Amazfitブランドを展開するZepp Health(ゼップヘルス)は10月10日、アウトドア・登山向けスマートウォッチの新モデルとなる「Amazfit T-Rex 3」を発売した。価格は3万9900円だ。
アウトドア向けスマートウォッチとしては、国内ではGarminやSUUNTO、G-SHOCKなどがメジャーだが、その価格は5万円を超え、10万円超というモデルも少なくない。それを考えると約4万円というT-Rex 3の価格はリーズナブルと言ってもいいだろう。
今回、このAmazfit T-Rex 3を試用する機会を得たので、どんな特徴があるスマートウォッチなのか見ていこう。といっても、登山やアウトドアの趣味はないため、主に普段使いでの使い勝手を確認していくことになるのはご容赦願いたい。
●頑丈な見た目と良好なユーザビリティー
まずは外観からチェックしよう。登山やアウトドア向けということもあり、見た目はかなりゴツイ印象だ。1.5型のAMOLEDディスプレイを八角形のベゼルが囲んでおり、ディスプレイはゴリラガラス、ベゼルはステンレススチールという仕様だ。
ボディーサイズは約48.5(直径)×13.75(厚さ:心拍ベース除く/心拍ベース含むと約15.85g)mm、バンドを含む重量は約68.3g(本体のみは約49g)となっている。
ディスプレイの輝度は最大2000ニトで、晴天の屋外でも視認しやすい。また、グローブモードを搭載しており、有効にするとタッチパネルの感度が上がり、厚さ2mm未満であればグローブを付けたままでも画面を操作できるようになる。
側面には、スマートウォッチとしては珍しく4つのボタンが搭載されている。右上の「SEL」はホーム画面で押すと運動メニューが表示され、長押しで「Zepp Flow(独自の音声アシスタント)」の起動となる。他のメニューが表示されている場合は選択ボタンとして機能する。右下の「BACK」は文字通り戻るボタンだ。
左側には「UP」と「DOWN」ボタンがある。これらのボタンは、他のスマートウォッチではほとんど見ないものだが、ホーム画面ではそれぞれ上からのスワイプ、下からのスワイプとして動作する。また、ホーム画面以外ではそれぞれ上下のスクロールとして利用可能だ。
これらのボタンを利用することで、画面に触れることなく一通りの操作が可能となっている。この辺りは、厚手のグローブを装着することもあるアウトドア仕様ならではの配慮だろう。
ベルトは、付属の専用ツールを使うことで取り外しが行える。付属のアタッチメントを利用することで、市販のベルト(22mm)を装着可能だ。
●多機能なオフラインマップと高精度GPSを装備
Amazfit T-Rex 3は、オフラインマップに対応しているのが特徴の1つとなっている。登山やトレイルランニングなどで使用する等高線が表示された「コンターマップ」に加え、世界1万か所以上のゲレンデに対応した「スキーマップ」、道路や基本的な地形が表示された「ベースマップ」の3種類をダウンロードできる。
この他、「YAMAP」や「ヤマレコ」などの登山アプリからルート情報を記録したGPXファイルをインポートすれば、登山の際にT-Rex 3上でナビゲーションを行うことも可能だ。
コンターマップとスキーマップは、登山やスキーをする人でなければ必要になることはないと思うが、ベースマップはランニングやウォーキング時でも表示できる。地図を見ないといけない場所でランニングやウォーキングをする機会は少ないと思うが、出張先などで少し運動をしようと思った場合などには便利だろう。
なお、当然のことながら、オフラインマップを使わなくてもGPSで経路の記録は可能だ。アウトドア向けをうたうだけあり、木々が生い茂る山の中でも正確な測位が行えるデュアルバンド円編波GPSアンテナ技術を搭載している。
アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国の北斗(BeiDou)、日本のみちびき(QZSS)、インド周辺を対象としたNavIC(ナブアイシー)の6つの測位システムに対応し、世界中どこでも安定した測位が可能となっている。日本で使う限りはそこまで必要はないが、高精度な測位システムは、衛星からの信号を受信しづらいビルが密集する都市部でも安定してルートの記録を行えるはずだ。
●充実のヘルスケア機能
Amazfit T-Rex 3は、登山やアウトドアに特化しているとはいえ、通常のスマートウォッチと同様にヘルスケア機能も備える。心拍数や血中酸素レベル、ストレスの24時間モニタリングだけでなく、睡眠計測にも対応する。
●AI搭載音声アシスタント「Zepp Flow」に対応
Amazfit T-Rex 3は、AI音声操作サービス「Zepp Flow」に対応している。これは2024年7月に開始されたサービスで、OpenAIのGPT-4oを利用することで、自然言語で話しかけるだけでスマートウォッチの各種操作を行えるというものだ。
スマートウォッチの設定や操作は、特に初めて使うモデルの場合、どのメニューがどこにあるのかを覚えるのが大変だ。Zepp Flowはその大変さを緩和できるもので、例えば「常時表示モードをオンにしてください」「ランニングを始めてください」「昨夜の睡眠の質はどうですか」といった具合に聞くことが可能だ。この他にも、音声でタイマーを設定したり、AndroidのみとなるがLINEやSMSに返信したりもできる。
●長いバッテリー持ち
Amazfitのスマートウォッチは他モデルでもバッテリー持ちが良いのだが、T-Rex 3も標準的な使用で最長27日という長いバッテリー駆動時間を誇っている。といっても、この「標準的な使用」はかなり限定的な使い方なので、ここまで持つことは少ないだろう。
公式にはハードな使用で13日となっており、こちらの方が実際の使用感覚に近い。画面の常時表示オン/1日約80分のウォーキング(GPS使用)/1日約8時間の睡眠モニタリング/各種通知をオンという状態で丸3日使用したところ、バッテリー残量は56%となった。この使用環境では約1週間のバッテリー持ちといったところだ。毎日GPSを使わないのであれば、もっとバッテリーは持つだろう。
充電には、専用の充電台を使用するのは他のスマートウォッチと同様だ。ただし、少し珍しいのはケーブルが分離型になっているだけでなく、ケーブル自体がパッケージに付属しない。
●アウトドアと日常使いを両立させたスマートウォッチ
登山向けやアウトドア向けとうたわれてしまうと、普段使いには向かないという印象を受けてしまうが、Amazfit T-Rex 3に関しては、そんなことはなく、デザイン的にもスーツ姿で身に着けていても違和感はない。就寝時に身に着けると邪魔にならないとは言わないが、重さもベルト込みで約68.3g(実測で68g)と見た目の割には重くない。機能的にも日常使いに不足はないので、アウトドア系デザインが好きな人にはぜひ試してほしい製品だ。