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AMD/Intel/Qualcomm――どのPCにしようと思って悩んで買った1台はこちらです

ITmedia PC USER 2024年11月27日 16時27分

 例年、1年に1回はメインで使うデスクトップPCを更新するようにしている。それは自作PCのトレンドを把握したり、さまざまなプラットフォームを試したりして記事に反映させるためでもある。また同時に、システムがフレッシュになったり、バックアップを必ず実行したりといった自衛の側面もある。

 2024年は、メインのデスクトップPCを更新すべく成り行き見守っていた。AMDがRyzen 9000シリーズや第2世代X3Dを発売し、IntelもLunar LakeことCore Ultra 200Vシリーズをついに投入してきた。さらに今回はQualcommのSnapdragon搭載PC(ノートPCにはなるが)という、これまではあまり見かけない選択肢もあったりする。

 そして、10月まではソケット形状を一新したCore Ultra 7 265Kあたりを買う気モリモリで待機していたのだが、その結果はワッパ爆上げ、現時点ではゲーム性能もパリッとせずの結果に、「ならばRyzenでもいいな」とTDP 105Wも設定可能になったRyzen 7 9700Xもありかと迷走の機運が高まってきた。

 そんな状況にピリオドを打ってくれたのは、自ら「エキサイティングな発表が1週間続く」と断言して発表された一連のニュースだ。

●購入の決め手になったのは?

 もちろん、購入したのは「MacBook Pro」でも「iMac」でも値下げした「MacBook Air」でもない。一番手頃で小さいボディーの「Mac mini」だ。

 価格はM4モデルが9万4800円(M4 Proモデルは21万8800円)からとiPhoneよりも安く、まさに手のひらサイズのデスクトップPCに生まれ変わった新型だ。Appleの新型は次の世代から買った方がいい、大きくアピールしている「Apple Intelligence」が日本に展開された後の新モデルを買った方がいいというのは重々承知しているが、本田雅一さんの記事にもあるように、極めて良好な「ワッパ」と「高い性能」を両立させたM4チップを試してみたくなったというのが大きい。

購入の決め手となったポイント

・10万円台前半で購入できた

・手持ちのmacOSが全てサポート切れとなった

・M4チップ搭載

・省スペース(で静かなはず)

 標準構成のMac miniでもいいが、メモリかSSDは増設(どちらも+3万円)したいと考え、今回はSSDを2566GB→512GBにカスタマイズした12万4800円のモデル(MU9E3J/A)を手に入れた。

●WindowsからmacOSへの移行は大丈夫?

 とはいえ、現状のPC環境は下記の通りで、このデスクトップPCに4台の4K(3840×2160ピクセル)ディスプレイをつなげている。いろいろとオーバースペック気味だが、このPCでビデオ会議をしたりWebブラウザを使ったり、ゲームをしたり動画や写真を編集したりといった用途では実に快適でストレスを感じない。

 仕事の合間に飛ばすMicrosoft Flight Simulatorも、GPUパワーのおかげで高解像度でも滑らかに動いてくれる。オートパイロットで画面を眺めているだけで癒やされる。

 こだわりのポイントは、ゲーム配信などを行わないにもかかわらず、USBポートをふんだんに用意したASRockのマザーボード「Z790 LiveMixer」と、64GBのメモリという構成だ。

 仕事柄さまざまなUSBデバイスを接続していると、あるタイミングから急にデバイスを認識しなくなったり、デバイスの動作が不安定になったりすることがある。問題の切り分けが面倒な場合も多く頭を悩ませていたが、このマザーボードにしてからはそのようなこともなくなった。

 一方のメモリは、ビジネス用途でもようやく16GBが標準的になりつつあるが、昨今のビデオ会議では映像を映しつつプレゼンなどを行うと、オフィスアプリなど他の動作がとたんに心もとなくなる。特にPhotoshopなど複数のアプリを立ち上げているとなおさらだ。

 いろいろと試したところ、32GBでも気になるケースが発生したため、マザーボード上のスロットを全部埋めたる! と64GBにしたところ、ストレスを感じることが大きく減った。1度は48GB×4の192GBも体験したくなるが、これは後日の楽しみにとっておこう。

 果たして、上記の環境をM4 Mac miniに置き換えるのは現実的なのだろうか。と、購入ボタンを押した後にふと考えてしまった。Apple Storeで買えば14日以内なら返品できるとは分かってはいても、もうちょっと真剣に悩めと1人ツッコミを入れたくなるほどだ。

 何はともあれ、到着予定日より7日以上も早く届いたM4 Mac miniを見ていこう。

 輸送用の段ボールをペリペリと開けるとMac miniのパッケージが現れる。ビニール素材は使われておらず、上ぶたを開けるとMac miniが現れ、その下に電源ケーブルなどが入っている。

 付属品は以上という潔さは前モデルを継承している。Appleシールもなく、「Designed by Apple in California」と記された紙ケース内に、簡易マニュアルと保証規定などが記された用紙が入っているだけだ。

 また、パッケージの底面には同社のMac製品で初となるカーボンニュートラルを示す「Carbon Neutral」の文字がある。2023年9月に発表されたApple Watchシリーズで同社初のカーボンニュートラル製品を発表したが、それから1年ちょっとを経てMac製品も対応を果たした。

●見た目よしだけど重厚感が……

 本体のサイズは約12.7(幅)×12.7(奥行き)×5(高さ)cm、重量はM4モデルが約670g、M4 Proモデルが約730gという公称値だが、M4モデル(SSD 512GB)を実測したところ648.5gだった。見た目は安っぽさこそ感じないものの、重厚感はないというところだ。

 小型で軽量だからいいのではないかと思いがちだが、本機に接続するThunderboltケーブルは得てして固くて剛性が高いため、この重量では本体がケーブルに引っ張られて思ったような場所に置けないという事態が発生しやすい(本体の底面にゴムなどはないのでなおさら)。

 それを回避するには、サードパーティー製の縦置きスタンドやVESAマウントアダプター、ドッキングステーションなどを利用する手もあるが、発売直後のタイミングではさすがにM4モデル用には用意されておらず、Amazon.co.jpなどを見ても3Dプリンタを使ったものばかりだ。

 従来のMac miniシリーズもこの辺りは豊富な選択肢があったので時間が解決してくれるとは思うが、現時点では気をつけておきたいポイントである。

 Thunderbolt端子とUSB Type-C端子の総数は前モデルよりも増加したが、全てがUSB Type-Cという割り切った構成なので、ドッキングステーションなりアダプターなりを利用することになりそうだ。

 そして何よりも、デスクトップPCで電源ボタンが底面にあるのは論外だ。Appleの幹部や関係者が「もうApple SiliconのMacは電源ボタンに触れることは減っている」というような趣旨のことをいっているのが漏れ聞こえている。

 しかし、ノートPCのMacBookシリーズはスリープ運用が当然としても、デスクトップPCで同様の運用をするのかなり限られたシーンではなかろうか。根本的な解決策としては縦置きスタンドなどを使うか、3Dプリンタで電源ボタンを上部に強引に持ってくるなどしかなさそうだ。

 仮にスリープ運用が当然だというのならば、せめて前面のインジケーターランプをユーザー側でオフにする設定は用意してほしい。スリープ中でも常時点灯しており、夜間だとかなり目立つからだ。

 次回は、購入前に悩んだ/懸念を抱いたポイントが実際にはどうだったのかを見ていきたい。

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