うっかり見逃していたけれど、ちょっと気になる――そんなニュースを週末に“一気読み”する連載。今回は、1月26日週を中心に公開された主なニュースを一気にチェックしましょう!
●「BitLocker」に情報漏えいの脆弱性 盗難時のリスクに注意
Microsoftは1月14日、Windows BitLockerの暗号化に脆弱(ぜいじゃく)性が見つかり、暗号化されていないデータが漏えいする可能性があるとして、「CVE-2025-21210 Windows BitLocker の情報漏れの脆弱性」を発行した。
脆弱(ぜいじゃく)性の内容は、特定の条件下で休止状態のイメージが暗号化されずに保存され、平文の状態で復元できる可能性があるというもの。
休止状態のイメージには、パスワードなどの情報が含まれる可能性もあり、機密情報の漏えいにつながる可能性がある。この脆弱(ぜいじゃく)性を利用するには、攻撃者がデバイスに物理的にアクセスする必要があるため、PCの紛失や盗難には一層の注意が必要だ。
なお、この脆弱(ぜいじゃく)性に対するパッチは、1月度の月例セキュリティ更新プログラムで配布済みとなっている。できるだけ早くアップデートをした方がいいだろう。
●ネイティブアプリとなった「Copilot in Windows」が展開中
Microsoftが、Copilot in Windowsのネイティブアプリを広く展開を開始したようだ。同社は2024年12月、Insider Preview向けにCopilotのネイティブアプリを展開し、従来のPWA版を置き換えると発表していた。現在はStable版を使用しているユーザーにも展開している。
ネイティブアプリでは、「Alt+Space」のショートカットを押下するとコンパクトな表示のクイックビューでCopilotを起動できる。クイックビュー左上のアイコンから通常のウィンドウに戻すことも可能だ。
なお、「Alt+Space」のショートカットを使用するアプリは多いが、WindowsではPC起動時に最初に起動されバックグラウンドで動いているアプリを「Alt+Space」で呼び出すアプリとして使用するとのこと。
Copilot自身にショートカット変更の機能は実装されていないので、バッティングする場合にはアプリ側で変更するか、Copilotのショートカットを無効化する必要がある。
●Windows 11/10の2025年1月度非セキュリティプレビュー更新プログラム公開
Microsoftは1月28日(現地時間)、Windows 11向けに2025年1月度の非セキュリティプレビュー更新プログラムをリリースした。Windows 11 バージョン24H2向けが「KB5050094」、23H2および22H2向けが「KB5050092」、Windows 10 バージョン 22H2向けが「KB5050081」となる。
Windows 11 バージョン24H2向けの更新プログラムでは、以下のような機能が追加されている。
・一部ゲームの表示が飽和状態になるHDRの問題を修正
・タスクバー上のアプリの上にカーソルを置いたときに表示されるプレビューやアニメーションを改善する
・Windows Studio エフェクトをサポートするアプリを使用すると、システムトレイにアイコンが表示されるようになる。これは、NPUを備えたデバイスでのみ発生する
・エクスプローラーで、左側のペインの項目を右クリックすると、コンテキストメニューに「新しいフォルダー」コマンドが表示される。
・管理者以外でも、タイムゾーンを「設定」→「時刻と言語」→「日付と時刻」で変更可能に
非セキュリティプレビュー更新プログラムは、月例のセキュリティ更新プログラムに先駆けて変更内容をプレビューする目的のものだ。適用は必須ではなく、オプションを有効にしていなければ自動でアップデートされない。アップデートしなかった場合、基本的には翌月のセキュリティ更新プログラムと同時に適用される。
●「Google Workspace」アプリの「Gemini」サイドパネルで画像生成が可能に
Googleは1月29日(現地時間)、Workspaceアプリの「Gemini」サイドパネルでの画像生成が、日本語を含む7言語でもサポートされるようになったと発表した。
Googleドキュメントやスプレッドシート、GmailなどのGoogle Workspaceアプリでは、サイドパネルでGeminiを利用可能になっている。英語の他、2024年11月に日本語を含む7言語のサポートが追加されたが、画像生成に関しては英語のみの対応だった。今回の発表より、日本語のスクリプトでも画像生成が可能になる。画像生成は以下のプランのユーザーが利用可能だ。
・Business Standard and Plus
・Enterprise Standard and Plus
・Customers with the Gemini Education or Gemini Education Premium add-on
・Google One AI Premium
なお、Business StarterとEnterprise Starterでは、Gmailでのみ画像生成を利用可能となっている。
●PowerToys v0.88.0公開 「ZoomIt」を統合
Microsoftは1月29日、パワーユーザー向けの公式ユーティリティーツール「PowerToys」の最新版となるバージョン0.88.0をリリースした。本バージョンでは、新ユーティリティーとしてプレゼンテーション補助ツール「ZoomIt」が追加されている。
ZoomItは、Windows Sysinternalsが提供しているプレゼンテーション補助ツールだ。これまでスタンドアロンアプリとして提供されていたが、PowerToysに統合された。とはいえ、従来のスタンドアロン版も引き続きSysinternalsからリリースされる。なお、スタンドアロン版ZoomItとPowerToys版ZoomItは同時には使用できない。
ZoomItを有効すると、ホットキー(デフォルトではCtrl+数字)で画面の拡大や文字の書き込み、デスクトップの録画などを行える。
なお、本バージョンでは、以前から非推奨となっていた「ビデオ会議のミュート」が削除された。
●DeepSeekがマルチモーダルAI「Janus-Pro」を発表
DeepSeekは1月27日、統合モデルのパフォーマンスを超え、タスク固有モデルに匹敵するというマルチモーダルAI「Janus-Pro」をリリースした。MITライセンスで公開されており、「HuggingFace」や「GitHub」からダウンロードできる。
Janus-Proは前モデルJanusの進化版だ。処理には単一の統合されたトランスフォーマーアーキテクチャを使用しながら、視覚エンコーディングを別々の経路に分離することで、従来のアプローチの限界に対処したとしている。分離により、理解と生成における視覚エンコーダーの役割の競合が軽減されるだけでなく、フレームワークの柔軟性も向上するという。
●MicrosoftがDeep Seek R1をNPUに最適化
Microsoftは1月29日、Copilot+ PCに搭載されているNPUで直接実行できるよう DeepSeek-R1を最適化したと発表した。最初のリリースである「DeepSeek-R1-Distill-Qwen-1.5B」は、AI Toolkitで利用できるようになる。また、7Bおよび14Bも間もなく利用できるようになる。これにより、Copilot+ PCユーザーは、クラウドに接続することなく、ローカル環境でDeepSeek R1の高度な自然言語処理機能を快適に利用できるとのことだ。
Copilot+ PCでのDeepSeekの動作確認は、VS Code拡張機能「AI Toolkit」をダウンロードするだけだ。ONNX QDQ形式で最適化されたDeepSeekモデルは、Azure AI Foundryから直接取得され、間もなくAI Toolkitのモデルカタログで利用できるようになるとしている。
Copilot+ PC 向けに最適化されたONNXモデルに加え、「DeepSeek R1」の下にある「Try in Playground」ボタンをクリックすると、Azure Foundryでクラウドホスト型ソースモデルを試すこともできる。