マウスコンピューターのゲーミングPCブランドと言えば「G-Tune」がおなじみだが、実はその歴史は長く、2024年で20周年を迎えている。11月27日にはブランド表記を「G TUNE」に改め、引き続きゲーミングPCの領域で大いに存在感を発揮しそうだ。
そんな20周年を記念するモデルとして登場したのが「G TUNE E5-I7G50BK-B」である。15.3型のWQXGA(2560×1600ピクセル)ディスプレイに、第13世代のCore i7とGeForce RTX 4050 Laptop GPUを組み合わせたゲーミングノートPCで、この物価高の中でも記念モデルとして魅力的な価格を打ち出しており、eスポーツタイトル中心のPCゲームを手頃な価格で始めたい人に適した製品に仕上がっている。
●15.3型だがコンパクトでスリムのゲーミングノートPC
まずはG TUNE E5-I7G50BK-Bの外観を見ていこう。カラーはブラックで、外装はシンプルだ。ゲーミングノートPCでよくある“ゴテゴテ”とした装飾はない。天板のG TUNEロゴを除けば、まるでスタイリッシュなスタンダードノートPCのように見える。
15型クラスなので大型のノートPCを想像する人も多いかもしれないが、本製品は15.3型でアスペクト比が16:10でありながら、約34.2(幅)×24.5(奥行き)cmとなっている。
一般的に15型のスタンダードノートPCは約35cm(幅)×25(奥行き)cmを超えてくるので、G TUNE E5-I7G50BK-Bは一回りコンパクトだ。「15.6型では大きすぎるが、14型では窮屈で……」という人にベストマッチしそうだ。
ちなみに本体の厚みは約22.1mm(突起部含まず)、重さは約2.09kgとなっており、このクラスの製品としてはスリム&軽量といえるだろう。
前述したように、ディスプレイの解像度は2560×1600ピクセルで、アスペクト比は16:10となっている。モバイルノートPCで普及してきた1920×1200ピクセルに比べて、より高解像度であるため、ゲーム中の視界が広がるだけでなく、普段の作業でも使い勝手が向上する。視力に自信があるなら100%スケールで表示することで、圧倒的に広い作業領域を確保できる。
リフレッシュレートは180Hzまで対応している。以前なら120Hzで高性能なゲーミングディスプレイとアピールされていたものだが、近年はこの数字がどんどん向上している。
ゲーミングノートPCでも240Hzや360Hzといった高リフレッシュレートに対応するモデルが登場しているが、実際のゲームプレイ時においては同程度のフレームレートが必要なので、GPUスペックとの兼ね合いが必要になる。180Hzというのは、GeForce RTX 4050 Laptop GPUと搭載する本製品は必要十分といったところだ。
ディスプレイのベゼルは、最近のノートPCらしくかなり狭めだ。画面占有率が高く、実際にゲームをプレイした際の没入感も高い。上部ベゼルには有効100万画素のWebカメラも搭載している。物理的なスライド機構によるプライバシーシャッターが実装されているのはうれしいところだ。レンズ部分が赤色になっていればシャッターが閉じられた状態となり、必要な時はシャッターを物理的に開けて使える。
キーボードはテンキー付きの105キー日本語配列となっている。テンキー付きなので本体幅いっぱいであり、キーピッチも約18.75mmと標準的なものよりわずかに狭くなっている。キーストロークは約1.4mmだ。
ただし、実際にタイピングをする上ではそこまで違いを感じないだろう。右Altキーが省略されていたり、テンキーについては幅が狭くなっていたりするが、主要なキーは十分な大きさだ。カーソルキーも4つが同じ大きさ(よくある上下ハーフ高ではない)というのも好感触である。また、電源ボタンや電源モード切り替えボタンが独立しているところも使いやすい。
ゲーミングらしく、やや高反発で分かりやすいクリック感もある。nキーロールオーバーにも対応している。そしてARGB対応のLEDバックライトの点灯パターンとして、デフォルト(単色発光)、レインボー、ブレス、ミュージック、ウェーブといったプリセットが用意されている。さらにユーザーモードではキー単位でカラーを指定できる。当然だが設定でオフにもできるし、スリープまでの時間も設定できる。
側面のインタフェースを見てみよう。左側面がセキュリティロックスロット、USB 3.0ポート×1、USB 3.0 Type-Cポート×1、ヘッドフォン/マイクコンボジャック×1がある。
右側面はSDメモリーカードリーダー、USB 3.0ポート×2。そして背面がMini Display Port×1、USB 3.1 Type-Cポート×1、HDMI出力×1、2.5GbE対応の有線LAN×1、電源端子となっている。
大きくUSBというくくりなら左右に2ポートずつあるので右利き、左利きどちらでも対応できそうだ。そしてデスクトップ代替で常時接続するタイプのポートは背面にまとまっている。
独自端子を採用した定格210WのACアダプターが付属する。電源ケーブルは3ピンタイプだ。ACアダプター本体部分のサイズは約136(幅)×68(奥行き)×25(高さ)mmで、持ち運びにはやや大きい。本体の背面にあるUSB Type-C端子がUSB PD(Power Delivery)に対応しており、100W以上のUSB PD充電器が使える。
