Infoseek 楽天

モバイルに「L3キャッシュ爆盛り」とApple/Intel対抗の「GPU強化モデル」登場――AMDが新型「Ryzen」を一挙発表

ITmedia PC USER 2025年1月7日 6時0分

 AMDは1月6日(米国太平洋時間)、デスクトップ/ノートPC向けCPU「Ryzen」の新モデルを発表した。搭載製品は2025年第1~第2四半期から順次発売される予定だ。

●Ryzen 9000X3Dシリーズ(デスクトップ向け:追加ラインアップ)

 AMD独自の「3D V-Cacheテクノロジー」を適用することで、L3キャッシュを増量したデスクトップPC向けCPU「Ryzen 9000X3Dシリーズ」には、追加ラインアップが登場する。搭載PCとボックス版(CPU単品の市販品)は、2025年第1四半期に発売される予定だ。

 今回の新製品は、既存製品(Ryzen 7 9800X3D)の上位製品「Ryzen 9 9900X3D」「Ryzen 9 9950X3D」の2製品だ。CPUのコア数とキャッシュ容量以外のアーキテクチャ的な特徴は既存製品と変わりない。

 主な仕様は以下の通りだ。

・Ryzen 9 9900X3D

・CPUコア:12基24スレッド(4.4GHz~5.5GHz)

・CPUキャッシュ:合計140MB

・TDP(熱設計電力):120W

Ryzen 9 9950X3D

・CPUコア:16基32スレッド(4.3GHz~5.7GHz)

・CPUキャッシュ:合計144MB

・TDP(熱設計電力):170W

●Ryzen 9050HXシリーズ(エンスージアストノートPC向け)

 「Ryzen 9050HXシリーズ」(開発コード名:Fire Range)は、エンスージアスト(求道者)向けノートPCやモバイルワークステーション向けのAPU(GPU統合型CPU)だ。最上位モデルの「Ryzen 9 9955HX3D」は、モバイル向けCPU/APUとしては初めて3D V-Cacheテクノロジーを適用した製品で、CPUキャッシュは合計で144MBを備える。搭載PCは2025年上期に発売される予定だ。

 ラインアップは以下の通りとなる。

・Ryzen 9 9850HX

・CPUコア:12基24スレッド(最大5.2GHz)

・CPUキャッシュ:合計76MB

・TDP(熱設計電力):54W

Ryzen 9 9955HX

・CPUコア:16基32スレッド(最大5.4GHz)

・CPUキャッシュ:合計80MB

・TDP(熱設計電力):54W

Ryzen 9 9955HX3D

・CPUコア:16基32スレッド(最大5.4GHz)

・CPUキャッシュ:合計144MB(3D V-Cache適用)

・TDP(熱設計電力):54W

●Ryzen Z2プロセッサ(ポータブルゲーミングPC向け)

 「Ryzen Z2プロセッサ」は、2023年にリリースされた「Ryzen Z1プロセッサ」の後継となるポータブルゲーミングPC向けAPUとなる。ポータブルゲーミングPCが一定の市場規模になってきたことを踏まえZ1の“続編”として開発されたそうで、据え置きゲーム機並みのパフォーマンスを備えつつ、バッテリー持ちの改善を図ったという。搭載PCは2025年第1四半期に登場する予定だ。

 ラインアップは以下の通りとなる。

・Ryzen Z2 Go

・CPUコア:4基8スレッド(最大4.3GHz)

・CPUキャッシュ:合計10MB

・GPUコア:12基

・TDP:15~30W

Ryzen Z2

・CPUコア:8基16スレッド(最大5.1GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:12基

・TDP:15~30W

Ryzen Z2 Extreme

・CPUコア:8基16スレッド(最大5GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:16基

・TDP:15~30W

●Ryzen AI 300プロセッサ(ノートPC向け:追加ラインアップ)

 高性能なNPUを搭載したAPU「Ryzen AI 300プロセッサ」については、既存のプレミアムモデル(Ryzen AI 9)に加えて、その下位にアドバンスドモデル(Ryzen AI 5/7)と、上位にHalo(ヘイロー)モデル(Ryzen AI Max/Ryzen AI Max+)が登場する。

 Ryzen AI 5 300プロセッサとRyzen AI 7 300プロセッサは、ピーク時に50TOPS(毎秒50兆回)のAI処理を行えるNPUを統合している。CPUコアはZen 5/Zen 5cアーキテクチャ、GPUコアはRDNA 3.5アーキテクチャという構成はプレミアムモデルと変わらない。搭載PCは2025年第1四半期(PROモデルは第2四半期)に登場予定だ。

 ラインアップは以下の通りとなる。いずれもTDPは15~54Wの範囲で設定可能で、企業向けの管理/セキュリティ機能「AMD PRO」に対応するモデルも用意している。

