PC周辺機器の中でも、ここ数年で市場が大きく拡大しているのがゲーミングデバイスだ。ゲームを遊ぶためにゲーミングPCを選ぶ人が増えていることで、ゲーミングPCとの同時購入はもちろんのこと、遊ぶゲームタイトルに合わせて2台目や3台目の買い増しを行う人も珍しくない。
しかし、市場が拡大しているということは、魅力的な製品が数多く登場していということで、数あるゲーミングデバイスから自分に合ったものを選ぶことが難しくなってきた印象もある。
そこで今回は、10月にロジクールから発表された最新のゲーミングマウスとゲーミングキーボードに注目したい。この記事が公開されている時期は、ちょうど冬のボーナスやクリスマス、お正月のお年玉などを軍資金にして、大人も子供もゲーミングデバイスの購入を検討しているかもしれない。少しでも参考になれば幸いだ。
●シリーズ初の非対称ボディーを採用「PRO X SUPERLIGHT 2 DEX」
ロジクールの豊富なゲーミングマウス製品の中でも、フラグシップモデルは「PRO」を冠するモデルだ。最新モデルの「PRO X SUPERLIGHT 2 DEX」(2万6950円)も、その名の通りフラグシップモデルとして軽量なボディーに高解像度のセンサーを採用するなど、eスポーツの競技シーンにも耐えられるような「本気のマウス」として進化を遂げている。
最大8000MHzのポーリングレートに、マウスの光学式センサーの解像度は最大4万4000DPI、加速度も最大88Gと、高速なマウス操作や1ピクセルを競うような繊細な操作にも追従する高性能な1台だ。
また、同シリーズとしては初めて人間工学に基づく左右非対称デザインを採用しているのも大きな特徴だ。右手専用となってしまう代わりに、手のひらや指をサポートする形状になったことで、より握りやすさや操作しやすさが改善されている。
もちろん、従来モデル同様にロジクール独自の光学式スイッチ「LIGHTFORCEハイブリッドスイッチ」を採用することで、マウスボタンのクリックの入力遅延を極小化している点や、約60gという軽さも引き継いでいる。
今回は比較用に「PRO X SUPERLIGHT 2」も借用し、PRO X SUPERLIGHT 2 DEXと比べながら使ってみた。左右非対称になった本体形状は持ちやすさはもちろんのこと、長時間の操作でも疲れづらく、また「手に汗握る緊張感のあるプレイ」の際にも、手や腕の動きにより追従してくれる安心感を感じることができた。
もちろん右手用となることで、プレイスタイルに制限が出てしまう点は左右非対称デザインの弱点でもあるが、マウスは右手派であれば、ぜひ積極的に選んでほしいモデルといえる。
なおPRO X SUPERLIGHT 2についてもファームウェアの更新で、8000MHzのポーリングレートや最大4万4000DPIの解像度に対応するため、マウスは左手派であればこちらを選んでもいいだろう。
●傑作モデル「G913」から進化した「G915 X LIGHTSPEED TKL」
もう1つ、ロジクールのゲーミングキーボードの中でも根強い人気を誇るのが「G913」だが、そのリニューアルモデルとして登場したのが「G915 X LIGHTSPEED TKL」(3万4870円)だ。
浅めのキーストロークと、アクチュエーションポイントが特徴のロープロファイルスイッチを採用したことにより、素早い入力のしやすさが評価されているモデルで、アルミボディーの高級感ある仕上げは先代から引き継がれている。
もちろん、新モデルとしてユーザーのフィードバックを得て従来モデルから進化したポイントも多い。特にゲーミングキーボードの要となる入力については、第2世代の「GLメカニカルスイッチ」を採用し、先代で1.5mmだったアクチュエーションポイントは1.3mmに、押下圧はスイッチ種別にもよるが、どれも約40g台と軽くなったことで機敏なキー操作が可能になっている。
キーストロークは約2.7mmから約3.2mmと深くなったことで、ロープロファイルスイッチを採用しながらしっかりとしたタイプ感を得られるようにもなっているため、ゲームだけでなく普段使いでも打ち心地の良さを感じられる。
また有線接続、ワイヤレス接続から選べるだけでなく、有線接続ではイマドキのデバイスらしく接続端子が「USB Type-C」に更新されている。先に紹介した同社のゲーミングマウスでも充電端子はUSB Type-Cに置き換えが進んでいるため、キーボードも含め同じケーブルで充電や接続ができるようになったのは、さまざまなデバイスをデスク上にそろえることも多いゲーミングシーンでメリットは大きいといえるだろう。
実際の操作感に関しても、アクチュエーションポイントが浅くなったこと、押下圧が軽くなったことで、ゲームプレイ中に「キーを押したつもりで押せてなかった」というミスが減り、快適にプレイできた。
