Appleは9月20日、最新モデル「Apple Watch Series 10」を発売した。価格は、Wi-Fiモデルのアルミニウムケースが5万9800円からだ。GPS+Cellularモデルでは、チタニウムケースも選択可能だ(10万9800円から)。
Apple Watch Series 10は発売から1カ月以上経過し、既に多くの人が手にしていることだろう。そのようなタイミングではあるが、ジェットブラックの46mmアルミニウムモデルを試す機会を得た。とはいえ、単なる製品レビューでは今さら需要はないかもしれない。既にPC USERでも開封レビューは掲載済みだ。
なお、筆者がメインで使うスマートフォンはAndroidで、直近ではGoogleのスマートウォッチ「Pixel Watch 3」を利用している。そこで、Pixel Watch 3ユーザーから見たApple Watchという視点でのレビューをお届けしたいと思う。
●サイズが大きく画面も広くなった「Apple Watch Series 10」
前モデルまでは、Apple Watchのサイズは41mmと45mmだったが、Series 10では少し大きくなり42mmと46mmになった。これに伴い、新しくなった第3世代のLTPOディスプレイは表示領域が拡大され、Apple Watch史上最大サイズになっている。
ただ、これまでApple Watchを使っていなかった身からすると、「広いといわれるとそんな気もするがよく分からない」というのが正直な感想だ。ちなみに、Pixel Watch 3(45mmモデル)のディスプレイは456×456ピクセルで、横幅などはSeries 10(46mmモデル)の416×496ピクセルよりも広い。しかし円形なので、表示エリアはApple Watch Series 10の方がかなり広く感じる。
また、Series 10のディスプレイは、斜めから見たときの明るさが最大40%アップしているとのことだが、これに関しては比較対象がなく、正直よく分からなかった。
このApple Watch Series 10のディスプレイは、常時表示のリフレッシュレートが高速化しているのもポイントだ。常時表示自体はこれまでも対応していたが、書き換えは1分に1回のみだった。これに対してSeries 10は、書き換えが1秒に1回となり、常時表示中でも秒針の表示が可能になった。後で触れるが、これでバッテリー持ちには影響していないのが驚きだ。
日常生活で“秒”の表示まで必要としている人は少ないかもしれないが、秒まで確認したくなったとき、これまでは腕を傾けて常時表示を解除する必要があったのが、手首に目を向けるだけで分かるようになった。より時計としての使い勝手に近づいたともいえる。
Pixel Watch 3も通常表示では秒針の表示は可能だが、常時表示では秒針が消えてしまう。この部分ではApple Watchに一歩先を行かれたようだ。
●Apple Watchの軽さに驚く
ディスプレイの表示以外でApple Watch Series 10を装着して驚いたのは、その軽さだ。試用した46mm/アルミケースのGPS+Cellularモデルは約35.3g。Pixel Watch 3は約37gなので、数字上ではあまり差はない。といってもこれはベルトを含まない重さだ。ベルトを含めた重さでは、実測でApple Watch Series 10が44.5g(スポーツループ)、Pixel Watch 3は68.9g(アクティブバンド)と差が大きい。Pixel Watchのベルトを変えれば近い重さになるだろうが、追加の出費が必要になる。
またApple Watch Series 10は、本体の厚みが約9.7mmと薄く、これもApple Watch史上最薄とのことだ。Pixel Watch 3の約12.3mmと比べると、わずか2.6mmの差だが、身に着けているとこの差は大きく、壁や家具にぶつけてしまうことは今のところない。試用機なので無意識に気を付けているという可能性もあるが、出っ張りが少ない分、腕に何もつけていない感覚に近いのだろう。
Apple Watchといえば、心電図をはじめとするヘルスケア機能の充実も特徴となっている。心電図(ECG)に関しては、Samsung Electronicsの「Galaxy Watch」も対応しているが、まだ日本での許認可は降りていない。こうした行政手続きのスピード感も、Appleの強みなのだろうと感じてしまう。
そんなApple Watch Series 10には、新たに睡眠時無呼吸の兆候を検知し通知する機能が追加された(Apple Watch Series 9/Ultra 2でも利用可能)。
30日間のデータで呼吸の乱れが「高い」と評価されることが増えると、睡眠時無呼吸の可能性があるとして通知されるというものだ。医療機関を受信する際に参考になるよう、睡眠時無呼吸がいつ行ったのかなどが分かるPDFを出力することもできるという。
なお、睡眠時無呼吸の兆候検出はApple Watchのみの機能というわけではない。例えば、「HUAWEI Watch GT」シリーズでも利用可能だ。
●意外と長持ちするバッテリー
実は、これまで漠然と「Apple Watchはバッテリー持ちが悪い」と思っていたのだが、Apple Watch Series 10の46mmモデルに関しては、常時表示オン/各種通知オン/80分の屋外ウォーキング/睡眠計測という使い方で、24時間経過後もバッテリー残量は47%だった。もちろん、Apple Watch上で頻繁にアプリを使うような場合はもっと短くなるだろうが、そうした使い方をしたとしても、丸2日は厳しくても1泊2日程度なら充電なしで問題はなさそうだ。また、Series 10は30分で0%から80%にできる高速充電にも対応している。
Pixel Watch 3の45mmモデルも、24時間の利用でバッテリー残量は45%ほどだが、充電速度は80%の充電に約50分かかる。
●Apple Watchは手間がかからないのが魅力
短い時間だがApple Watchを使ってみて、改めてApple Watchの使いやすさに感心してしまった。何が使いやすいかというと、特に操作方法を覚えなくても直感的に使えてしまう点だ。また、特段設定をしなくても、必要な機能があらかじめオンになっていることも気に入った。
最近のスマートウォッチは、見かけのバッテリー持ちの良さをアピールするためなのか、常時表示や血中酸素レベルの測定、心拍の24時間測定などがデフォルトで無効になっていることが多い。Pixel Watchも常時表示はデフォルトでオフだ。
多くのスマートウォッチは数日使ってから「そういえば表示されない、測定されてない」と気が付くこともあるのだが、どこで有効にできるのかを探すのにも苦労する。そうした面倒がなく、誰でも簡単に使い始められるという辺りも、Apple Watchが世界一売れているスマートウォッチである理由なのかもしれない。