マウスコンピューターは2月1日、直営店舗「マウスコンピューター 春日部ダイレクトショップ プラス」(埼玉県春日部市)をリニューアルオープンした。同店は2024年6月、今回のリニューアルに向けて一時閉店され、同じ場所に建て替えをして約半年ぶりの再オープンということになる。
同店の所在地は、同社の創業地でもあり、同社にとって“特別な場所”だ。リニューアルオープンに合わせて、同社の軣秀樹社長が出席するオープニングセレモニーやテープカットも実施された。セレモニーには春日部市の岩谷一弘市長も来賓として招かれた。
この記事では、オープニングセレモニーを含むリニューアルオープンした店舗の様子と、軣社長へのインタビューをお伝えする。
●“開店待ち”も見られたオープニングセレモニー
今回はリニューアルオープンに合わせた「オープンセール」も実施されることもあり、“開店待ち”で30人ほどの行列もできていた。春日部ダイレクトショップ プラスの再スタートは好調だったといえるだろう。
オープニングセレモニーは、午前11時の営業開始直前に実施された。マウスコンピューター軣社長は「発祥の地である春日部市のダイレクトショップをリニューアルさせて頂きました。ここに来れば、皆さんの求めるパソコンがある――そういうダイレクトショップにしていきたいと思っております」とあいさつした。
春日部市の岩谷市長からは「春日部ダイレクトショップ プラス、リニューアルオープンおめでとうございます。(春日部市は)高島会長(※1)のおじい様の代からの創業の地で、新たにリニューアルして頂いたことを本当にうれしく思っています。売場面積も広くなり、駐車場も新設されるなど、より利用しやすい店舗になっていると思います。市としては、今後もさまざまな形でマウスコンピューターとコラボレーションしたり、イベントを実施したりすることを考えおりますので、よろしくお願いします」と祝辞が寄せられた。
(※1)現在のマウスコンピューターの親会社であるMCJ(旧マウスコンピューター)の高島勇二会長。なお、「高」は正しくは「はしごだか」となる
続いて岩谷市長、軣社長、春日部ダイレクトショップ プラスの稲田洋平店長によるテープカットが行われた。その後、オープンを待っていた約30人の客が続々と広くなった店内に入っていった。
●店内の様子をチェック!
店内にはマウスコンピューターの「mouse」ブランドの定番モデルから、ゲームに特化した「G TUNE」「NEXTGEAR」、クリエイター向けの「DAIV」、そして法人向けの「MousePro」、そして「iiyama」ブランドの液晶ディスプレイがずらりと並んでいる。
展示機にはオープン前日に発表されたばかりの新ボディー×GeForce RTX 5080搭載モデルもあり、来店客の興味を引いていた。
来店客の多くは、セール品の“指名買い”をしていたが、会計を待つ間に購入希望のモデル以外について熱心に相談を行う姿も見受けられた。スタッフに直接相談できることは、リアル店舗の強みだ。
店内には、BTOの相談やサポート対応を行うためのカウンターも用意されている。大型サイネージでお勧めモデルや特価モデルも確認可能だ。
オープン記念のキャンペーンも実施 セールは継続中
オープン当日(2月1日)と翌日(2月2日)には、ハズレなしの「大抽選会」も実施された。SNSで店舗の公式アカウントをフォローした上で指定のポストをリポストすれば参加可能で、当日その場でPC本体を購入した人はさらに1回抽選に応募できる、という内容だった。
抽選会は終了したが、オープン記念セールは2月20日まで開催されている。新店舗には駐車スペースも用意されているので、春日部市方面へドライブするついでに立ち寄ってみるのもいいかもしれない。
●軣社長「もっとユーザーから話を聞きたい」
オープニングセレモニーの終了後、軣社長から話を聞くことができた。新店舗の話だけではなく、マウスコンピューターの“これから”について、いくつか質問を行った。
新店舗はなぜ「プラス」なのか?
新店舗の名称は「マウスコンピューター 春日部ダイレクトショップ プラス」だ。同社のダイレクトショップ(直営店)は全国に9カ所(ショップインショップと「G-Tune Garage」を含む)あるが、店舗名に“プラス”が付くのは、リニューアル前も含めてこの店舗が唯一だ。
なぜ春日部の店舗だけプラスが付くのか、軣社長に尋ねると「(春日部の店舗では)以前は中古品を扱うなど、他店舗で実施していないことを行っていた。また、ここ春日部は創業の地であり、今も近隣に修理センターあるなど、他店舗と異なることがある。PCを取り巻く環境が変わっていく中で、他の店舗にできないこと、マウスコンピューターにしかできないことを今後も模索しながらチャレンジしていくという可能性を“プラス”という言葉に込めている」という。
Windows 10のサポート終了に向けた取り組みは?
昨今のPC市場は「AI PC」「Copilot+ PC」といった新しい切り口の進化が見受けられる。一方で、2025年10月には「Windows 10」がサポート終了(EOS)を迎えることも、市場に大きな影響をもたらすと言われている。
昨今のPC市場について、軣社長は「『Windows 11』を搭載するPCに買い替えなければならないが、『事務用途にしか使わない』というユーザーに対して『最新のCPUが載った製品しかない』となると、コストに見合わない(という反応もありうる)。私たちはニーズに合った製品を用意し、流通(ディストリビューター)とも協力しながら提案し、Windows 11へのアップグレードも支援していきたい」とする。
また、AI PCについては「『最新のCPU/GPUを載せてAIに対応しました』ということではなく、メーカーとしてAIを活用できる製品を用意したいと考えている。オリジナルのソフトウェアを開発/提供することも含めて、まだ準備の段階だ。全てのPCはいずれAI PCになると思っているが、その時にしっかりと強みを発揮できる製品を送り出そうと考えている」とした。
これからマウスコンピューターはどうなる?
軣氏が社長に就任してから7カ月が経過した。そこでインタビューの最後では「社長に就任してから取り組んできたこと」「これから社長として取り組みたいこと」について聞いてみた。
軣社長は「(社長就任後)お客さまに会いにいくことを心掛けてきた。これはこれからも続けていく。直接お会いして話を聞いた内容から、より満足いただける製品を送り出していきたい。実際に話を聞いてみると『(自分たちの製品は)まだまだだった』『メーカーとしての自己満足だった』と反省、勉強になったことも多い。もっと踏み込んだ、より高い製品力を備えるPCを世に送り出すべく、お客さまの声はもっと聞いていきたい」という。
今回、春日部ダイレクトショップ プラスのリニューアルオープンは“創業の地”を盛り上げる1日だったのかもしれないが、それ以上に、店名の「プラス」に秘めた思いの通り、「今」そして「これから」のPCを取り巻く環境、市場の変化に対応しながら、よりユーザーとの距離を近づけた新しいビジネスのスタートの1日になったように感じた。