普段使いのキーボードとしても、キーストロークが深くなったことでロープロファイルスイッチ採用のキーボードは思えぬほどしっかりとしたキータッチが心地よく、ゲーム中のテキストチャットの方に夢中になってしまったほどだ。
外観だけ見るとG913からの変化も少ない「G915 X LIGHTSPEED TKL」だが、その実態は、ゲームでもゲーム以外でも、どちらもバランスよく利用できる万能型のキーボードとして万人向けの1台といえるだろう。
先代モデルも5年ほどモデルチェンジしなかったように「G915 X LIGHTSPEED TKL」も長期にわたり使うことのできるキーボードとしてもオススメできる1台だ。
●話題のラピッドトリガーに対応した「PRO X TKL RAPID」
ロジクールの新作デバイスの中で最も注目を集めているのが「PRO X TKL RAPID」(2万9800円)だ。ここ数年でゲーミングキーボードに新たな風を巻き起こしている機能が「ラピッドトリガー」で、競合他社や新興メーカーでも積極的に同機能の搭載を売りにしている。
ロジクールGシリーズが待望のラピットトリガーが搭載となったことで、従来モデルからの買い替えなどを検討している人は多いだろう。
ラピッドトリガーは特にゲームプレイではFPSやTPSでの効果が大きい。キーがどこまで押し込まれたかで入力を判断する「アクチュエーションポイント」は多くのキーボードで以前より対応しているのだが、これに加え「キー入力が解除されるタイミング」を、より早く設定できるのがラピッドトリガーの強みだ。
例えば、特定のキーを押してキャラクターを操作するゲームを想像すると分かりやすい。
押し続けている間は進み続けるのだが、敵の姿が見えた場合はすぐに止まって一度隠れたり、来た道を戻りたい。だが、従来のキーボードではキー入力をやめてもすぐに入力が解除されるわけではないので、想定した位置よりもわずかに前にキャラクターが進んでしまう。
これがラピッドトリガーであれば「キー入力をやめた瞬間」に入力が解除されるため、ピタッとその地点でキャラクターを止めたり、次の操作のために入力した他のキーの操作が受け付けられる。
フレーム単位やピクセル単位でシビアなキャラクター操作が求められる競技性の高いゲームでは、ラピッドトリガーがあるかないかで勝てるチャンスが大きく変わってくる。
PRO X TKL RAPIDのアクチュエーションポイントは0.1mm単位で0.1~4.0mm、ラピッドトリガーは0.1~2.0mmで調整可能で、それぞれかなり浅い設定にすればキーを押すというより“触れる”感覚で次々とキー入力を行っていけるのは、スムーズかつシビアなゲーム操作を行いたい場合に重宝する。
また、ラピッドトリガー以外に「最後に入力されたキーの入力を最優先とする」機能である「KEYPRIORITY」にも対応している。
これは他のキーの入力中に別のキーを入力した場合、後から入力したキーの動作を優先する機能で、例えば「左に移動中、右に移動するキーを入力すると右への移動が始まる」「右に移動するキーを離せば即座に左への移動が再開される」ため、ラピッドトリガーと合わせ俊敏なゲーム操作との相性は抜群だ。
これらの新機能に対応したことで、PRO X TKL RAPIDはeスポーツシーンなど競技性の高いゲームに同社のラインアップの中で最も適したキーボードになったといえる。
なお、キースイッチが磁気スイッチに変わったことで、従来モデルからキータッチが変わっていないか心配といった声もあると思うが、これについても心配はいらない。深めのキーストロークでも途中でキーがぶれるような不快感はなく、スコスコと快適に入力を行うことができるため、ゲーム以外でも快適に利用することが可能だ。
●全方位で勝ちのチャンスを得られるデバイスに
ここまでに紹介した通り、ロジクールの最新ゲーミングデバイスはマウスもキーボードもトレンドの機能、性能を得たことで第一線で活躍できるゲーミングデバイスに進化したといえる。
もちろんゲームだけなく軽量なマウスは腕が疲れづらく、好みはあるがアクチュエーションポイントが浅めのキーボードは文字入力をしていても指が疲れづらいため、通常のPC操作でも快適な操作を実現してくれるだろう。
またカラーバリエーションもブラック、ホワイト、そしてG915 X LIGHTSPEED TKL以外は鮮やかなマゼンタも選べる。
キーボードはアルミのトップカバーの質感の高さや、フルカラーLEDによるバックライトの美しさもあり、ゲームプレイだけでなくPCデスクを鮮やかに飾ってくれる点でも満足度が高い。
冒頭にも書いたように、これからゲーミングデバイスの新規購入や買い替え、買い増しを検討している場合、ロジクールの最新ゲーミングデバイスの購入は十分検討する価値のあるラインアップがそろっているといえるだろう。