Appleが突如、クラウドストレージサービスの有料プラン「iCloud+」の月額料金を値上げした。為替の影響とみられるが、値上げ幅は最小容量のプランで月50円、最大容量のプランでは月1100円となっており、状況によっては負担が大きく増えるユーザーもいるだろう。
ただし、これらの料金は2024年8月21日以降に新しいiCloudプランに加入したユーザーに適用される。それより前に購入したiCloudプランに対しては、プラン変更や解約が無ければ、引き続き初回購入時の価格が請求されるという。
つまり、長期で運用してきた既存ユーザーには影響がないが、今後のプラン変更には気を付ける必要がある。
特にHomeKit対応のセキュリティカメラを使いたい場合には、プランによって上限台数が決まっている。買い足しを検討する場合に、プラン変更を迫られることもあるだろう。この際はプランのアップグレードと値上げの両方の影響が出てくるので、維持費の増加に気をつけたい。
無料のiCloudの容量も含め、改定前と改定後の月額料金は以下の通りだ。対応するHomeKitセキュアカメラの台数も併記する。
・5GB:無料→無料、カメラ非対応
・50GB:130円→150円(20円値上げ)、1台のカメラ
・200GB:400円→450円(50円値上げ)、5台のカメラ
・2TB:1300円→1500円(200円値上げ)、無制限のカメラ
・6TB:3900円→4500円(600円値上げ)、無制限のカメラ
・12TB:7900円→9000円(1100円値上げ)、無制限のカメラ
なお、AppleではiCloud+のストレージに加えて、「Apple Music」や「Apple Arcade」「Apple TV+」をバンドルした「Apple One」というサブスクリプションも提供している。本記事執筆時点においては、iCloud+の50GBを含む個人プランが1200円、iCloud+の200GBを含むファミリープランが1900円で提供されており、こちらの価格変更は今のところはないようだ。
●クラウドストレージサービスはどこがお得?
iCloud+の値上げを踏まえ、改めて改定後の料金体験を競合サービスと比較しながらまとめてみよう。主要なサービスとしては、「Google One」「Microsoft OneDrive」「Dropbox」「Box」をピックアップした。それぞれの主な料金プランを表組にまとめてみた。
ただし、このままでは月額と年額が入り交じっていて、どこが割安なのかが分かりづらい。そこで月額/年額プランの安い方を抽出しつつ、1年間の料金の合計額に修正。さらにセルを結合して色分けを工夫してみた。
例えば、50~100GBのクラウドストレージを使いたい場合には、緑のセルが主要な選択肢になる。この場合、容量は少なくなるが、iCloud+の50GBプランが最も安価だろう。また、100GBを利用できるので「Microsoft 365 Basic」のコストパフォーマンスも良さそうだ。
200GB程度が必要な場合には、Google Oneが狙い目だ。1~2TBでもGoogle Oneが割安になっている。一方、5TBまでストレージを確保したい場合には、6GBのストレージが付与されるMicrsoft 365のお得感が際立っている。
ただし、例えばGoogle Oneの容量がGoogle Driveだけでなく「Gmail」や「Googleフォト」にも使われるように、iCloudやMicrosoft 365などに付属するストレージ容量も、そのまま全てをフルに利用できないことは頭の隅に入れておきたい。
今回のiCloud+の値上げのトピックで、すぐに大きな影響を受けるユーザーは限られるかもしれないが、50GBプランを除けば、クラウドストレージサービスとしてのiCloud+は割高感があるようだ。
Apple製品の同期などを快適に行う上では、ある程度の容量が欠かせない。しかし、画像などを保存するための大容量ストレージを確保したい場合には、クラウドストレージサービスの見直しをしてみるのも良いかもしれない。
また、ここ数年は「pCloud」のように買い切り型のクラウドストレージサービスも台頭してきている。市場には外付けのSSDやNASのバリエーションも豊富だ。比較検討時には視野を広くしつつ、リサーチするのが良いだろう。