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Galaxy Z Fold3から「Pixel 9 Pro Fold」に乗り換えました サイズ感が秀逸な“Googleの二代目折りたたみスマホ”

ITmedia PC USER 2024年10月9日 12時5分

 ディスプレイを開くとタブレットスタイルになる折りたたみスマートフォンは、サムスン電子ジャパンの「Galaxy Fold」シリーズと、Googleの「Pixel Fold」シリーズが日本で展開されています。

 世界を見渡すともっと多くのメーカーからさまざまな製品が発売されており、最近は“三つ折りスマホ”も話題になっていますね。私も海外の製品に興味はありますが、特に折りたたみスマホは故障リスクが高く、高価であることから、サポートや保証を考慮して、よほどのことがない限りは国内正規品を選択するようにしています。

 ところでつい先日、最新の「Google Pixel 9 Pro Fold」が発売となりました。価格は定価で25万7500円と高額ですが、私は発表直後から直感的に「これは使いやすいはず!」という印象を持ち、即予約購入しました。「Galaxy Z Fold 3」からの機種変更になります。

 9月の発売日からずっと使い続けていますが、使いやすそうと思った直感は正しかったと考えています。Galaxy Z Foldシリーズと比べると至らない点も多々ありますが、実際の用途とあわせて考えると、現時点では自分にとって最高の端末だと感じました。

●高いハードウェアの完成度

 Pixel 9 Pro Foldはシリーズで2台目の製品です。初代と比べてハードウェアの完成度はかなり向上したと感じます。私が購入を決めたのは、閉じた状態で使うカバーディスプレイのサイズ比率です(こちらについては後述します)。

 もう1つポイントは、ディスプレイを開いた状態で約5.1mmという薄さを実現したことです。最新のiPad Proが薄さを強調しているように、実際に使っていると、薄さというのは使い心地に大きく影響することが分かります。

 私が使っているのは11インチモデルのiPad Proで、厚さは約5.3mmです。Google Pixel 9 Pro Foldはそれより薄いということで、より期待を持てました。

 実際に入手して──これらの狙いはズバり的中でした。ディスプレイを開いて使っていても心地よいサイズ感です。本体の角は丸みがあるという点も、さらに使いやすさを感じます。

 閉じた状態の持ちやすさも気に入っています。私はメインスマホとして「iPhone15 Pro Max」を使っていますが、サイズはほぼ同じ、重さはPixel 9 Pro Foldが約257g、iPhoone 15 Pro Maxが約221gです。iPhoneにスマホケースを装着して使っている方は、実際の重さや厚さは大差ないのではないでしょうか。

 ちなみに、私はiPhone 15 Pro Maxはカバーなしで使用していますが、それでも大きな違和感はありません。

 Pixel 9 Pro FoldはSoCも最新の「Google Tensor G4」を搭載しており、「折りたたみスマホだから控えめスペック」なんてこともなく、Pixelシリーズとしてハイエンドモデルに位置付けられています。他メーカーも含めた最高のスペックを求める方には物足りないかもしれませんが、普段使いとして気になる点は全くありません。

 カメラの出っ張り形状も悪くなく、折りたたんで状態で机においてもぐらつきません。ただし、ディスプレイを開いて置いたときはぐらつきますし、ノートPCのように半開きで使おうとすると、角度によっては重さで後ろに倒れてしまいます。これは少しイマイチだと感じます。

●閉じた状態で使うカバーディスプレイのサイズが秀逸

 個人的に一番の魅力を感じているのが、外側のカバーディスプレイです。秀逸と言うか、サイズ感として普通のスマホとして使えるというだけなのですが、これがまた、とにかく秀逸なのです。

 折りたたみスマホはこれまで「Galaxy Z Fold3 5G」を使っていましたが、Galaxyシリーズのカバーディスプレイは超縦長です。正直、文字入力がしづらいほど幅が狭いと感じることもあります。

 私はシステムの動作検証用としてもAndroid端末を使います。普通のサイズ感としてPixel 9 Pro Foldが使えるため、わざわざ一般的なAndroid端末を別に用意する必要がなくなりました。これは地味にうれしいです。

 閉じた状態だと、見た目として片辺が角ばっていますが、使っている時に気になったことはありません。ベゼルが太いという話もありますが、個人的には全く気にならないレベルですね。

●左右にスマホ2台分の表示領域

 カバーディスプレイが普通のスマホサイズというのは、メインディスプレイのサイズにも影響します。つまり、ディスプレイを開くと左右に2台のスマホがある状態と同じなのです。昔、Microsoftの「Surface Duo 2」という2画面をコンセプトにしたスマホがあり、「これ、いいな」と思ったことがあるのですが、まさにそれです。普通に、右と左で普通のスマホサイズでアプリを使いたいのです。

