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朝ドラ「虎に翼」編集部座談会! SPゲストは宇垣美里さん 5人で好きなキャラ、名場面など語る 残り5話、スピンオフに期待も

iza(イザ!) 2024年9月21日 18時0分

日本初の女性弁護士で、のちに裁判官になった三淵嘉子さんの人生をもとにした物語を描く「虎に翼」が、27日に本編の最終回を迎える。主人公の佐田寅子(伊藤)と最高裁長官、桂場等一郎(松山ケンイチ)の“決着”、そして尊属殺の重罰規定が合憲か違憲かをめぐり、山田よね(土居志央梨)と轟太一(戸塚純貴)が最高裁の大法廷に立つことになった。今年4月に始まった朝ドラも残り5話となり、大団円に向かって物語がクライマックスに向かうなか、イザ編集部で「朝ドラ班」による恒例の座談会を実施。今回は特別にフリーアナウンサーで女優の宇垣美里さんを交え、本作の魅力や好きなキャラクター、それぞれが選ぶ名場面などについて語り合った。

【座談会メンバー】

マル:編集部のまとめ役。好きな朝ドラは「エール」。コードネームは「3番センター丸」

コジコジ:映画とガジェット好きの50代。好きな朝ドラは「あまちゃん」「ひよっこ」

ゆーゆ:犬と野球をこよなく愛する。夢は東京マラソン走破…でも必ず抽選で落ちる運の無さ(2025年も落選…)

ズーカー:結婚の気がない30代。最近の悩みは健康診断で「軽度の尿蛋白」と診断されたこと

宇垣:今回のスペシャルゲスト。元TBSアナウンサーで現在は女優としても活躍中。イザでは「虎に翼」の連載「今週のはて?」を担当

マル「イザ編集部で恒例の朝ドラ座談会、今回は宇垣さんに入ってもらったら盛り上がるんじゃないかと思い、参加していただくことになりました。改めて、この『虎に翼』にハマったきっかけを教えてください」

宇垣「元々周りに面白いよって言ってる方が多くて、友達にも『絶対に宇垣好きだよ』って言われたんですけど、最初はなかなか見る機会がなかったんです。ラジオにも『宇垣さん絶対好きだから見てください』ってメールが届いたりしていて。でもゴールデンウィークぐらいに配信サービスで見られることを知り、じゃあ! と見始めたら、気づいたら一気見をしてて! めっちゃ面白くてあっという間に夢中になって、(ラジオで共演する『RHYMESTER』の)宇多丸さんに損はさせないから頼むから見てくださいとお願いしたくらいです」

マル「それまで朝ドラは見ていたんですか?」

宇垣「実家にいた頃は、BSで放送されている朝ドラを、朝ごはんを食べながら家族で見る習慣がありました。でも実家から出るともう早起きしなくなっちゃって、それで見る機会が減ってしまいましたね。学生の頃は『ちゅらさん』とか好きでしたし、社会人になってからも『あさが来た』は見ていました! 『あさが来た』も『虎に翼』と似ているところがあって、二つとも道なき道を切り開くファーストペンギンの話ですよね。私は性別とか出自とか自分で選んだわけではないけれど自分を構成する大切な要素によって何かが閉ざされることが本当に嫌いで、だからこそそういう壁をぶち破ろうとするキャラクターがすごく好きなんです。そういった意味で、共通点があるのかなって思います」

マル「今回のトラつばの魅力、改めて教えてください」

宇垣「一言でいえないぐらい、全部なんですけど、脚本もいい、演技もいい、という中で、一番はやっぱり、彼女たちがぶち当たる壁って今も地続きで存在するものなんですよね。『あなたが怒ってるそれ、今もまだあります、私ぶつかったことあります!』みたいに感じる。そんな理不尽に対して『それっておかしくないですか?』って怒っている人を見るだけで、『私が感じていたことって間違ってなかったんだ!』と勇気づけられます。

登場人物たちも主人公だけじゃなくて全員が魅力的です。キャラクターを使い捨てにしないというか、物語にちょっとしか出てこない道を歩いている少女とかにも背景を感じてしまうんですね。そういった誰ひとり置いてけぼりにしない物語の眼差しもすごく好きだなと思いながら見てます」

