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【動画あり】「DASUNG133 REVO」はテキスト入力を行う最高峰の環境を構築できる13.3型のE Inkモバイルディスプレイだ

ITmedia PC USER 2025年2月6日 12時0分

 「DASUNG133 REVO」は、モノクロE Ink電子ペーパーを採用した13.3型のモバイルディスプレイだ。従来モデルと比べて圧倒的なレスポンスの速さを特徴としており、テキストの入力など、画面の書き換えを伴う作業がストレスなく行える。国内代理店のSKTから機材を借用したので、レビューをお届けする。

●13.3型のモバイルディスプレイ Macでは利用不可なので要注意

 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは13.3型で、解像度は2200×1650ピクセル、アスペクト比は4:3だ。ベゼル幅が違うためボディーサイズには差があるが、13型のiPadとほぼ同等の画面サイズということになる。解像度は207ppiと、タブレットと比べるとやや低いが、ひとまず及第点というレベルだ。

 画面にはE Ink電子ペーパーを採用している。最近のE Ink電子ペーパーはカラーパネルを採用した製品も増えているが、本製品はモノクロで、その分レスポンスが高速であることが売りだ。この後、じっくり見ていこう。

 ボディーカラーはホワイトとシルバーのツートンという、モバイルディスプレイらしくない配色だ。外装はアルミニウムで、ボディーは最薄部が約5.1mmと非常にスリムにまとまっている。端に行くほどスリムになるといった、タブレットに似た意匠もある。

 スタンドは、モバイルディスプレイによくあるマグネット吸着式で、輸送時はボディーをぐるりと一周させて保護カバーとして使用する。画面の横にはE Inkディスプレイには欠かせない、画面リフレッシュを行うためのボタンなど計6個のボタンが並ぶ。

 接続方法はHDMIとUSB Type-Cで、さらにイヤフォンジャックも備えている。重量は公称値が約580g、実測では617gで、本製品とほぼ同等の画面サイズで軽さが売りの「13インチiPad Pro」(公称値は約579g)と比べても十分に軽量だ。ただし、カバーをつけると1kgを超えてしまうので注意したい。

 付属品は、カバーと一体型のスタンドおよび2種類のケーブルに加えて、一脚型のポータブルスタンド、さらにVESAマウントに装着するためのネジも付属している。このネジはマグネットで背面に吸着する方式で、でこぼこのないフラットな背面にVESAマウント対応のネジを取り付けられるユニークな構造となっている。

 なお本製品はMacやiPadなど、Apple製デバイスとの接続はNGとされている。接続していると本体の動作が遅くなり、最終的にはハードウェアの修理が必要になるとのことなので、お試しレベルでもうっかり接続しないよう注意したいところだ。

 本製品は取り扱い説明書など各所にMacはNGである旨の注意書きがあるが、多くは英語表記であること、また本製品単体で他人の手に渡ると見逃す可能性もあるので気をつけたい。特に複数のメンバーでの共有備品として導入した場合、誰かがうっかりMacにつなぐ可能性は十分に有り得るので、気をつけた方が無難だろう。

●アスペクト比4:3で縦に余裕がある画面 フロントライトも内蔵

 では実際に使ってみよう。ポート類は左側面に集中している。USB Type-C接続の場合はケーブル1本で接続でき、HDMI接続の場合は補助給電としてUSBの接続が必要になる。つまり、どちらの接続方法を取るにしても、USB Type-Cポートにはケーブルがつながっている形になる。

 画面はアスペクト比4:3ということで縦方向に長く、スプレッドシートやテキストエディタなど、縦に広い表示領域を必要とする用途に向く。E Inkということで視野角も広く、斜め向きに置いても視認性は高い。

 なお本製品はフロントライトを内蔵している。E Inkデバイスの中にはフロントライトがなく、暗所での利用に適さない製品も少なくないので、本製品はどんな環境でも使える安心感がある。寒色と暖色の切り替えにも対応している。

 さらに、タッチ操作もサポートする。ただし、ミラーモードではなく拡張モードにした場合、本製品上で行ったタッチ操作がプライマリーディスプレイ側でのタッチとして反応する問題は相変わらずで、実用性はいまひとつだ。ミラーモードでは役に立つことがあるかもしれない。

