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朝ドラ「虎に翼」山田よね役・土居志央梨ロングインタビュー〈後編〉相棒・轟(戸塚純貴)のカミングアウトにセリフがうまく言えなくなるほど感動

iza(イザ!) 2024年8月23日 18時0分

現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」で、伊藤沙莉演じる主人公の学友、山田よね役を好演している土居志央梨のインタビュー。後編は、物語後半で「相棒」となった轟太一や演じる戸塚純貴との関係性など共演者に対する思いや、自身のなかでのよねの位置づけなどについて語った。

轟にはカッコ悪いところも見せられる

――轟太一役の戸塚純貴さんへの取材で、今回の現場は土居さんも含めて同世代のキャストが多く、すごく楽しめていると聞きました。土居さん目線で、現場でのキャストの皆さんとの印象的なエピソードがあれば聞かせてください

「学校にいる気分、特に学生時代の撮影をしていた時は本当に学校の仲間のようにすごく心を許せる相手というか、この年になって仕事でこういう現場に出会えるのは本当にラッキーなことだなと思いながらやっていました。印象的なエピソードは、毎日毎日いろんなことで笑いすぎて覚えていないんですが…。でも、お芝居のこともすごく真剣に話し合えるし、くだらない話もできるし、特に純貴君なんか同い年ですし、とても自分にとって刺激になってありがたいです」

――皆さん、現場に入ってすぐ仲良くなったそうですね

「最初から仲良かったと思います。沙莉ちゃんとは共演経験もあって、ぜひまた共演したいなと思っていたので、最初からすごく信頼していましたし、とにかく明るい人が多い現場です」

――戸塚さんによると、土居さんがすごく“ゲラ”(笑い上戸)で、お芝居の時に戸塚さんはいつも笑われていると仰っていたんですが、戸塚さんのどういうところが面白いと感じていますか?

「彼はリハーサルの時から、一切様子を見ずに100%でとりあえずガーンとやるんですよね。それがすごいなと思って、思い切りの良さに笑ってしまいます。一方で、かっこいいシーンなのに食べていた米粒を飛ばしてきたりとか、ちょこちょこ抜けていることもあるところにホッとするというか、和ませてくれますね」

――轟との印象的だったシーンは?

「第21週で、轟がトラちゃんに、花岡悟(岩田剛典)や今の恋人の遠藤時雄(和田正人)さんとの関係についての思いを初めて明かすシーンですね。あまりにも感動しすぎて、そのシーンの最後、純貴君がたくさん語った後に最後私が一言だけ喋るんですが、その一言がうまく言えないぐらいで。轟の優しさ、信念を感じて、今までにない轟の表情を見ることができてすごく感動しました」

――よねと轟の関係をどういうふうに受け止めていますか?

「相棒ですよね。カッコ悪いところを見せられる相手は轟ぐらいなんじゃないかな。トラちゃんにもたぶん、よねはそういうところを見せないように振舞っていると思うので、そういう意味で安心できる相手なんだと思います」

――よねに轟がいて良かったなと…

「本当にそうだと思います。戦後に再会して、よねから一緒に事務所をやろうと誘ってはいますが、あれはよねも轟に救われたんだろうな、あそこで出会えてよかったなって思います」

女子部再結集も、よねだけ「乾杯できないんか…」

――第21週のラスト、寅子と航一の結婚を、よねを含む学友たちが集まって祝う場面がありました。皆が揃うのはかなり久しぶりでしたが、あのシーンの感想を

「女子部の先輩たちまでそろっての撮影は本当に久しぶりで、もう何カ月も会ってない方もいましたし、ただただ懐かしくてうれしくて、台本には『みんなで乾杯をする』って書かれていたんですが、(よねはしない)とも書いてあって。『乾杯できないんか…』と思いながら、本音は『わー!』って感じだったんですけど、頑張って抑えながら、とにかくみんなとの時間を楽しみました。学生時代から始まったみんなの輪が一旦ここでまとまるというか、それぞれの人生を互いに労って、『ここまでよく生きてきたね』と祝福するシーンだと思いました」

――そんな学友たちの中でただ一人、花岡だけは、終戦直後、食糧政策に絡む事件を担当する判事として、闇市の食糧を口にせず、栄養失調で亡くなってしまったわけですが、彼に思いを馳せるような心境もありましたか?

「明律大学の男子の学友としては、あそこに轟しかいないんですよね。小橋浩之(名村辰)と稲垣雄二(松川尚瑠輝)は仕事が忙しかったんでしょうか?(笑)轟だけなのはやっぱり寂しいですが、彼は花岡の気持ちも背負って生きてきている人だということを思い出しながら演じました」

――大学同期の上川周作さんと共演することがわかって、最初にお話しされたのはどんなタイミングでしたか?

「衣装合わせのちょっと前ぐらいに、キャスト表に名前が載ってるのを見て、『これって本当にあの上川周作かな?』と思って、本人に連絡をしたら『決まったよ』ということで、『こんなことが人生であるんだね』と感慨に浸って話しました」

――現場で初めて会った時はどんな感じでしたか?

「不思議な気持ちすぎて、あまりちゃんと話せなかったです(笑)。大学生の時はほんとふざけてばかりだったので、当時と状況があまりにも違いすぎて、2人でいても真面目な顔して会うのも変な感じで、撮影が終わってからいろいろ話しました」

――他の作品で共演されたことはなかった?

「大学主体で作った作品での共演はありましたが、周りに大学の仲間たちがたくさんいたので、私のなかでは仕事としての共演は今回が初めてという感覚でしたね」

心の中によねを住まわせ、弱気になった時に思い出したい

――今作とよねという役柄は、土居さんのキャリアにとってどういう存在になりそうですか? 何か学んだことなどがあれば、教えてください

「私のキャリアにおいても、1つの転換点、きっかけというべき大きな作品ですし、このタイミングで出会えて、よねという人を演じられたことは今後の私の人生で思い出すたびに勇気をもらえるような作品になりました。いつも心の中によねを住まわせておいて、仕事で弱気になった時はよねの力を借りて『虎に翼』を思い出して、この先も頑張っていけるんじゃないかと思います」

――「このタイミング」というのは具体的にどういうことでしょうか?

「20代の頃は、とにかく一生懸命頑張りたいけど、どうしていいかわからなくて、猪突猛進というか、視野が狭くなってしまっていた部分もあったと思うんですが、30代になって少し視野が広がってきて、いろんなことに興味が湧いたり少し余裕を持てるようになった時期にお話をいただいたからこそ、すごく現場を楽しめていると思っています。そういう意味でも縁を感じています」

――もし20代でこの役が来ていたら…

「たぶん、よねのことを俯瞰して演じられなかったような気がします。もっとのめり込みすぎて、よくわからなくなっていたかもしれません」

――今作で、土居さんの女優さんとしての名前と顔を覚えた人は多いと思います。知名度が上がったことへの感慨を

「たくさんメッセージやファンレターをいただくことは本当にありがたいしうれしいですが、その分ますますちゃんとお芝居と向き合わないと、と身が引き締まる思いがしています」

――視聴者に向けてメッセージを

「たくさんの応援、本当にありがとうございます。今後はリーガルドラマとしての『虎に翼』に注目してほしいです。最後の1秒まで全員で力を合わせて頑張りますので、ぜひ楽しんでいただければ」(おわり)

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