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やはりイヤフォンのマイクとは違う! ビデオ会議にも役立つ「HyperX」のUSB接続コンデンサーマイク新モデルを試す

ITmedia PC USER 2024年11月22日 15時0分

 日本HPのゲーミングブランド「HyperX」から、USB接続のコンデンサーマイク「HyperX QuadCast 2」(発売中)と、上位モデルの「HyperX QuadCast 2 S」が11月22日に登場した。直販価格はそれぞれ2万2800円と3万2000円だ。

 ゲーム実況者や配信者向けのマイクであるHyperX QuadCastシリーズだが、動画制作などで純粋に高品質なマイクを必要としているクリエイターにも、広く人気を集めているシリーズだ。

 その最新モデルとなるHyperX QuadCast 2とHyperX QuadCast 2 Sは、録音音質の強化や多機能ノブの追加、ショックマウントの改良などが施されたアップグレードモデルとなっている。音質にこだわるプロフェッショナルな用途向けの製品ではあるが、ビデオ会議やウェビナーなどで少しでも音質良く声を届けたいと思っているなら、一般の人でも検討してみる価値はありそうだ。

 今回、メーカーから両モデルを借りられたので、両者の違いを比較しつつ、普段使いできるのかを検証してみたい。

 まず、「HyperX QuadCast 2」と「HyperX QuadCast 2 S」の違いだが、簡単に表にまとめると下記のようになる。

 前モデルの「HyperX QuadCast」と「HyperX QuadCast S」は、どちらもオーディオ品質が16bit/48kHzだったが、新モデルではそれぞれ24bit/96kHz、32bit/192kHzにアップデートしている。マイク感度は単位が異なるので直接の比較はできないが、ライティングは赤色LEDのみのQuadCast 2に対して、HyperX QuadCast 2 Sはフルカラーとなっている。

 その他の基本的な仕様に関しては、おおむね共通のようだ。

 スタンドにはショックマウントも搭載し、振動を極力拾わないようになっている。また、スタンドを外して、市販のマイクアームを取り付けることもできる。

●多機能ノブ(マルチファンクションロータリーノブ)を新たに搭載

 新モデルの大きなアップデートは、多機能ノブが追加されたことだろう。従来モデルでは、ゲインの調整は底部のダイヤルで調整、指向特性は背面のノブで調整する必要があったが、これらが多機能ノブだけで操作可能になった。また、多機能ノブでは、背面に接続したイヤフォン/ヘッドフォンの音量調整やモニターミックスの調整、指向特性の変更を行える。

●背面に3.5mmジャックを用意

 HyperX QuadCast 2/2 Sの背面には3.5mmジャックがあり、イヤフォン/ヘッドフォンを接続することが可能だ。PCやゲーム機からの音声を再生するという通常の利用方法に加え、マイク入力の音声を確認するライン出力としても利用できる。

 普段、マイクを通した音がどのように聞こえるのかは自分では把握しづらいものだが、ライン機能を使えば簡単に把握できる。この辺りはゲーマー向けというより配信者を意識した機能なのかもしれないが、普通にマイクを使う上でも便利な機能だ。

●4つの指向特性から選べる

 指向特性は従来と変わらず、以下の4つを搭載する。

・カーディオイド:手前側(自分側)の単一指向性。ビデオ会議などで通常のマイクとして使用する場合は、このモードを使うことになるだろう

・オムニディレクショナル:無指向性。リアルな会議など、複数人で話すのを録音する場合に使用するが、自宅ではあまり使うことはなさそうだ

・ステレオ:左右方向の指向性。楽器演奏などを録音する場合には、手軽にステレオ録音が可能となる

・バイディレクショナル:手前側と向こう側の2方向の指向性。対面での会議などを録音するのに使う

 多機能ノブを2秒長押しすると、「カーディオイド→無指向→ステレオ→双方向」と切り替わる。普段使いということを考えるなら、カーディオイドモードで固定して使うことになりそうだ。

 実際に自分の音声を録音して確認してみたが、カーディオイドモードでも、マイクのすぐ横にキーボードがあるとかなりしっかりとタイプ音を拾ってしまう。マイクが高い性能を持つゆえの弊害かもしれないが、マイクの位置を離すなど置き場所に注意が必要そうだ。

●「HyperX NGENUITY」でカスタマイズ可能

 基本的な設定は全て本体だけで行えるが、ゲーミングらしいライティングの設定は専用ソフト「HyperX NGENUITY」から行える。なお、HyperX QuadCast 2/2 S自体はMacでも利用できるが、macOS用のHyperX NGENUITYはリリースされていない。HyperX NGENUITYはゲーミングブランドHyperXシリーズで共通のソフトウェアなので、ゲーミングデバイスといえばWindowsということでMacの需要が少ないということなのだろう。

 HyperX NGENUITYでは、マイクの音量や接続したイヤフォン/ヘッドフォンの音量調整、マイクのミュート、指向性パターンを画面上から変更できる。また、本体では設定できないハイパスフィルターも有効にできる。筆者の環境ではそこまで大きな違いは感じなかったのだが、PCのファンのノイズやエアコンの動作音など、低音域の騒音をカットしてくれる機能だ。

 もう1つ、HyperX NGENUITYでしかできないのがライティングの設定だ。QuadCast 2 SはフルカラーLEDを搭載しており、発光パターンや色などを細かく設定できる。

 これに対して、HyperX QuadCast 2は、赤色LEDのみなので色の変更などはできない。発光ポイントも、上下の2カ所しか選択できないようだ。とはいえ、普段使いする場合には派手な設定は行わず、非表示にするか単色で固定にしてしまうことが多いのではないかと思う。赤色のみというのが目に優しくないと感じるかもしれないが、明るさを落とすことは可能だ。

●音質に妥協したくないならビデオ会議での使用も有効

 肝心の音質について、この手のマイクを使用したことがなく、比較対象がイヤフォンのマイクになってしまうのだが、やはり大きな差を感じる。指向性をカーディオイドモードにしていることもあり、周囲が多少騒がしくてもそうした音は拾わない。家族が在宅中にビデオ会議をよく行うのであれば、大きなメリットだ。さすがに、マイクのすぐ横にあるキーボードのタイプ音は拾ってしまうが、マイクの裏側にキーボードを置けばタイプ音もほとんど拾わなくなる。

 なお、HyperX QuadCast 2とHyperX QuadCast 2 Sの音質の差に関しては、筆者には正直違いが分からなかった。配信する、演奏を録音するなど本格的な使い方をするのであれば差が現れるのかもしれないが、ビデオ会議メインで考えるのであれば、より安価なHyperX QuadCast 2で十分と言えそうだ。

 もっとも、ビデオ会議メインなのであれば、HyperX QuadCast 2/2 Sはオーバースペックすぎる。1万円台程度のもっと安価な製品でも十分だろう。それでも、価格に見合った音質は得られるし、何より机上にあるとカッコいい。常に視界に入るものなので、そうした満足感も重要だ。

 ビデオ通話の音質には妥協したくない、ゲーム中のボイスチャットにも利用するという人にとっては、購入を検討する価値はありそうだ。

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