マウスコンピューターのビジネス向けブランド「MousePro」から「Core Ultra 200V」シリーズ(開発コード名:Lunar Lake)を搭載したモバイルノートPCが早くも登場した。重量が約946gの軽量かつ頑丈な14型ボディーに最新のLunar Lakeシステムを採用し、持ち運びやすさと快適なパフォーマンス、長時間バッテリーを両立させたビジネスモバイルPCとなっている。
同社の直販サイトでは、スペックが異なる2種類のベースモデルが用意されている。今回は上位構成の「MousePro G4-I7U01BK-E」(G4I7U01BKEBAW101DEC)を評価機として入手した。内容をしっかり見ていこう。
●開発コード名「Lunar Lake」ことCore Ultra 200Vシリーズを搭載
システムの中核には、Intel最新プロセッサのCore Ultra 200Vシリーズを採用している。
このCPUは内部構造が大きく変化しており、従来のタイルアーキテクチャを継承しつつ、構造を一新した。メモリも統合し、従来以上に機能統合を進めたSoC(System On Chip)となっている。
CPUコア/GPUコア/NPUコアのアーキテクチャーも刷新されており、CPUコアのHyper-Threading(1コアで2スレッドを実行する機能)も廃止されるなど、進化点は多岐に渡る。これらを統合するComputeタイルがIntelの自社工場ではなく、TSMCの3nm(3NB)プロセスで製造されるというのもトピックだ。
そして、今回の評価機が搭載するCore Ultra 7 258Vは、Core Ultra 200Vシリーズのアッパーミドルモデルで、現行の9モデルのうち上位から4番目の存在となる。CPUコアは性能優先のPコアが4基、電力効率優先のEコアが4基の8コア8スレッド構成となっている。
CPUと同じくComputeタイルには、新しいXe2アーキテクチャーを採用したGPUコア(Intel Arc Graphics 140V)、ピーク処理性能(INT8)が47TOPSに向上したNPUコア(Intel AI Boost)も統合している。
●LPDDR5X-8533の高速メモリを32GB搭載
評価機のメインメモリは、32GBのLPDDR5X-8533をCPUパッケージに統合している。パッケージ統合というスタイルは、配線を最短かつ最適化できる一方、メモリモジュールをソケットに装着するスタイルではないため、構成の自由度は制限される。本製品のBTOでもメモリ容量は選べないが、標準で32GBとビジネス向けとしては十分に余裕のある容量だ。
ストレージは、PCIe 4.0 x4インタフェースのNVMe SSDを採用しており、標準容量は500GBだがBTOでは1TBも選べる。
●重量が約946gの薄型軽量かつ頑丈なボディー
ボディーのデザインはとてもシンプルだ。カラーはメタリックブラックで統一されており、天板にmouseのロゴを配置している。
ボディーの具体的なサイズは、約314(幅)×224(奥行き)×18.3(厚さ)mm、重量は約946kgだ。Core Ultra 100シリーズを搭載した従来機(現在も併売/約969g)とサイズは同じだが、重量は少し軽くなっている。CPUにメモリを統合したことによる部品点数の削減効果だろう。
薄型軽量ながら頑丈さも十分確保されており、ボディーのどこを持っても頼りない感覚はない。MIL-STD-810Hに準拠したテストをパスしている裏付けもある。
●バッテリーは最長19時間! PD対応ACアダプターも小型軽量
公称のバッテリー駆動時間は、JEITAバッテリ動作時間測定法Ver.3.0の基準で、動画再生時が約6時間、アイドル時は約19時間となっている。評価機で確認したバッテリー容量は約54Whだった。
付属のACアダプターはUSB Type-C/USB Power Delivery(PD)対応で、最大出力が65Wとなる。実測サイズは、約50(幅)×50(奥行き)×28(厚さ)mm、ケーブル込みの実測重量が132gと、非常に小型で軽量だ。ACアダプターを一緒に携帯する場合も苦にならない。
●キーボードにはCopilotキーを装備
液晶ディスプレイは14型で、画面解像度は1920×1200ピクセルに対応する。パネル表面は照明などが映り込みしにくいノングレア仕様だ。
キーボードの品質も良い。キーピッチが約19.1mmと、ゆったりとした配置で打ちやすい。キーストロークは約1.2mmとやや浅めながらキースイッチの感触は良好で、長文入力もしやすい。
