Infoseek 楽天

ゲームボーイ世代直撃な縦型Androidデバイス「AYANEO POCKET DMG」を試す

ITmedia PC USER 2024年12月23日 17時50分

 ゲーミングデバイスを多数発売しているAYANEOが、2025年1月31日に縦型レトロデザインのAndroidゲーム機「AYANEO POCKET DMG」を発売する。事前に実機をじっくり触れる機会を得られたので、デザインや動作のパフォーマンス、実際にゲームプレイしたときの様子を詳しく紹介しよう。

●AYANEO POCKET DMGの外観をチェック!

 まずはAYANEO POCKET DMGの外観をチェックしていこう。まさにゲームボーイを思い浮かべてしまいそうな、どこか懐かしいデザインに仕上がっている。最低限のボタンだけでなく、最近のゲームにも対応できるようにジョイスティックとタッチパッドも搭載している。

 右側面にはカスタマイズが可能なボタンが2つと、指紋認証センサーを搭載した電源ボタン、microSDメモリ-カードスロットが用意されている。

 レトロなデザインでありながら、指紋認証センサーやmicroSDメモリーカードスロットなど、Androidデバイスとして活用する際に便利な機能もしっかり搭載しているので実用的だ。ユーザーからすると非常にありがたい。

 続いて左側面を見ていこう。こちらもカスタマズ可能なボタンが2つと、「MagicSwitch」と呼ばれるスクロールホイール、そして後述するパフォーマンスモードを切り替えられるターボスイッチが用意されている。

 この中でもMagicSwitchは特に便利だ。スクロール操作を行うと音量調整やミュート切り替えを行えるだけでなく、長押しによってその他の機能を呼び出せる専用メニューが画面上に表示され、任意の機能を割り当てられる。

 縦型という特性上、ファーストインプレッションでは「Androidの操作や現代的なゲームの操作に一部不便さを感じるのでは」という懸念があったが、操作面において不便さを感じさせない工夫が随所に感じられた。

 続いて背面を見てみよう。大きなR1/R2、L1/L2ボタンが配置されている。こちらのボタンはゲームプレイ時の操作に役立つものだが、何よりAYANEO POCKET DMGのグリップ感の向上にも役立っているとも感じた。

 懐かしさを感じるレトロデザインを犠牲にせず、使いやすさや持ちやすさを向上させる工夫が随所に見受けられる点や豊富なカスタマイズ性を備えており、単なる“見た目”だけというわけなく、使っていてワクワクできる製品に仕上がっている。

●AYANEO POCKET DMGのパフォーマンスをベンチマークテストで試す

 続いてはAYANEO POCKET DMGの性能をベンチマークテストやゲームプレイを通してチェックしていこう。まずはスマートフォンのベンチマークアプリとして有名な「AnTuTu Benchmark 3D」で、AYANEO POCKET DMGの実力をテストしてみた。

 AYANEO POCKET DMGはパフォーマンスのモードを切り替えられる。今回は「Balance」モードと「Game」モード、「Max」モードでそれぞれテストを行った。また、比較用としてGoogle Pixel 9の結果も用意したので参考にしてほしい。結果は以下の通りだ。

【総合スコア】

Balanceモード:137万7603ポイント

Gameモード:148万6171ポイント

Maxモード:155万2177ポイント

Google Pixel 9:125万756ポイント

【CPUスコア】

Balanceモード:30万911ポイント

Gameモード:34万4545ポイント

Maxモード:37万7428ポイント

Google Pixel 9:36万2579ポイント

【GPUスコア】

Balanceモード:59万3674ポイント

Gameモード:59万4926ポイント

Maxモード:59万7188ポイント

Google Pixel 9:45万3066ポイント

【MEMスコア】(メモリとストレージのスコア)

Balanceモード:26万3188ポイント

Gameモード:29万4087ポイント

Maxモード:30万3101ポイント

Google Pixel 9:21万5115ポイント

【UXスコア】(操作快適性のスコア)

Balanceモード:21万3188ポイント

Gameモード:25万2613ポイント

Maxモード:27万4460ポイント

Google Pixel 9:21万9996ポイント

 それぞれの結果を見てみると、CPUスコアはMaxモードでなければGoogle Pixel 9に勝てない結果となったが、それ以外の項目については大きな差がついた。Google Pixel 9の価格が12万8900円からということを考えると、8万4800円で購入できるAYANEO POCKET DMGは、ゲーム機という観点で見れば非常にコストパフォーマンスが高い。

