先週(1月12日週)の連休明け、LGA1851に対応するIntelの下位チップセット「Intel B860」を搭載したマザーボードが複数メーカーから一斉に売り出された。価格は1万8000円弱から5万1000円前後まで幅広く、Mini-ITXやmicroATXモデルも豊富にそろっている。
●1.8万円弱~5万円強でIntel B860マザーが一斉に登場
2024年10月に搭載マザーボードが登場した「Intel Z890」の下位にあたるラインアップで、Core Ultra 200Sシリーズに対応する。オーバークロック機能を省いた他、PCIeレーン数をZ890の最大24から最大14に落とすなどしてコストを抑えているのが特徴だ。
多数のモデルが売り場に並んでいるが、先週末の時点でもまだ反響待ちの空気が漂っていた。あるショップは「顔見せはされたものの、まだ出番じゃない感じなんですよね。AMD B850/B840マザーと同じく、熟成を待っている感覚ですね」と苦笑していた。TSUKUMO eX.も「まだまだIntel B760搭載マザーが人気ですね。前世代のCPUも十分な在庫がありますから」という。
そうなると、少し先を見据えた向き合い方が増える。パソコンSHOPアークは「今後の売れ筋になりそうなモデルは複数あります。そこまで多くの機能は求めないけれど、次世代GeForceと組み合わせて安定して動く割安なマザーということで『B860 STEEL LEGEND WiFi』(4万2000円前後)や『TUF GAMING B860M-PLUS WIFI』(4万1000円前後)あたりは堅いでしょうね。後は配信などでUSBデバイスをいっぱい差したいとなると『B860 LiveMixer WiFi』(4万円弱)あたりですね。VRChatの人口も増えてきましたしね」と考えを巡らせていた。
●IntelとAMD、それぞれCPU待ちの事情
IntelとAMD、それぞれのB8XXマザーボードが“熟成待ち”となっている背景には、共にCPUの状況が大きく関わっている様子だ。
B860マザーボードの状況を尋ねたとき、複数のショップから「末尾KなしのCore Ulrta 200Sシリーズ待ちですね」といったコメントを聞いた。あるショップは「どうもIntel側の都合でCPUの投入が遅れたみたいなんですよね。(オーバークロック機能を持つ)末尾KのCPUはZ890マザーボードと組み合わせることが当然多くなりますから、B860マザーにちょうどいいラインアップが来てくれないと動きようがないですよ」とこぼしていた。
実際、前世代のミドルクラスチップセットである「Intel B760」搭載マザーボードは、2023年1月に第13世代Coreシリーズの末尾Kなしモデルと同時に売り出されている。今回も両者がそろってから動き出すと読む向きが多勢だ。
一方のAMD B850/B850マザーボードは、「Ryzen 7 7800X3D」や「Ryzen 7 9800X3D」などのX3Dシリーズの再入荷を待っている人が多いとの見方がある。某ショップは「Intelの足並みがそろっていない今がチャンスなのに、AMDはX3DだけでなくRyzen全般で品薄傾向にあります。いろいろ調整が難しいんでしょうが、本当にもったいないですよね」と嘆いていた。
●ASRockからAMD B850マザー2モデルがデビュー
CPU待ちの気配が漂う中で、AMD B850マザーボードも新製品が登場している。
ASRockのMini-ITXモデル「B850I Lightning WiFi」とATXモデル「B850M Pro RS WiFi」で、価格は順に4万5000円前後と3万6000円前後となる。
特に注目を集めているのは「B850I Lightning WiFi」だ。2.5GbE対応の有線LANとWi-Fi 6E対応の無線LANを搭載し、PCIe 5.0接続のM.2 SSDスロットやDisplayPort Alternate ModeをサポートしたUSB 3.2 Gen 2 Type-Cポート、ゲーミングデバイスに最適化したUSB信号が送れるLightningゲーミングポートなどを備える多機能な仕様となっている。
パソコンSHOPアークは「最近はPCケースの大型化の反動もあって、逆にコンパクトにマシンを組みたいという人も増えています。多機能なMini-ITXマザーボードを求める人が増えているので、ちょうど刺さる製品だと思います」と話していた。
●「水冷PC読本vol.17」の取り扱いも始まる
自作マシン周辺の新製品としては、オリオスペックが自作サークル「UNT2works」の解説本「水冷PC読本vol.17」の取り扱いを始めている。価格は1320円だ。
コミックマーケット105で初披露された自作本で、最新パーツを使った水冷自作の詳細を図解付きでまとめている。同店は「恒例の読本ですね。パーツの一式と読本をセットで買って、教科書として使っている人もいますね。一定の信頼性と深度がある情報をひとまとめに得るとなったら本が便利ですから。一般流通する自作本や雑誌が少なくなっている中で、こういう需要もやっぱりあります」と話していた。