Infoseek 楽天

「ASUS Zenbook SORA」が日本にフォーカスした理由 薄くて軽くて長時間駆動に現役大学生も夢中

ITmedia PC USER 2025年2月5日 12時50分

 既報の通り、ASUS JAPANは2月4日、新型ノートPC「ASUS Zenbook SORA UX3407」を発表した。本製品は1月に米ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2025」において「ASUS Zenbook A14」として発表されたもので、“日本のみ”Zenbook SORAという特別な名称で発売される。日本のノートPCユーザー向けに、薄型軽量で長時間バッテリー駆動時が実現できるように設計された製品だという。

 同社は同日、本製品の発表会を東京都内で開催した。発表会では、ゲストとしてOSベンダーのMicrosoft、SoCベンダーのQualcommから担当者が登壇した他、同社が今後展開するキャンペーンに協力する現役大学生YouTuberのJaneぜうんさんが壇上に呼ばれ、「大学生やこれから大学に進学する高校生など、同年代の若者にこそZenbook SORAをお勧めしたい」とアピールしていた。

●Zenbook SORAは日本市場における“戦略商品”

 ASUS JAPANのデビッド・チュー氏(システムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 統括部長)は、「ASUSはMicrosoftのCopilot+ PCに準拠した製品をいち早く導入したベンダーの1つで、PC市場で最も包括的なAI PCラインアップを提供している。現在、Copilot+ PC市場でシェア1位の製品である『Vivobook Sシリーズ』を始め、さまざまな製品を投入している。2025年には、Copilot+ PC市場でASUSのシェアが30%以上になることを目指したい」と述べ、同社がCopilot+ PCに準拠した製品の展開に積極的であることと、2025年も積極的に製品を投入していくことで、市場シェアの向上やAI PCへの移行を促していくことを表明した。

 チュー氏はさらに「ASUSは(重量)1kg以下のノートPC市場においてトップシェアの獲得を目指している。(そのキーアイテムとして)日本の精神である“禅”を意味するZenbookでさらに市場をリードしていきたい。お客さま1人1人に寄り添った製品を投入していくことで、日本市場に新しいスタンダードを作っていきたい」と述べ、今回投入するZenbook SORAが同社にとっての“戦略的な製品”の1つであると強調した。

●本社のデザインチームが日本で調査した上で設計

 続いてASUS JAPANのレオン・チャン氏(システムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 ノートPCプロダクトマネージャー)登壇し、Zenbook SORAの設計/導入に関する背景を説明した。

 チャン氏は「当社は2011年に最初のUltrabookとしてZenbookの初号機を投入した。そこから薄型軽量にこだわった設計として製品を提供してきた」と、Zenbook(かつてのZENBOOK→ZenBook)の核心的価値を説明する。

 その上で、今回のZenbook SORAでは「ASUSTeK Computer(ASUS JAPANの親会社)のデザインセンターが日本のお客さまのニーズを徹底的に調査した。その調査によると、日本における会社員や学生の通勤/通学時間は平均すると1時間42分にも達しており、『持ち運び時に周辺機器などを入れても軽量』『かばんに入れやすいように薄型』『より長時間バッテリー駆動』という3つの要素が重要だと結論づけた」と説明した。

 つまり、Zenbook SORAは日本市場でのニーズを“最優先”し、より軽量で、薄型で、より長時間のバッテリー駆動が可能なように設計されたということだ。

●なぜ日本だけ「Zenbook SORA」という名称なのか?

 続けて登壇したASUS JAPANの熊谷歩美氏(システムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 プロダクトマーケティングマネージャー)は、Zenbook SORAのネーミングの由来や製品の詳細を説明した。

 冒頭で触れた通り、Zenbook SORAは1月のCES 2025で発表された「Zenbook A14」の日本向けモデルとなる。日本だけ別名称で販売されるのは珍しい。この点はチャン氏が説明した通りで、本製品が日本市場のニーズを最優先課題として設計されたという背景があるがゆえに、日本だけは特別なネーミングとしたのだという。

 なぜ「SORA(ソラ)」なのかという点について、熊谷氏は「SORAという名称にはさまざまな“空”があるという意味を込めている。お客さまそれぞれの空というイメージを投影していただけるとうれしい」と理由を説明した。

 熊谷氏はZenbook SORAの特徴を説明し、「約899gとCopilot+ PCとしては超軽量の製品となる」と強調する。ただし、Zenbook SORAには2つのバッテリー容量のモデルが用意されており、約899gになるのは定格バッテリー容量が48Whの下位モデル(UX3407QAシリーズ)で、バッテリー駆動時間は最長約24時間となる。大容量バッテリー(定格70Wh)を備える上位モデル(UX3407RAシリーズ)は重量は約980gとなり、バッテリー駆動時間は最長約29時間となる(いずれもバッテリー駆動時間は公称値)。

ボディーカラーやスペックも日本市場に合わせて設定

 ボディーカラーに関しても、日本での市場調査に基づいて「サブリスキーベージュ」「アイスランドグレー」の2色を採用した。ボディー素材は、ASUSが「セラルミナム(Ceraluminum)」と呼ぶセラミックとアルミニウムを融合した独自開発素材だ。

 このセラルミナムは、陶器のような手触りを実現しながらアルミニウムのような強度を実現していることが特徴で、実際に触ってみるとしっとりとした質感で気持ちがいい。また「指紋がつきにくい」(熊谷氏)のも強みで、高いレベルでの丈夫さと高級感を両立している。