 各パフォーマンスモードでのスコア差をチェックしていくと、CPUスコアとMEMスコア、UXスコアの平均的な伸びはBalanceからGameに切り替えた際が平均14.9%のスコア増、GameからMaxに切り替えた際が、平均7%増という結果になった。

 こうして見ると、処理が重たいゲームをプレイする際はMaxモードを多用するのではなく、Gameモードを利用するのがパフォーマンスとバッテリー消費の点で好ましいと考えられる。

 GPUスコアについては、他の項目と比較して大きな伸びは得られなかったが、スコアとしては確実に、上位のモードに切り替える事で向上していることが分かる。

 ベンチマークテスト結果から得られるAYANEO POCKET DMGのパフォーマンスモードの使い分けは、普段はBalanceモードで利用した上でゲーム起動中に動作に引っ掛かりを感じたら、ゲームを一時停止してパフォーマンスモードをGameモードに切り替えるのが良さそうだ。

 なお、パフォーマンスをBalance以上に設定する際に1点だけ注意点がある。それは空冷ファンの動作音だ。

 パフォーマンスが高いということはSoCの発熱量も増してしまう。よって冷却のために空冷ファンの回転数が上がるようになっているが、Balanceモードでは気にならなかったファンの音が大きくなる。場合によってはスピーカーの音を上げるか、ワイヤレスイヤフォンを利用するようにしよう。

●きれいなディスプレイで原神がプレイできる Androidゲーム機としては大満足のパフォーマンス

 ベンチマークテストで、AYANEO POCKET DMGのパフォーマンスを数値で確認できたので、続いてはAndroid向けのゲームで動作が重たい「原神」を実際にインストールして動作を確認した。

 原神のインストール後に、パフォーマンスモードをGameモードに指定した上で、ある程度動作を確認してみたところ、ゲームプレイ中に特にカクツキなども感じられず、快適にゲームをプレイできた。

 よって普段はBalanceモードに設定した上で、描画されるオブジェクトが増えるなどが原因で動作にカクツキを感じた場合は、Gameモードに切り替えてもよさそうだ。

 ゲームパフォーマンス以外では、ディスプレイが3.92型と、最近のスマホと比べるとサイズが小さい。そのせいで「ゲームUIなどが見づらいのではないか」と懸念していたが、ディスプレイの発色自体がきれいなこと、解像度が1240×1080ピクセルであることもあってか、プレイに支障をきたさないことが分かった。

 原神をAndroidデバイスでプレイしたことがある方なら知っているかもしれないが、キャラクターの移動や攻撃、ジャンプなどのアクションはディスプレイをタッチして操作するようになっている。

 AYANEO POCKET DMGはタッチパネルディスプレイを搭載しているので、もちろん画面をタッチして操作も可能だが、せっかくのジョイスティックやボタンが利用できないのはもったいし、ゲームプレイ時の大きな課題となる。

 そんな課題を解決するために、AYANEO POCKET DMGではゲーム毎にキーマッピング設定が用意されており、設定画面を表示すると上図の通りゲームUI上にオーバーレイで表示される。

 ゲームを新しく追加する度に、キーマッピング設定が必要になるのが少し面倒だが、ジョイスティックやボタンを割り当てる位置を指定すると、本体のジョイスティックやボタンでゲームをプレイできるようになっている。

 最近はGoogle Play ストアで過去のドラゴンクエストシリーズなどのリメイク作品が公開されているので、Nintendo Switchで「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」が流行っている中、あえてポケットサイズの本機で、過去のタイトルのリメイク作品を楽しむのも良さそうだ。

●一部では起動できないゲームも

 原神やドラクエ以外にも、最近はやっている「Pokemon Trading Card Game Pocket」をプレイすれば面白いのではないか、と考えてインストールしてみた。

 しかし、いざPokemon Pocketを立ち上げてタイトル画面をタップしてみると、ゲームが強制終了してしまう場面に遭遇した。

 AYANEO POCKET DMGの再起動なども試してみたが、ゲームが強制終了してしまいプレイがかなわなかった。原神やDRAGON QUEST Vと比べると、ゲーム画面がディスプレイいっぱいに表示されなかったことから、おそらくゲーム側で最低限必要な解像度をクリアできず、例外が発生して落ちたのでは、と予想している。

●一部不便な点もあるが全体的に非常にレベルの高いAndroidゲーム機

 一部キーマッピングが必要になったり、正常に動作しないゲームがあったりなど、不便な点もあるが、有機ELディスプレイの鮮やかな表示や手のひらサイズのボディーからは想像できない高いパフォーマンスなども踏まえると、AYANEO POCKET DMGは非常にレベルの高いAndroidゲーム機と呼べそうだ

(製品協力:天空)

この記事の関連ニュース