●レスポンスの高速化でストレスを激減

 続いて、表示回りの機能について見ていこう。表示モードは従来製品と同じく、テキスト/グラフィック/ビデオの3種類があり、これらを自動判別するオートモードと合わせて4つのモードのいずれかを選んで使用する。各モードは、それぞれコントラストを9段階で切り替えられる。

 これらの操作は、画面左側に搭載されている6つのボタンや、専用ユーティリティー「DSPaperLikeClient」(詳細は後述)を用いて行う。特にコントラスト調整は、前述のフロントライトの明るさ調整と組み合わせるとより効果的だ。実際に使った限り、このフロントライトの輝度調整が、見やすさを設定する上で大きなポイントになるように感じる。

 さて、本製品の売りは高速なレスポンスにある。リリースによると、リフレッシュレートが40Hzに向上したことで、従来モデルと比べて300%もの速度の向上が図られたとされている。リリースによると「マウス操作、ページスクロール、動画再生など、全ての操作が従来以上に滑らかに」表示できるようになったとアピールしている。

 実際に本製品をWindows 11搭載PCに接続し、キーボードからテキストを入力してみたが、従来のE Inkディスプレイにありがちだった、漢字変換の候補の表示がワンテンポ遅れたり、BackSpaceでテキストを削除したりす際に、ポインターの移動が遅れるといった挙動がなく、変換ミスや操作ミスが極めて起こりにくい。

 またE Inkが苦手とする動画の再生についても、十分に使えるできるだけのポテンシャルがある。モノクロなので動画ビューアとして使うのはお勧めしないが、レスポンス自体はそれらをこなすのに必要十分で、使い続けているとE Inkであることを完全に忘れてしまうほどだ。筆者が過去に見てきたE Inkのディスプレイの中では、最も高速な製品といえる。

●気になる残像については……

 もう1つ、E Inkにつきものの残像についてはどうだろうか。本製品は自動ゴースト除去技術を搭載しているが、実際に使った限りあまりピンと来なかった。従来モデルよりは緩和されているのかもしれないが、単体で見た場合は依然として残像は気になるレベルにある。

 しかし、これらの対策はいくつかある。付属のユーティリティーでは、30秒以上ごとに自動リフレッシュする機能が用意されているが、そのたびに画面がオフになるかのような挙動で、集中力を削がれやすい。別のウィンドウにフォーカスが映るたびに画面を自動リフレッシュする機能も用意されているが、プライマリーディスプレイ上での操作にも反応してしまうので、こちらも非常に目障りだ。

 残像がどうしても気になるならば、専用ユーティリティーでリフレッシュの速度を最も速い「Fast++++」に設定し、後は画面左の「C」ボタン、もしくはショートカットによる手動リフレッシュを行うのが最善だろう。この他、フロントライトの輝度を高くすることでも残像は目立たなくなる。

 いずれにせよ、これら残像の除去については本製品が備えるモードや複数の機能を組み合わせつつ、自分が最も効果的と思える方法を探すことになる。これらは本体だけでの設定は困難で、ユーティリティーのインストールが不可避であることは認識しておきたい。

 ちなみに、モノクロE Inkである本製品とカラーの液晶ディスプレイでは画面のコントラストが大きく異なることから、この両画面を行き来するマウスポインターはその位置を見失いやすい。これを回避したければ、Windowの設定からマウスのプロパティーを開き、「Ctrlキーを押すとポインタの位置を表示する」オプションをオンにするなど、OSの側で対策を取ることをお勧めする。

●テキスト入力のための最高峰の環境を手に入れられる

 以上ざっと使ってみたが、従来であれば何らかの操作に対して画面の書き換えがワンテンポ遅れても「E Inkだし仕方ないか」で済ませていたのが、本製品では解消されており、それだけで「買い」といっていい。その分、もう1つの課題である残像が気になるという問題はあるが、テキスト入力のための最高峰の環境を構築するにはこの上ない製品だ。

 ネックとなるのは14万8000円という実売価格だろう。E Ink電子ペーパーであることに価値を見出せる人にとっては問題ないだろうが、そうでない人にとっては、同等サイズの液晶ディスプレイの数倍はすることから、気軽に買える製品ではない。個人的にはタッチ機能を省いてコストを下げたモデルがあれば見てみたいところだ。

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