安全保障の観点から、米国政府が「TP-Link Systems(TP-Link)」のネットワーク機器の利用を禁止することを検討している――米国の「The Wall Street Journal」が12月18日(米国東部時間)、このように報じた。
本件を受けてTP-Linkは12月20日(米国太平洋時間)に公式声明を発表した。TP-Linkは米国企業であり、中国法人である「TP-LINK Technologies(TP-LINK)」とは提携関係になく、中国政府はルーターなどのネットワーク機器の設計や製造に干渉することはないという旨が記されている。声明の抄訳は、TP-Linkの日本法人であるティーピーリンクジャパンのWebサイトにも掲載されている。
●TP-LinkはTP-LINKからの“分離”を進めていた
先述の通り、TP-LINKは中国企業である。ただ同社は2022年から中国外の事業を企業として“完全分離”させる取り組みを進めてきた。
まず2022年初頭、中国外に所在する子会社の株式、研究開発/マーケティング/サポート体制をシンガポール法人である「TP-Link Corporation」に移管した。
2023年には、TP-Link Corporationは米国法人として「TP-Link Global」を設立し、2024年5月までに研究開発/技術マーケティング機能や研究開発拠点の運営権を移管。シンガポールと米国の2本社体制に移行した。
さらに2024年5月、TP-Link GlobalとTP-Link USA(米国での事業会社)は合併し、商号を「TP-Link Systems」と改めた。その上で、TP-Link Corporationに残っていたオペレーション(経営指揮)機能も統合し、グローバル本社をTP-Link System(米国)に一本化した。
これにより、TP-LinkはTP-LINKからの事業分離を完了したという。
今回の声明は、現在のTP-Linkはあくまでも“米国法人”で中国以外で事業を展開していることや、米CISA(サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)が定める「Secure by Design(セキュア・バイ・デザイン)」への準拠を宣誓していること、製品を原価割れで販売している事実はないことなどをアピールしている。