 PCで複数ディスプレイを使うと生産性が上がりますが、そのスマホ版ですね。他の情報を見ながらチャット入力する、といった使い方は、ビジネスシーンでも活用できるでしょう。この2アプリ同時表示をどう活用できるかが、この連載のテーマである仕事術としてはポイントになりそうです。

 そうした使い方を考えると、片方はホーム画面を表示したままで使うなど、根本的に2画面として独立した動きができるような機能があればいいなと感じます。

 「画面一杯にアプリを表示して、それから画面分割して……」という操作は手間です。割り切って2画面モードのようなものを実装していただきたいものです。

 逆に、スマホ2台分というサイズの弊害もあります。メインディスプレイはコンテンツを大きく表示したい時に使うものですが、画面比率的に、動画や書籍を表示すると空白部分が多くなります。

 こうしたサイズ感は非常に難しいと思います。最終的には何を重視するかに尽きますが、「スマホ+少し大きめの画面サイズでコンテンツ消費もできる」という使い方であれば、Pixel 9 Pro Foldは良いところを突いていると感じます。「逆に、大きな画面でコンテンツ消費がしたい」といった場合、そこまで言うならiPadなどを持ち歩いた方が満足度は高い気がします。

●スタイラスペンが使えないのは、どこまで不便なのか?

 Galaxy Z Foldシリーズとの大きな違いは、専用のスタイラスペンに対応していないことです。価格帯が同じなので、この点は気になるところです。

 ただし、Galaxy Z Foldの使い方を振り返ったところ、私個人としてはペンを使うシーンはあまりありませんでした。ペンを本体に収納できないため、別途ペンを持ち歩く必要があるためです。

 前もってペンを使って仕事をしようと考えている場合は、基本的にPCを持ち運びます。持ち運び用のPCはASUS JAPANのZenBook Duoを使っているので、こちらもペン入力可能なデバイスです。

 じっくりと腰を据えてデスクトップ環境にて作業する場合は、「ワコムのペンタブレットMovink13」を使います。現状、わざわざ折りたたみスマホでペン入力するケースがないのです。

 読書時にペンでメモ書きできるのは魅力的ですが、手書きできるレベルのチェックしかしないのがほとんどなので、その点もまあ許容範囲になります。

●ソフトウェアはまだまだ未完成

 GalaxyZ Foldシリーズに比べると、ソフトウェア面では相当劣ります。この点はさまざまな記事で言われているので、ここではあまり語りません。

 メインディスプレイの全画面利用時の挙動もイマイチなところがありますが、半開きの時の画面の使い方をもっと充実させてほしいです。折りたたみはノートPCのように使えるのが魅力の1つです。せめてGoogle純正アプリは、上下を活用したインタフェースとなるように頑張って欲しいですね。

 例えば、Gmailであれば下画面にコントロール機能を表示するといった工夫です。次のメールを表示するボタン/フォルダー移動/アーカイブ/ごみ箱ボタンなど、作業が効率的になるような工夫が欲しいです。

 Pixel 9 Pro Foldのアップデートは7年間提供される予定です。セキュリティアップデートはさておき、どこまで機能強化されるのかは不明ですが、こちらにも期待したいところです。機能追加の有無で折りたたみに対してどこまで本気か分かりそうです。

 なお、もうすぐリリースされるであろう最新OSのAndroid 15はまだ未適用の状態です。こちらのアップデートでどのように変わるかも楽しみです。

●折りたたみであるがゆえの怖さは顕在

 折りたたみという構造自体が、やはり取り扱いに気を遣います。ディスプレイが曲がるということは、その部分から異物が入りこむ可能性は捨てきれません。

 手を洗った後に、ぬれた状態の手で触るのは普通のスマホ以上に気を遣うし、ポケットに入れているとホコリが入ってしまうのではないかと気になります。メインディスプレイには基本的には別のフィルムが貼れないため、傷や汚れも気になりますね。

 ちなみにGoogleは補償サービス「Preferred Care」も用意しています。折りたたみを選択する際には、こうしたサービスも気にしておくべき点だと感じます。

 Pixel 9 Pro Foldとは、「少し重くて大きいスマホだけど、スマホ2台持ちのような使い方もでき、その気になれば8型タブレットにもなる」──そんなスマホです。

 個人的に残念なのは、私がメインスマホの座をiPhoneから移せないということです。Apple Watchを使ったヘルスケア機能の利用/データの蓄積は欠かせないものであり、Androidに切り替えるハードルが高いです。また、LINEのような特定の1台でしか使えないアプリもあり、どうしてもiPhoneを持ち歩く必要があります。こうした足かせがなければ、Pixel 9 Pro Foldをメインにしたいくらいのデキです。

 普通に使えるスマホをベースに、付加価値が欲しい。そんな方には、間違いなくオススメの端末です。私は購入して大満足です。

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