・Ryzen AI 5 340/Ryzen AI 5 PRO 340

・CPUコア:Zen 5×3基+Zen 5c×3基(合計6コア12スレッド/2GHz~4.8GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 840M(演算ユニット4基)

Ryzen AI 7 350/Ryzen AI 7 PRO 350

・CPUコア:Zen 5×4基+Zen 5c×4基(合計8コア16スレッド/2GHz~5.1GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:Radeon 860M(演算ユニット8基)

●Ryzen AI Max/Max+プロセッサ(ハイエンドAI PC向け)

 「Ryzen AI Maxプロセッサ」と「Ryzen AI Max+プロセッサ」は、「新しいメモリインタフェース」を搭載することで最大毎秒256GBのメモリアクセスを実現した他、CPUコアをZen 5にそろえてGPUコアを“増量”することで外部GPUなしでも(=消費電力を抑えて)高速なAI処理を行えるようにしたAPUだ。搭載PCは2025年第1~2四半期に順次登場する予定だ。

 CPUコアはZen 5アーキテクチャで、最大16基32スレッドを備える。GPUはRDNA 3.5アーキテクチャの「Radeon 8000Sシリーズ」で、演算ユニットは最大で40基を備える。NPUのピーク時の演算性能は50TOPSだ。TDPは45~120Wの範囲で設定できる。

 ラインアップは以下の通りで、いずれもAMD PRO対応モデルを用意している(シリーズのエントリーモデルのみ非PROモデルなし)

・Ryzen AI Max PRO 380

・CPUコア:6コア12スレッド(3.6GHz~4.9GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 8040S(演算ユニット16基)

Ryzen AI Max PRO 380

・CPUコア:6コア12スレッド(3.6GHz~4.9GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 8040S(演算ユニット16基)

Ryzen AI Max 385/Ryzen AI Max PRO 385

・CPUコア:8コア16スレッド(3.6GHz~5GHz)

・CPUキャッシュ:合計40MB

・GPU:Radeon 8050S(演算ユニット32基)

Ryzen AI Max 390/Ryzen AI Max PRO 390

・CPU:12コア24スレッド(3.2GHz~5GHz)

・CPUキャッシュ:合計76MB

・GPUコア:Radeon 8050S(演算ユニット32基)

Ryzen AI Max+ 395/Ryzen AI Max+ PRO 395

・CPUコア:16コア32スレッド(3GHz~5.1GHz)

・CPUキャッシュ:合計80MB

・GPUコア:Radeon 8060S(演算ユニット40基)

●Ryzen 200プロセッサ(手頃なノートPC向け)

 「Ryzen 200プロセッサ」は、既存の「Ryzen 8040シリーズ」をリニューアルしたメインストリームモバイル向けAPUだ。CPUコアは「Zen 4アーキテクチャ」または「Zen 4cアーキテクチャ」、GPUコアは「RDNA 3アーキテクチャ」を採用し、一部モデルでは16TOPSの処理パフォーマンスを備えるNPUも統合している。

 ラインアップは以下の通りで、一部にはAMD PRO対応モデルも用意されている。搭載PCは2025年第2四半期から順次登場する予定だ。

・Ryzen 3 210/Ryzen 3 PRO 210(NPUなし)

・CPUコア:Zen 4×1基+Zen 4c×3基(合計4基8スレッド/3GHz~4.7GHz)

・CPUキャッシュ:合計12MB

・GPUコア:Radeon 740M(演算ユニット4基)

・TDP:15~30W

Ryzen 5 220/Ryzen 5 PRO 220(NPUなし)

・CPUコア:Zen 4×2基+Zen 4c×4基(合計6基12スレッド/3.2GHz~4.9GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 740M(演算ユニット4基)

・TDP:15~30W

Ryzen 5 230/Ryzen 5 PRO 230

・CPUコア:Zen 4×6基(合計6基12スレッド/3.5GHz~4.9GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 760M(演算ユニット8基)

・TDP:15~30W

Ryzen 5 240

・CPUコア:Zen 4×6基(合計6基12スレッド/4.3GHz~5GHz)

・CPUキャッシュ:合計22MB

・GPUコア:Radeon 760M(演算ユニット8基)

・TDP:35~54W

Ryzen 7 250/Ryzen 7 PRO 250

・CPUコア:Zen 4×8基(合計8基16スレッド/3.3GHz~5.1GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:Radeon 780M(演算ユニット12基)

・TDP:15~30W

Ryzen 7 260

・CPUコア:Zen 4×8基(合計8基16スレッド/3.8GHz~5.1GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:Radeon 780M(演算ユニット12基)

・TDP:35~54W

Ryzen 9 270

・CPUコア:Zen 4×8基(合計8基16スレッド/4GHz~5.2GHz)

・CPUキャッシュ:合計24MB

・GPUコア:Radeon 780M(演算ユニット12基)

・TDP:35~54W

この記事の関連ニュース