ただし、100WのUSB PD充電器を接続している時は、付属のACアダプター接続時と比べて同じベンチマークテストでもスコアが低下した。本来なら210Wを要求しているPCを100Wで動かしているのだから当然だ。
つまり、出先でゲームを楽しみたいという時は付属のACアダプターを携行し、出先で行うのがグラフィックス性能を必要としないビジネスユースやライトユースなら100W程度のUSB PD充電器で持ち運ぶ道具を軽量化するといった使い分けがよさそうだ。
●GPUの性能を引き出すスペック構成ながら価格は抑え目
ここからは内部スペックを見ていきたい。CPUはCore i7-13620H(10コア16スレッド)だ。Pコア6基、Eコア4基といった配分で、ターボブースト時の最大クロックは4.9GHzとなってる。消費電力はベース45W、最大115Wだ。本製品がターゲットとするゲームの必須要件はおよそ満たせているだろう。
GPUはGeForce RTX 4050 Laptop GPUで、GeForce RTX 40シリーズのLaptop GPUとしてはエントリークラスだ。CUDAコアは2560基、グラフィックスメモリはGDDR6で6GB、消費電力は35~115Wとされる。
いわゆるAAAタイトルをターゲットにすると、フルHDでも高画質設定で60fpsは少々厳しく、画質設定を引き下げたり、DLSSを利用したりしてプレイ可能なフレームレートまで持っていくといった運用が想定される。ただ、eスポーツタイトルのように、そもそも軽量なゲームであれば本製品の最大解像度/高画質設定も視野に入ってくる。
メモリは標準で16GBを搭載している。DDR5-4800で8GB×2枚のデュアルチャネル構成となる。BTOカスタマイズで増量ができないところが注意点だ。本製品が想定するゲームについては現状16GBで不足することはないと思われるが、ゲーム配信をしたくなった時や、写真/動画の編集、AIなどを試してみたいといった用途が出てくると足りなくなるだろう。ただし、SO-DIMMスロットを利用しているようなので、保証対象外の行為となるが、ユーザー自身が換装することは可能と思われる。
ストレージはNVMe対応のM.2 SSDが採用されている。容量は512GBだ。型番で検索したところ、PCI Express 3.0 x4接続のSSDで、HMB(ホストメモリバッファ)をサポート、転送速度はシーケンシャルリード毎秒2GB、同ライトは毎秒1.6GBクラスといったスペックだった。
CrystalDiskMarkでの実測値は、シーケンシャルリードで毎秒2.5GB、同ライトで毎秒1.8GBと公称値よりも速かった。NVMe対応M.2 SSDの中では比較的遅いエントリークラスの製品だが、Windowsの起動や一般アプリの起動といったところでは遅いと感じることはない。
ワイヤレス機能はWi-Fi 6Eの無線LANとBluetooth 5に対応している。
電源設定は、キーボード上部のボタンから切り替え可能な他、さまざまな設定が可能なユーティリティー「Mouse Control Center」からも設定可能だ。モードはパフォーマンス、バランス、静音の3つで、ファン回転数を最大にできるFan Boostも用意されている。同ユーティリティーは先に紹介したキーボードバックライトの設定の他、「ファンクションスイッチ」として、Winキーロックをはじめとした動作設定もできる。
●eスポーツタイトルなら十分な性能 必要に応じて超解像やフレーム生成併用で重いゲームも楽しめる
それでは、ベンチマークで本製品の実力を見ていく。まずは標準的なベンチマークソフトでPC性能の立ち位置を確認しよう。電力設定はMouse Control Centerから「パフォーマンスモード」に、NVDIAコントロールパネルからGeForce RTX 4050 Laptop GPUを常にオンとして計測している。
最初はアプリケーション性能を見るPCMark 10(Extended)だ。Core i7に外付けGPUを採用するとあってホーム用途のEssentialsやビジネス用途のProductivity、コンテンツ制作のDigital Content Creationいずれも1万点を超える高いスコアを獲得した。
ホーム/ビジネスとも外付けGPUを活用できて高性能な他、コンテンツ制作についてもRTX 4050のアクセラレーションを利用できるので生産性が高い。Gamingについては1万6448ポイントだった。GeForce RTXとしてはエントリークラスであるため1万点台だが、CPU内蔵GPUを利用するノートPCよりは大幅に高いスコアだ。
続いて、CPU性能をCINEBENCH R23で計測した。マルチコアは1万7214pts、シングルコアは1818ptsだった。マルチコアの値はコア/スレッド数なりで、一般用途では十分なパフォーマンスを期待できる。シングルコアもノートPCでは十分なスコアだ。
3DMarkはいくつかのテストをピックアップして紹介したい。まずよく指標として用いられるTime Spyは9305、Fire Strikeは2万1080といったスコアだった。高スコアではないが、DirectX 12のTime Spyが1万点にあと少し、Fire Strikeで2万点オーバーなら悪くない。