マル「名作と言われる朝ドラって、主人公はもちろん『脇』が輝くんですよ。今回はその真骨頂だなというところがありますが、好きなキャラクターはいますか? 私は相当悩んだのですが、自分がデスクという立場にいることもあり、強いてあげるなら、『タッキー』(滝藤賢一演じる多岐川幸四郎)なんですよね。彼の『法律っちゅうもんはな、縛られて死ぬためにあるんじゃない! 人が幸せになるためにあるんだよ!…法律を守った花岡がどんなに立派だろうが、法を司るわれわれは彼の死を非難して怒り続けねばならん! その戒めにこの絵を飾るんだ』と、法律を守って死んだ花岡(岩田剛典)を非難した演説は、彼の生き方を象徴する言葉だと思います。それにピンピン体操や、桂場をおちょくる様子、家裁を広める愛のコンサートでブルースの女王、茨田りつ子(菊地凛子)の出演にこぎつけるラッキー値の高さ…。『こういう上司に、私はなりたい』と思いました(笑)」

宇垣「愛の人ですよね」

ズーカー「僕は後半戦のMVPといってもいい美佐江(片岡凜)さんですね」

宇垣「怖すぎ!(笑)」

ズーカー「単純に怖いというのもあるんですが、僕は寅ちゃんと美佐江って、実は表裏一体なのかな? って思っていて。寅ちゃんは法とか秩序を守るカリスマみたいな存在で描かれてますけど、それに対して美佐江はカオスの象徴。もしも寅子が法律の世界とかに対して不信感を覚えてしまう出来事があったら、美佐江側に闇堕ちする可能性が実はあるんじゃないのかな? って思ってて。そういう意味で、寅ちゃんと対比するだけでなく、なんかどっか近いものがあるんじゃないのかなと思っています。それに加えて、後半で一番の盛り上げ役でしたし」

マル「私の立場、どれだけ記事が読まれたかという視点で見ると、前半のMVPは優三さん(仲野太賀)一択。で、後半は…と考えると、そういう意味では、“サスペンス美佐江”なんですよ。終盤は完全に『片岡凜劇場』。制作側も、そこまで美佐江に注目が集まるとは思っていなかったのでは? 今回の出演を経て、片岡さん、10月以降忙しくなるんじゃないですか?」

宇垣「(美佐江の最期は)地方出身者として気持ちが分かるというか、他人事にはできませんでした。東京大学に進学した友人も何人かいたんですけど、夏休みに会うと、都会に心をへし折られたように感じたんですよね。私自身も就職で東京に出た時にボキボキに折られましたし。地方から東京に出た人の心の変遷の描写がリアルだなと思いました」

コジコジ「私は前半から推したいんですけども、やっぱりはるさん(石田ゆり子)。はるさんがいないと寅子はああいう風に育ってないし、たくさん影響を受けてると思うんですよね。はるさんはすごく賢い女性なんだけれども、生まれた時代によっていろいろなものを諦めた。だから、娘を傷つけさせたくないという思いで、冒険するのを阻もうとするんですけど、最終的には寅子を応援して。そんなはるさんの思いを寅子が背負って、飛躍するための前半の推進力というか、バネになっている気がするんです。石田ゆり子さんの演技が本当に素晴らしくて、彼女の代表作の一つと思えるぐらいに印象が残ってますね」

ゆーゆ「私は俳優さんとしては、森田望智さん一択なんですけど、キャラとしてはよねさん。女性目線で見ると、さっきの宇垣さんがおっしゃってたように、私も働いてこんなことあった、こんなこと言われたって共感できるポイントが、このドラマでは多いんです。なかでも、よねさんはすごい不遇な時代を過ごして、みんなに対してちょっと嫌な言い方もするんですけれども、でも結局、弁護士になって何をしたかというと同じ苦しみを味わっている人を同じようなままでいたくない、なんとか救い出してちゃんとした道に進めるように手を差し伸べているというのが、ただのつっけんどんで嫌なことをいう人じゃない、寄り添っていける人なんじゃないかなと思って」

宇垣「分かる! 私もよねさんが好きで、よねさんと涼子さま(桜井ユキ)で迷っているんです。よねさんの推進力、苛烈なまでの心の強さと根底にある優しさと、特に後半では彼女の成長がすごくよくわかって。昔は弱さを切り捨てていたのに、本当に傷ついてきた人には『戦わなくていいよ』って抱きしめてあげるようになっていたりとか、彼女も成長してすごくいい弁護士になったんだっていうのが分かるんですよね。

