うっかり見逃していたけれど、ちょっと気になる――そんなニュースを週末に“一気読み”する連載。今回は、11月10日週を中心に公開された主なニュースを一気にチェックしましょう!
●最大50%伸びる世界初の伸縮ディスプレイをLGが発表
LG Displayは11月10日、最大50%まで伸縮する世界初の伸縮(ストレッチャブル)ディスプレイを発表した。伸ばしたり、折りたたんだり、ねじったりすることができる。同社は「究極のフリーフォームスクリーンテクノロジー」だとしている。
伸縮ディスプレイは、2022年に最初のプロトタイプが発表されているが、新しいパネルの最大伸長率は20%から50%と2倍以上に拡大した。新しいプロトタイプは、最大18型まで拡張できる12型スクリーンで、100ppiの高解像度とRGBフルカラーを実現している。
コンタクトレンズに使用される特殊なシリコン素材基板の特性改善や新しい配線設計構造の開発といった新技術を使うことで、パネルの伸縮性と柔軟性を向上させ、当初のプロジェクトの目標であった20%の伸びを上回ったという。
新プロトタイプは最大40μm(マイクロメートル)のマイクロLED光源を採用することで耐久性を強化し、1万回以上の繰り返し伸縮が可能になったとしている。
●リアルタイム音声翻訳機能「DeepL Voice」発表 日本語も対応
独DeepLは11月13日(現地時間)、リアルタイム音声翻訳機能「DeepL Voice」を発表した。オンライン会議をリアルタイムに翻訳する「DeepL Voice for Meetings」と、対面での会話を翻訳する「DeepL Voice for Conversations」を提供する。
DeepL Voice for Meetingsは、オンライン会議の参加者がそれぞれの言語で話すと、それらの発言を聞いている側の各自が選んだ言語に翻訳し、リアルタイムで字幕表示するものだ。1つの会議内で複数の言語に同時対応できるのが特徴だ。
DeepL Voice for Conversationsは、モバイルデバイスを挟んで相手と会話を行うというもので、それぞれの発言をリアルタイムに相手側の言語に翻訳して表示する。Google翻訳の会話機能と似たような機能だ。
どちらもセールスチームを通じて入手可能なスタンドアロンプランとして提供されており、価格などは個別に問い合わせる必要がある。
●MicrosoftがCopilot+ PCのNPU対応のアプリ拡張を発表
Microsoftは11月12日(現地時間)、Windowsが備える機械学習向けの低水準API「DirectML」を活用した、Copilot+ PCのNPU対応アプリをいくつか発表した。
Copilot+ PCは、これまでQualcommのSnapdragon Xシリーズに限定されていたが、AMDおよびIntelプロセッサへの対応を11月から順次行うと発表していた。
Adobeの動画編集ソフト「Premiere Pro」はβ機能として、DirectMLを使ってIntel Core Ultraプロセッサの機械学習効率を有効化し、オーディオを自動的にタグ付けできるようになった。
オーディオクリップを効果音/音楽/会話/環境音として分類できる。各クリップにはエッセンシャルサウンドパネルを開くバッジが付いており、そのサウンドカテゴリーに必要なパラメーターにすぐアクセスできるという。
画像処理ソフト「Capture One」は、編集中の写真に対して別の画像のスタイルを適用できる「Match Look」、画像のトリミングを自動化できる「AI Crop」が導入された。
画像編集ソフト「Affinity Photo 2」では、Snapdragon X EliteのNPUを活用した機能として、Object Selection(オブジェクト選択)が追加された。機械学習により画像内のオブジェクトを素早く分離/セグメント化することで、手動でレイヤーマスクを作成するという作業を省けるようになる。
●Microsoftが全てのWindowsに対し月例のセキュリティ更新プログラムを公開
Microsoftは11月12日(現地時間)、現在サポートしているWindows 11およびWindows 10の全バージョンに対し、月例セキュリティ更新プログラムの配信を開始した。
Windows 11 24H2向けは「KB5046617」、Windows 11 23H2/22H2向けは「KB5046633 」、Windows 10(22H2/21H2向け)は「KB5046613」、Windows 10(1809向け)は「KB5046615」となる。
本更新プログラムでは、CVE番号ベースで89件の脆弱(ぜいじゃく)性に対応した。このうち深刻度を「Critical(緊急)」と評価しているのは以下の4件だ。
・CVE-2024-43639:Windows KDC Proxy Remote Code Execution Vulnerability
・CVE-2024-43625:Microsoft Windows VMSwitchの特権の昇格に関する脆弱性
・CVE-2024-49056:Airlift.microsoft.comの特権の昇格の脆弱性
・CVE-2024-43498:.NETとVisual Studioのリモート コードが実行される脆弱性
また、以下の2件は深刻度は「Important(重要)」ながら、既に悪用の事実が確認済みとなっている。
・CVE-2024-43451:NTLM ハッシュ開示スプーフィングの脆弱性
・CVE-2024-49039:Windows タスク スケジューラの特権の昇格の脆弱性
既に攻撃手法が知られている脆弱性も含まれており、できるだけ早めのアップデートを心掛けたい。
●Phisonが128TBのPCIe 5.0対応SSD「D205V」を発表
台湾Phison Electronicsは11月13日、128TBのPCIe 5.0対応データセンタークラスSSD「Pascari D205V」を発表した。米国アトランタで開催される高性能コンピューティング、ネットワーク、ストレージに関する国際会議「SC24」で展示される。既に予約注文を受け付けており、U.2およびE3.Lフォームファクターで2025年第2四半期初めに出荷される予定だ。
AI、メディアおよびエンターテインメント(M&E)、研究など、急増するストレージ需要に対応するための製品と位置付けられるascari D205Vは、単一ドライブで122.88TBのストレージを提供する。
従来のHDDと比べて4倍の容量を提供できる他、現在市場で入手できる61.44TBのエンタープライズSSDの2倍の容量においてワット当たりで最高レベルの容量使用率を実現するとしている。
Phison独自のX2コントローラーと最新の 2Tb 3D QLCテクノロジーを組み合わせ、シーケンシャルリードは毎秒1万4600MB、シーケンシャルライトは毎秒3200MB、4Kランダムリードは3000KIOPS、16Kランダムライトは35KIOPSを実現する。
●「NVIDIA アプリ」が正式版に GeForce/RTX Experienceを統合
米NVIDIAは11月12日(現地時間)、同社のGeForceシリーズ向け統合管理アプリ「NVIDIAアプリ」を正式リリースした。
これまで提供されていた「GeForce Experience」や「RTX Experience」「NVIDIAコントロールパネル」などの機能を統合し、NVIDIAアプリからドライバの更新やゲーム向けのドライバ設定、レコーディング機能の設定などを行える。なお、「NVIDIAコントロールパネル」は引き続き利用可能だ。
この他、GPUパフォーマンスや、システム構成を確認するメニューも追加された。パワーユーザー向けに電圧や電力、温度、ファン速度などをチューニングする機能もある。