他にはWQHD(2560×1440ピクセル)のテストが行えるSteel Nomad Lightは8736、Fire Strike Extremeは1万460だった。Steel Nomad Lightは現在のトレンド技術ベースの中負荷テストだ。ある程度の負荷のゲームなら、WQHD、本製品の場合はWQHGAになるが最大解像度で楽しめると予想される。
次に、実際のゲームタイトルを使ったベンチマークテストの結果を紹介しよう。まずファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークだ。本製品の最大解像度である2560×1600ピクセルで計測した。
まずは画質設定を「最高品質」とした場合は7693ポイントで、「やや快適」評価だ。55.05fpsと、プレイ可能だが60fpsは若干下回るあたりになる。
「高品質(デスクトップPC)」設定に下げると、9983ポイントで「快適」評価が得られた。フレームレートは68.54fpsに向上している。なお、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは2560×1600ピクセルが設定ができないが、2560×1440ピクセル(WQHD)設定で計測したスコアはおおむねファイナルファンタジーXIVと同じだった。
もっとも上の高品質は「やや快適」、1つ引き下げた「標準品知る」なら「快適」評価になる。
サイバーパンク2077はかなりグラフィックス負荷が高いため、「レイトレーシング:低」設定をそのままだと35fps程度だった。そこで超解像技術「DLSS」の品質をウルトラ・パフォーマンス、フレーム生成技術「DLSS FG」をオンにしたところ、85.78fpsに向上した。重量級タイトルもDLSSに対応している比較的新しいものであれば、十分なフレームレートを得られる可能性はある。また、AMD FSRはGeForce RTXでも超解像のみなら利用できる。
ここからはeスポーツ系タイトル3つの例を紹介しよう。まずディアブロ IVだ。解像度は2560×1600ピクセル指定、画質プリセット「高」(最高画質のウルトラの1つ下)、DLSSがバランス、レイトレーシングオフといった設定で平均130fps、1%Lowが108.1fpsだった。
本タイトルはフレーム生成にも対応しているが、レスポンスを重視する人は使わない方がよい。フレーム生成を使わない方向で平均180fps超を狙ってみると、画質プリセット「低」、DLSS:ウルトラ・パフォーマンス、レイトレーシングオフといった設定で平均188.4fps、1%Lowが154.8fpsが得られたので参考にしてほしい。
続いてのタイトルは、オーバーウォッチ2だ。解像度は2560×1600ピクセル指定で、画質プリセットは「エピック」(最高画質設定)としている。AMD FSR 1.0をオンとした設定で平均140.9fps、1%Lowが103.8fpsだった。画質プリセットを「ウルトラ」に下げると平均269.9fps、1%Lowが178.4fpsとなったので、本製品が採用する180Hzパネルにマッチする。
最後にテストしたのは、エーペックスレジェンズだ。起動オプションに「+fps_max 0」としてフレームレート上限を回避(完全ではない)している。解像度はこれも2560×1600ピクセル指定だが、このゲームにプリセットはない。
そこで設定できる最高画質、最軽量画質で計測した。テクスチャストリーミング割り当てについてはGPUのグラフィックスメモリが6GBなので「最高(VRAM:6GB)」、アンチエイリアスはTSAA、テクスチャフィルタリングは異方性2Xに固定とし、まずは各項目を最高ないしは高に引き上げた場合で平均131.4fps、1%Lowが74.3fpsだった。
一方、各項目を低ないしは無効とした場合で、平均183.8fps、1%Lowが99.5fpsだった。エーペックスレジェンズの場合、パネルのリフレッシュレートに合わせることを優先するなら最軽量設定がよさそうだ。
なお、付属するACアダプターの出力が210Wのため、事実としてCPUが最大115W、GPUも最大115Wなので210Wではフルパワーが出せないのは計算上からも確かだ。ただし、CPUとGPU両方に100%負荷がかかるような状況も、そこまであるものではない。ゲームにおいても同様だ。ベンチマークスコアもスペックからすると妥当なものだったと言っておきたい。
●エントリーゲーマーに最適、お買い得な20周年モデルでデビューしよう!!
ここまで紹介してきた通り、G TUNE E5-I7G50BK-Bは、ゲーミングを前面に出すようなデザインではなく、普段使いでも問題なく持ち運べるところがよい。
15型クラスというゲーミングノートPCのスタンダードサイズに分類されつつ、15.6型よりは若干コンパクトで軽量だ。ゲーミング性能はベンチマークの通り手堅くまとまっている。
ノートPCとしても高性能だから、ビジネスや学習と、ゲーム&エンタメを1台でこなせるノートPCが欲しいといったニーズにもマッチするだろう。
ゲーミングノートPCの世界に手を出したいが、いきなり20万~30万円は出せないといったエントリーゲーマーも多いことだろう。もちろんそれだけの額を出さなければ遊べないゲームもある世界だが、人気のeスポーツタイトルを遊びたいなら標準構成で15万9800円という本製品なら手を出しやすいだろう。兄弟機のG TUNE E5-I7G50BK-Aと比べてもさすがG TUNE 20周年モデルといったお値打ち価格だ。