GoogleのChromeOSを搭載するプレミアムノートPC「Chromebook Plus」が登場してから1年が経過した。
1年という節目を迎え、Chromebook Plusはどうなったのか――GoogleでChromeOS製品のエンジニアリングとUXを担当するバイスプレジデントのジョン・マレーチス氏が説明した。
●AIで「人が合わせる」から「人に合わせる」へと進化する
マレーチス氏は冒頭、コンピュータという存在の“位置付け”の変化を説明した。
黎明(れいめい)期のコンピュータは、機械言語が分からないと使いこなせないものだった。プログラミング言語の誕生、OS(オペレーティングシステム)とその上で稼働するソフトウェア(アプリケーション)を通して、機械言語を知らなくてもある程度までコンピュータを使いこなせる環境は整ってきた。
しかし、そのいずれを取っても「人がコンピュータに合わせる」という本質までは変えられなかった。
そこに変化をもたらしつつあるのが、昨今のAI(人工知能)だ。AIによって、「コンピュータが人の使い方(働き方)に合わせる」ようになるというのだ。
マレーチス氏は、その典型例が自社の生成AIエージェント「Gemini」なのだと語る。
●Chromebook Plusは「デバイス×クラウド」でAIを活用できる
Googleでは、Geminiを含むAI技術/サービスを開発する際に「人々に役立つAI」「利用者が欲しいところに統合」「デバイス内でもクラウド上でも(活用できる)」の3点を心がけているのだという。
人々に役立つAIが適材適所で利用でき、かつオンデバイスとクラウドの両方で快適に使える存在が、Chromebook Plusだとマレーチス氏は説明する。Chromebook Plusは、通常の「Chromebook」と比べてハードウェアの最小要件が高めに設定されており、特にデバイス側の処理能力が求められる場面において、一層快適に使えるように配慮されている。
処理速度、メモリ、そしてストレージが一般的なChromebookの2倍――より快適にAIを活用できるノートPCとして、Chromebook Plusを訴求していきたいのだろう。
●毎月アップデートされる「ChromeOS」 最近の新機能は?
ChromeOSには、毎月ソフトウェアの更新(アップデート)が配信される。更新に伴い、既存のChromebook/Chromeboxには新機能が実装されることも多い。説明会の後半において、マレーチス氏は最近の更新で実装された代表的な新機能を紹介した。
Chromebook Plus固有のアップデート
Chromebook Plusでは、通常のChromebookと比べるとハードウェアだけでなくソフトウェア(OS)面でもプレミアムな機能が実装されている。昨今のアップデートでは以下の新機能が実装されたか、これから実装されるという。
・文章読解サポート:10月30日のアップデートで利用可能
・PDFやWebサイトの表示内容を要約
・リリース当初は英語の要約のみ対応(UI言語を問わず利用可能)
・日本語は2025年前半に対応予定
文章作成サポート:9月のアップデートで実装済み
・文章作成中にGeminiを呼び出して、文章の作成をお願いできる
・OSレベルで実装するのでサードパーティー製アプリでも利用可能
・英語や日本語を含む13言語に対応済み
ビデオ通話の画質/音質向上:10月30日のアップデートで利用可能
・ノイズキャンセリング機能を実装
・マイクの音質も向上(スタジオ品質で集音)
・自動的に照明や明るさを調整する外観エフェクトも実装
・OSレベルで実装するのでサードパーティー製アプリでも利用可能
リアルタイム翻訳:10月2日のアップデートで実装済み
・音声出力をもとにリアルタイムで翻訳した文章を画面表示
・OSレベルで実装しているのでサードパーティー製アプリでも利用可能
・音声は英語や日本語を含む19カ国語に対応済み
・字幕出力は100カ国語以上に対応済み
この他、Chromebook PlusではGoogle フォトの「編集マジック」を無料で利用できるようになっている(通常はサブスクリプションプランの「Google One」会員限定)。
ChromeOS共通のアップデート
この他、最近のアップデートでは全てのChromeOSデバイス共通で以下の機能も実装されている。
・Geminiへのショートカット実装:10月2日までに実装済み(※1)
・シェルフにGeminiを呼び出すためのアイコンを用意
ログイン時の画面復帰:10月2日のアップデートで実装済み
・前にログインしていた状態の画面を再現する機能
・作業の復帰がしやすくなる
「フォーカス」モードの実装:10月2日のアップデートで実装済み
・タスクのタイマーを設定することで、通知などを一時的に抑制可能
・クイック設定から設定可能
「Google ドライブ」の統合:10月から利用可能
・Google ドライブにあるフォルダー/ファイルをホーム画面にピン留め可能
(※1)より早期に実装されていたデバイスもある(順次進めていたため)