帝国データバンクは6日、2025年のバレンタインシーズンに向けて実施したチョコレート価格の動向について調査・分析結果を発表。全国の大手百貨店やショッピングモール、ホテルなどが販売する計150ブランドのバレンタイン向けチョコレート(1粒バラ売りまたはアソートタイプ等)で、2025年チョコ1粒当たりの平均価格が初めて400円台に突入し、418円(税込み)となったことが明らかになった。これは前年比5.8%の大幅な値上がりで、「カカオショック」と呼ばれるカカオ豆の価格高騰や円安が主な要因となっている。
日本ブランドと海外ブランドの価格差拡大
調査結果によると、日本ブランドのチョコレートは前年から24円・6.4%アップの400円(税込み)、海外ブランドは25円・6.1%アップの435円(税込み)となり、いずれも過去4年間で最高値を更新した。日本と海外ブランドのチョコの平均価格差は35円に拡大し、特に人気の高い欧州ブランドで大幅な価格上昇傾向が見られた。
全体の6割にあたる90ブランドで価格が上昇し、そのうち最も多かったのは「50円超」の値上げで、全体の4分の1にあたる39ブランドに上った。同一パッケージの価格比較では、2025年は3073円(税込み)となり、前年から9.1%の値上げとなった。企業は減量や原材料の調整などで値上げ幅を抑える傾向が見られた。
バレンタインチョコレートの値上げは、記録的不作による国際的なカカオ豆の取引価格高騰、いわゆる「カカオショック」と円安が主な要因となっている。財務省の貿易統計を基にした推計によると、カカオ豆やカカオバターの価格は1kg当たり前年比2〜3倍に上昇。さらに、包装資材や輸送費の値上がりも価格上昇に拍車をかけている。
バレンタインは価格高騰でも“節約意識せず”
一方、百貨店の松屋が実施したアンケート調査では、回答者の69.6%が今年のバレンタインで「節約を意識しない」と回答。バレンタインチョコレートの平均予算も、本命チョコ・自分用のチョコいずれも前回調査から増額となっている。
チョコレートメーカーは、1箱当たりの個数やカカオの使用量を抑える動きや、クッキーやカヌレなどのスイーツをラインアップに加えることでチョコへの依存度を下げるなど、様々な工夫を凝らしている。しかし、カカオ豆の著しい価格高騰を背景に、大幅な値上げが避けられない状況が続いている。今後も円安や原料高の影響は長期化が予想され、3月のホワイトデー商戦でも全体的に高値傾向が続くと見られている。