トヨタ自動車は23日、米大リーグ、マリナーズなどで活躍したイチロー氏がアジア人選手で初めて米国野球殿堂に選出されたことを受け、新聞各紙に全面広告を掲載。イチロー氏は昨年3月、同社の豊田章男会長の特別補佐に就任しており、2人の親交の深さがうかがえる粋な内容がSNSで話題となっている。
広告は、豊田氏からイチロー氏へ宛てた手紙仕立てで、イチロー氏がバットを持ち、豊田氏がグローブをはめて、笑顔で古いベンチに座る写真が掲載されている。「イチローさん、次いつ出社しますか？」という見出しで始まった本文では、「野球という日本語ができておよそ130年、甲子園や六大学そして都市対抗がはじまっておよそ100年、そこから10年くらい経ってはじまったのがプロ野球。イチローさんのアメリカ野球殿堂入りは、まさに“世紀の偉業”だと思います」と祝福。そのうえでイチロー氏に報奨を出すことを検討していることを明かした。
しかし同社の報奨金制度には「表彰状と商品券3万円分」という規定があるとして、「イチローさんの“世紀の偉業”に3万円でいいのか！？ それは流石に少なすぎないか？ 全国規模で3万円なら、全米規模だから3万ドルにするか！？ いやいやそれでも足りないんじゃないか？ 内心そう思いましたが規定は規定です」と複雑な胸の内を吐露。「今度、出社するときに上司である私から表彰状と3万円分の商品券を渡します」と強調した。
その一方で豊田氏は「“世紀の偉業“にふさわしい記念品をなにか準備できるといいなと思います。でもトヨタはケチな会社なので実現できても現物支給かな…イチローさんにふさわしい“世紀の現物支給“を考えておきます」と会長として特別な“記念品”を準備する意向のようだ。そして最後に「次に出社する日を連絡ください」とイチロー氏に呼びかけた。
ユーモアを交えながらイチロー氏の偉業を祝福する広告に、X（旧ツイッター）では「笑った」「粋だね」「祝福の手紙のようになっていていいな」「やさしさがにじみ出ている」「世界のイチローに世界のトヨタの会長が商品券3万円渡すのがシュールすぎる」などと反応。また「イチロー号作るのかな」「世界に一台のスペシャルなセンチュリーかな」と現物支給の内容を予想する人もいた。
トヨタ自動車 広告全文
「イチローさん、次いつ出社しますか？」
野球という日本語ができておよそ130年、
甲子園や六大学そして都市対抗がはじまっておよそ100年、
そこから10年くらい経ってはじまったのがプロ野球。
イチローさんのアメリカ野球殿堂入りは
まさに“世紀の偉業”だと思います。
昨年から会長付特別補佐としてトヨタで働きはじめてくれた
イチローさんに会社からもなにか報奨したい…
そう思って私から人事部に制度を問い合わせてみました。
我が社の規定は…
「業務内外を問わず全国規模の受賞の場合、所属の本部長より表彰」
「労いとして表彰状と商品券3万円分を渡す」
ということでした。
頑張ってくれた人に職場単位で工夫して報いる制度だと
分かってはいるけど…
イチローさんの“世紀の偉業”に3万円でいいのか！？
それは流石に少なすぎないか？
全国規模で3万円なら、全米規模だから3万ドルにするか！？
いやいやそれでも足りないんじゃないか？
内心そう思いましたが規定は規定です。
今度、出社するときに
上司である私から表彰状と3万円分の商品券を渡します。
ただ、私も一応“会長”ですから
貴殿が成し遂げた“世紀の偉業”に対する報奨が
これでいいのかという相談を人事部にしておきます。
“世紀の偉業”にふさわしい記念品を
なにか準備できるといいなと思います。
でもトヨタはケチな会社なので
実現できても現物支給かな…
イチローさんにふさわしい“世紀の現物支給”を考えておきます。
次に出社する日を連絡ください。
トヨタ自動車株式会社 会長 豊田章男