだ通路を指定するためにも、単純な長方形による範囲指定では物足りない場合が多いので、複雑な形状を指定できるのはありがたい。

●壁掛けスタンドの不安定さは懸念点

 撮影回りで特徴に挙げられる機能を、もう少し詳しく見ていこう。

 本製品は160度という広い視野角が特徴だ。とはいうものの、水平140度の視野角を持つSpotlight Cam Plusと比較したところ、視野は逆にわずかに狭く、そこまで強みを感じられなかった。エントリークラスの屋外向けカメラより広いのは事実だが、競合製品を圧倒するほどの視野角の広さというわけではないようだ。

 一方でもう1つの売りである12倍デジタルズームを試したところ、2K解像度ということもあってか、高さ約1.5mから撮った畳の表面までかなりはっきりと見ることができた。ふだんは俯瞰(ふかん)で撮影し、必要に応じてズームで細部を見るという使い方では威力を発揮しそうだ。

 また前回の屋内向けカメラにはなかった機能として、夜間撮影用のスポットライト機能が挙げられる。初期設定では、ナイトビジョンで撮影中にモーションを検知するとライトが点灯する仕組みになっており、それまでモノクロで撮影していたナイトビジョンが、カラー表示に切り替わる。

 この他、侵入者を威嚇する用途で手動でオンにするといった使い方もできる。明るさも自在に調節できるなど、設定はかなり融通が利く部類に入る。

 以上のように、屋外向けカメラとしての機能は一通りそろっているのだが、実際に設置してみて気になったのは機能面ではなく、奥行きをかなり取ること、またそのせいもあって安定性があまり高くないことだ。

 本製品は従来モデルにあたるPro 4や、以前紹介したEssential屋内用カメラよりも全長が長い上、壁面取り付け用のスタンドを本体後部に取り付けるため、さらに数cmがプラスされ、結果的に約15cm程度の奥行きが必要になる。このことは設置がしづらいだけでなく、衝撃などで角度が簡単に変わりやすいことを意味する。

 さらにスタンド部はネジをどれだけきつく締めても、重量に負けて向きが変わってしまいやすい。同様に構造上、ネジを締める過程で、水平だったはずの視野が傾くこともしょっちゅう起こる。本製品を使っていてのストレスのほとんどは、このスタンドに起因するものだといっていい。

 これは競合にあたるRingのSpotlight Cam Plusが、バッテリーを2個内蔵するぶん、ボディーサイズは本製品より大きい反面、前後に短いため安定性は高く、意図した角度でしっかりと固定できるのとは対照的だ。

 この壁掛けスタンドはネジ穴の径が合いさえすれば交換可能なので、自前で別の製品を用意することもできるとはいえ、マグネット式のマウントを採用した従来モデルのPro 4よりも退化しているように見えるのはいただけない。ぜひ改良を要望したいところだ。

●安定性に課題も機能面は文句なし。価格はもう一声欲しい

 以上のように安定性にやや課題を残す本製品だが、これらさえ自前の工夫で何とか対応すれば機能面では充実しており、自宅周囲を監視するセキュリティカメラとしての実力は十分だ。実売価格が2万7900円と、競合である「Spotlight Cam Plus」(2万4980円)より高いので、そこはもう一声欲しいように思う。

 余談だが、個人的にArloで使いづらく感じるのが、カメラ単位で通知のオン/オフを設定できないことだ。自宅に複数のArloのカメラを設置し、室内のカメラは全て通知オフ、屋外のカメラは通知オンにしたいと思っても、現状ではその方法がなく、全部のカメラをひっくるめてのオン/オフしかできない。

 カメラの台数が増えてくると、このことは大きなネックになる。他社製品では可能なだけになおさらだ。おそらくアプリ側を改良するだけでそれほど手間を掛けずに実現できるはずなので、ぜひともサポートしてほしいところだ。

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