でも涼子さまもすごい好きで、それこそ私は心の中に涼子さまを住まわせたいなってずっと思っています。あの2人って同じくらい心が強くて、とても似ていると思うんですよ。今週だと涼子さまが(司法試験で)『絶対に満点を取ってみせますわ』っていうのがすごく好きでした。『受かってみせますわ』じゃないんだって(笑)。彼女の戦い方には気品がある」

マル「あの5人(寅子、よね、涼子、崔香淑、竹原梅子)って、私は『戦隊もの』のような並びになっていると感じていて、『赤』の寅子に4人の同期たちという配置でドラマを見ていたんです。なかでも効果的だなと思ったのが、よね。周囲から誤解を受けやすく、周囲と衝突が絶えないという、あの『孤高の一匹狼』感は、完全に『青』の立ち位置。ガッチャマンで言えば、コンドルのジョーなんですよ。

また『戦隊もの』といえば、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』でアスナ (リュウソウピンク)を演じた尾碕真花さん。プロフィールにある『X21』の元メンバーっていうだけで、個人的にはもうグッとくるんですけど(笑)。昔、テレ朝のバラエティー番組で取材しましたよ。そんな彼女が演じるのどかが、家族麻雀で『あがったら死ぬ』と言われている伝説の役満『九蓮宝燈』を狙うという(笑)。ハラハラドキドキで、いろんな意味でグッときましたね」

宇垣「ガッチャマンは分からないです(笑)」

マル「航一さん(岡田将生)や桂場も魅力的だけど、1人を選べというと難しいですよね」

ゆーゆ「けれど、一緒にいたいのは優三さんですね」

宇垣「この間放送されていた特別番組で、平岩紙さんが優三さんの出征する場面を一番好きなシーンとして選ばれていましたね。あのシーンは何度見ても泣いちゃうからやめてほしいと思いながら、見ていました(笑)」

マル「朝ドラ史上、あれは語り継がれるべき名シーン! 私はあの別れのシーンも好きですが、個人的には、花江さん(森田)とお兄ちゃん(上川周作)の別れがもう耐えられないんです。耳元でボソッと、『絶対に生きて帰ってきてね』って。あれは、当時なら絶対に言っちゃいないことじゃないですか。でもそれがみんなの本音でもあるわけで。そして、花江ちゃんが、夫が死んだってことを知って絶叫するシーン。あそこは何回見ても泣ける。今、話ししているだけでもこみあげてくるものがある」

宇垣「私、轟が花岡に対する思いを打ち明けるシーンもすごく大好きです。そのちょっと前の、よねが新憲法について自分たちの手で勝ち取りたかったと悔しがる、あの一連のシーンがメチャクチャ好きですね。あの2人のすさまじい演技が舞台っぽくて。『山田轟法律事務所』のスピンオフが見てみたい!」

マル「これまで『ちゅらさん』や『ちむどんどん』などで、本編の放送が終わった後に特番やスピンオフなどありましたけど、期待しちゃいますよね」

コジコジ「脚本の吉田さんがインタビューの中で、もう1クール(3カ月)やりたかったって仰ってるぐらいですからね」

宇垣「ライトハウスも見たいですしね。2店舗目ってどういうこと? みたいな」

ズーカー「最後に、宇垣さんにとって『虎に翼』はどんな作品となりましたか?」

宇垣「すごく勇気づけられている一方で、女子部のみんながこんなに怒っているのに、数十年経ってもそのまま残っているようなことが、まだ今もたくさんあって、本当にごめんなさいって気持ちになるんですよね。理不尽に『はて』と食らいつく様子に勇気づけられる一方で、この人たちがこんなに戦って直そうとしたものがまだ全然そこにあって、私たちはそれに苦しめられていて…。

それはもちろん女性に限ることではなく、いろんな人を阻む壁があって、まだ同性婚が認められていない、結婚するには名字を変えなきゃいけないなんて、本当に情けなくて申し訳ないという気持ちになる。こんだけ戦った人たちがいたのに、その道を私たちはまだ開墾できていないという気持ちになる。

そういった意味で奮い立たされるような作品だし、まだまだ頑張らねばという気持ちになる作品です。残りはしっかり見届けるとともに、この作品からもらった力とか、 やっぱりこれって間違ってるよね!? っていう心の中に灯った炎みたいなものは消さずに、どうにか戦っていきたいなって今は思っています」

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