●Thunderbolt 4含め幅広い環境に対応する実用性の高いインタフェース
通信機能はWi-Fi 7対応の無線LANと、Bluetooth 5を標準装備している。
USB端子は合計4基搭載しており、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB Standard-A×2という内容だ。USB Type-C端子は2基ともUSB PDと画面出力に対応しており、USB Type-Cを中心とした先進環境にスマートに対応できる。
またHDMI出力、ヘッドセット(CTIA準拠/ヘッドフォン兼用)端子、microSDメモリーカードスロット(UHS-I対応)も備えることで、従来型のオフィス環境もフォローする内容だ。
●カメラ/マイク効果に加え離席検知など新たなビジネス機能を搭載
本機は、液晶ディスプレイの上部に約500万画素の高画質Webカメラと顔認証対応IRカメラ、デュアルアレイマイクを内蔵する。また、底面にあるステレオスピーカーもしっかりとした音圧がある。
NPUを備えているため、自動フレーミングやアイコンタクトなど、OS標準(Windows Studio Effects)のカメラ効果を利用可能だ。本製品はCopilot+ PCの要件を満たすため、Arm版Copilot+ PCがサポートするクリエイティブフィルターや、アイコンタクト/テレプロンプターなどの新機能も11月以降のアップデートで利用可能になると思われる。
また、PCから離れたら自動で画面をオフにしてスリープ状態へと移行し、近づくと復帰する「プレゼンスセンシング」や、スリープ状態からの意図しない起動を防ぐ「Restricted Standby」といった機能もサポートしている。
●旧世代機からの進化は歴然! バッテリー駆動時間は2倍に
それでは、ベンチマークテストの結果を見よう。特に記載のない限り、Mouse Control Centerで選択できる動作モードは「バランス」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」で統一している。参考として、2023年にレビューした「MousePro G4-I5U01BK-B」(Core i5-8250U搭載)などのスコアも掲載している。
結果を見ると、CPUのシングルスレッド性能やGPU性能は高い一方、CPUのマルチスレッド性能にはやはり同時処理スレッド数が少なくなった影響が見られる。本製品は1kg以下のフォームファクターなので必ずしも性能をフルに引き出すことにこだわっていないこともあるが、性能面だけを見ると地味な印象は否めない。
もっとも、MousePro G4の旧世代機との比較では性能面でも圧倒しており、ビジネス向けの薄型軽量モバイル機としては非常に優秀なパフォーマンスであることには疑いはない。
加えて、バッテリー駆動時間も優秀だ。PCMark 10/Modern Office Battery Lifeでは、2世代前のCore i5-1235U搭載モデルの2倍以上駆動した。本製品は54Whで旧世代機は37Whとバッテリー容量が異なることもあるが、ボディーを軽量化してさらにバッテリー容量を増やせているのは、メモリも統合したLunar Lakeならではのシステムの実装面積の小ささや放熱の容易さなどが影響していると思われる。
動作音については、従来機とアイドル時はほぼ無音で、高負荷時はそれなりに大きな音がするものの、静音モードならば高負荷時でもアイドル時とほぼ変わらない動作音で利用できる。発熱も全体に低く、特に手がよく触れるパームレストは高負荷時でも30度以下に保たれており、気温が高い季節でもストレスなく運用できそうだ。
●新CPU搭載でビジネスPCとしてのステージが上がった新MousePro G4
マウスコンピューターの直販サイトでの販売価格は、23万9800円となっている。約946gの軽量かつ頑丈なボディーと長時間のバッテリー駆動を両立させつつ、AIを活用した高度なカメラ効果やプレゼンスセンシング、ビデオ会議向けのサウンド機能などを備えた内容は価格に見合う。
ベンチマークテストで確認できたように、2世代前のモデルからの進化は、性能的にもバッテリー駆動時間としても歴然で、さらにCopilot+ PCの要件を見たすPCならではのAIの魅力も加わっている。新CPUの搭載により、薄型軽量ビジネスモバイルとしてのステージがグッと上がったといってよいだろう。営業職のビジネスパーソンや学生の方など、どこにでも気軽に持ち運べるPCが欲しい人にとっては要注目の存在だ。