ヘッドフォンやイヤフォン、スピーカーなどを手掛けるEdifierの「M60」は、AUXやUSB Type-C、Bluetoothの接続に対応する小型のマルチメディアスピーカーだ。実売価格が2万3980円と手頃でありつつも、スマートフォンからデスクトップPCまで幅広い機器に対応している。本記事では実機を用いて使い勝手などをチェックしていこう。
●コンパクトでかわいらしいデザイン
前回レビューした「Edifier MR3」は、音楽制作などを主体としたモニタースピーカーだったが、 M60はいわゆるマルチメディアスピーカーで、スマホやPCなどを接続した上で音楽や動画を純粋に楽しむ汎用(はんよう)的なスピーカーといえるだろう。
カラーバリエーションは今回試したブラックと、ホワイトの2色だ。表面はマット加工されている。この製品に限った話ではないが、ブラックはほこりが少し気になってしまうので、そういった観点でホワイトを選ぶのもアリだろう。
質感やデザインはどこか可愛らしく、部屋によくなじむという印象だ。MR3は高級感を感じるシックなイメージだったが、M60はポップな印象を受けるので、一般的なPCデスクとよくマッチする。
サイズは約100(幅)×147(奥行き)×168(高さ)mmで、MR3と比べて一回り以上小さい。Edifier M60のサイズ感であれば、卓上スピーカーとしてぴったりだ。
高さが低くなっている分、前面は非常にシンプルでツイーターとウーファーがあるのみだ。後ほど背面の写真を添えて詳しく紹介するが、AUX入力端子が背面にあるため、設置場所によってはケーブル接続がおっくうになるかもしれない。
電源ボタンやボリューム操作は右側のスピーカーユニット上部にタッチ式のボタンで行う。操作しない間はバックライトが消灯して小さなインジケーターだけが光るようになっているので、部屋の明るさを下げたとしても目立つことはない。
電源ボタンは1回タッチすると、モードがそれぞれBluetooth接続(インジケーター青点灯)、USB接続(インジケーター赤点灯)、AUX接続(インジケーター緑色点灯)の順に切り替わる。
●USB Type-C接続とBluetooth接続をサポート
続いて、M60の背面を見てみよう。MR3と比べてかなりスッキリした印象を受ける。
それもそのはずで、スピーカーユニットを接続するケーブルが、MR3は赤と白のケーブルを挟み込むタイプだったのに対して、M60では4ピンの専用ケーブルを使ってユニット同士を接続するためだ。
電源自体はMR3と同じくACアダプターは不要で、いわゆるメガネケーブルを差し込むだけでいいので、よりスピーカー背面の配線がシンプルになっている。卓上スピーカーとしては非常にありがたい仕様だ。
入力端子自体は、USB Type-CとAUXのみと非常にシンプルな作りとなっているが、その反面、MR3で搭載されていたヘッドフォン端子が廃止されている。
USB Type-Cポートを接続して利用する場合、付属のUSB Type-Cケーブルを接続した上で、右側スピーカーユニットの上面にある電源ボタンをインジケーターの色が赤になるまでタッチして有効化できる。
今回はWindows環境で試してみたが、ドライバーのインストールは不要で、プラグ&プレイで利用できた。また、Arm版Windows 11を搭載したCopilot+ PCでも問題なく接続して音を再生できた。
ただ1点、気になることがあるとすれば、どうやらBluetoothとUSBそれぞれで音量設定が独立しているようで、USBで接続してPCの音量を最大にしても音が鳴らない状況に遭遇した。
こちらはM60のボリュームアップボタンを操作することで解決できるが、試用しているタイミングでは少し戸惑ってしまった。接続する機器がそれぞれ異なる場合を想定しての仕様と考えられる。
●アプリでイコライザーの設定変更が可能に
M60もMR3と同じく、スマホアプリ「Edifier ConnecX」を使って、イコライザーの設定が可能だ。
MR3ではプリセットのイコライザーが「音楽」と「モニター」だけだったが、M60はマルチメディアスピーカーということもあり、「ゲーム」と「映画」が追加されている。
プリセットのイコライザーについてはM60に軍配が上がるが、MR3で搭載されていた音響チューニングが利用できないデメリットもある。
ただ、MR3はモニタースピーカーという性質上、音響チューニングも必要だったが、Edifier M60のようなマルチメディアスピーカーであれば、そこまで求められる機能でも無いため、しっかりと製品の差別化ができているともいえる。
その代わりと言っては何だが、Edifier M60にはスピーカースタンドが付属しており、デスク表面からの反射による音色の変化を排除できるようになっている。
●LDAC対応で、Bluetooth接続時もハイレゾ音源の再生を実現
前回レビューしたMR3は、ハイレゾ音源(最大24bit/96kHz)再生に対応しているが、BluetoothはSBCコーデックにしか対応しておらず、ワイヤレスでハイレゾ音源を本来の音質で楽しむことができなかった。
しかし、M60にはMR3には無かった「Hi-Res AUDIO WIRELESS」の認定ロゴが記載されており、メーカーサイトでもLDAC対応をうたっている。
実際にLDACに対応しているスマホ「Pixel 8a」とBluetoothペアリングを実施し、メディアデバイスの詳細画面を確認したところ、「HDオーディオ:LDAC」にチェックが入っていることが分かった。
背面を見て分かる通り、有線接続でも同じく「Hi-Res AUDIO」の認定を受けているため、有線接続とBluetooth接続の両方でハイレゾ音源を本来の音質で楽しめる。
●Bluetooth/有線接続共にハイレゾ音源を楽しめるコスパ優秀モデル
M60は、MR3のような上級者向けの細かな調整はできないが、その分シンプルなイコライザーモードによって、音楽からゲームまで幅広い場面で使える非常にお勧めできる製品に仕上がっている。
特に、実売価格2万3980円でBluetooth接続でもハイレゾ音源を楽しめる点や、USB Type-Cケーブルで直接PCに接続して使える点を考えると、かなりコストパフォーマンスが優秀な製品だといえるだろう。
(製品協力:Edifier Japan)