 なお、今回の製品ではセラルミナムをA面(天板)に加えてD面(底面)とC面(キーボード面)にも採用しており、従来モデルよりも30%の軽量化を実現しているという。

 熊谷氏は本製品のスペックも説明した。SoCは上位モデルが「Snapdragon X Elite(X1E-78-100)」、下位モデルが「Snapdragon X(X1-26-100)」を備える。メモリは上位モデルが32GB、下位モデルが16GBだ。SSDの容量は上位モデルが512GBまたは1TB、下位モデルが512GBのみとなる。

 ディスプレイは1920×1200ピクセルの14型有機ELで、上位モデルはグレア加工の「ASUS Lumina OLED」で、下位モデルがアンチグレア加工となる。無線LANは上位モデルはWi-Fi 7(IEEE 802.11be)、下位モデルはWi-Fi 6E(6GHz対応のIEEE 802.11ax)に対応している。

 これらのスペックも、日本市場に合わせて設定されたという。

 熊谷氏の説明後、チュー氏がステージに戻ってきて価格が発表された。一番手頃な下位モデルのMicrosoft Officeなし構成は直販価格が17万9800円だという。日本向けのモデル/構成の直販価格は以下の通りだ(Microsoft Officeありのモデルは「Microsoft 365 Basic」の1年間利用権と「Microsoft Office Home & Business 2024」が付帯する)。

・下位モデル(Officeなし):17万9800円

・下位モデル(Officeあり):20万9800円

・上位モデル(512GB SSD/Officeなし):21万4800円

・上位モデル(512GB SSD/Officeあり):26万9800円

・上位モデル(1TB SSD/Officeなし):22万4800円

●他にもZenbookの新モデルが登場

 なお、今回は同じくCES 2025で発表された、Core Ultra 200Vプロセッサを搭載の「ASUS Zenbook DUO UX8406CA」「ASUS Zenbook 14 UX3405CA」と、Ryzen AI 300シリーズ搭載の「ASUS Zenbook 14 UM3406KA」も合わせて発表された。発表会では、これら3つの新モデルも展示されていた。

●Janeぜうんさん「軽くて薄くて長時間駆動は大学生にとってうれしい」

 今回の発表会では、大学生YouTuberのJaneぜうんさん、日本マイクロソフトの小澤拓史氏(業務執行役員 コンシューマー事業本部 モダンライフ戦略本部 本部長)、クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズ(Qualcomm)の泉宏志氏(マーケティング統括本部長)の3人がゲストとして登壇した。

 Janeぜうんさんは、ASUS JAPANがZenbook SORAの発売に合わせてSNSのタイアップ企画に協力するインフルエンサーを代表して登壇した。Janeぜうんさんは「大学生Vlogとファッションで等身大オシャレ」をテーマに日本語/韓国語/英語で発信しているYouTuberだ。「現役大学生」というZenbook SORAのターゲットユーザーを代表して起用されたようだ。

 今回の発表会に先立って3週間Zenbook SORAを試用したというJaneぜうんさんは「セラルミナムの質感がすごく良くて、触っていて気持ち良かった」とした上で、「大学生になってから肩掛けバッグのみを持ち歩いている。それに入れても重たくないという軽さがいいし、薄くてすっと入るのもよくて自然と持ち歩きたくなると感じた。カフェとかで仕事をすることも多いが、その時に充電切れになることを心配しなくていいのはありがたい」と本製品の所感を語った。

 同年代の大学生やもうすぐ大学生になるような高校生といった、これからノートPCを購入するユーザー層にお勧めしたいという。

 日本マイクロソフトの小澤氏は、Copilot+ PC向けに提供されているソフトウェア(「リコール」など)について再度説明した他、「10月14日にはWindows 10のサポート終了がやってくる。そのサポート終了に向けて、新しいPCに更新してほしいが、ぜひCopilot+ PCをお勧めしたい」と述べ、Windows 11への乗り換えにはCopilot+ PCがお勧めだと強調した。

 Qualcommの泉氏は「スマートフォンの技術を横展開するのが当社の最近の方針で、低消費電力で高性能という特徴を受け継いだのがSnapdragon Xシリーズだ」とする。

 その上で「新しいアーキテクチャへの乗り換えということで、『互換性に不安はないのですか?』と聞かれることが多いが、ユーザーが使っている時間の90%を占めているアプリは既に動くようになっている」「それ以外の部分に関しても取り組みを進めており、プリンタなどへの対応もWindows標準ドライバーにおいて既に済んでいるが、メーカー独自のドライバーへの対応も進めている」と、Arm版Windows 11にまつわる互換性問題に対する取り組みを説明した。

 なお、同氏によると、セイコーエプソンが3月末から順次、Snapdragon Xシリーズに対応した独自のプリンタドライバの配信を開始するという。課題となっていたプリンタのメーカー独自ドライバへの対応が進んでいることをアピールすることで、不安の払しょくを図った格好だ。

●「Zenbook SORA」の実機展示も

 発表会場には、Zenbook SORAを始めとする新製品の実機が展示され、実際に触ってみることが可能だった。Zenbook SORAの下位モデルを実際に持ってみると約899gというスペック以上に軽く感じることができた。本体の分解モデルなども展示されており、デュアルファン構造になっていることなどを確認できた。

この記事の関連ニュース