女優の市川実日子が主演を務める、連続ドラマ「ホットスポット」(日本テレビ系、日曜後10・30)の「第2章」が9日からスタートする。波乱の新章開幕を目前に、プロデューサーの小田玲奈さんが見どころを語った。
2023年に放送された「ブラッシュアップライフ」(同局)チームと、同作の脚本を担当したバカリズムが再結集した本作。「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」というテーマで、小さな田舎町の平凡な日常と、宇宙人というファンタジーが融合した物語が展開される。
小田さんは、「家売るオンナ」シリーズ(2016年~)、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16年)、「知らなくていいコト」(20年)などの話題作を手がけており、バカリズムとは「ブラッシュアップライフ」のほか、「生田家の朝/緑山家の朝」(18/19年)、「住住」シリーズ(17年~)、「新春スペシャルドラマ 侵入者たちの晩餐」(24年)などのドラマでタッグを組んでいる。
――そもそも、バカリズムさんとはどんな話の流れで本作が生まれたのでしょう
「若い女の子たちの青春群像劇とか、升野(バカリズム)さんの中には企画がたくさんあって、その中の一つが宇宙人の話だったんです。『ブラッシュアップライフ』の時は、“地元”を舞台に日常を描きながらタイムリープとSFを組み合わせてうまくやれた感があったので、今回はタイムリープの部分を宇宙人に変えたら面白いんじゃないかと漠然としたアイデアが出て、『じゃ、宇宙人とどう絡める?』と、話を詰めていきました」
――宇宙人の高橋孝介を演じる東京03の角田晃広さんの起用理由は?
「升野さんの中に、宇宙人が能力を使うと副作用が起こるというアイディアがあって、スーパーヒーローだけど能力を使った後にダメージを受けると。例えば、熱が出たり足腰が悪くなったり、肩が凝ったり…。あと、第4話に出てきた、頭脳系の能力を使うと頭がはげるみたいな。このエピソードは絶対にやりたいということで、割とおでこが広いとか髪が薄い人でいい人がいないかなと探していたら、升野さんから角田さんの名前が上がりました。角田さんは、おでこは少しきているけど、はげているというわけではないので、最初は角田さんの名前が上がらなくて、キャスティングに悩んでいて…。物語はできていくんだけど、『この人!』という高橋が見つからないなという時に、おでこが上がってきている系でもいけるんじゃないかという話になって、角田さんで高橋を想像してみると、『画が見える!』と。そういう流れで決まりました」
――そのとき、バカリズムさんはどんなご様子でしたか。
「『見つけた!』って感じで、角田さんならいけると思って喜んでいました。今回のチームは、『侵入者たちの晩餐』の時に角田さんとご一緒したので、私たちも角田さんがいかに升野さんの脚本を理解してくれているかを分かっていました。いい塩梅のお芝居で、やりすぎないですし間もいい。だから、升野さんは何にも心配せず書けるという感じでした」
――今週放送の第5話から第2章のスタートですね
「第4話までは、ホテル内で発生したテレビ泥棒を捕まえるとか、体育館の天井に挟まったバレーボールを落とすとか、ドラマで1時間かけてやる物語としてはどうなのかという感じの小さい事件を、見た目はおじさんだけど本当は宇宙人の高橋が、副作用を抱えながら能力で解決していく様子を、“SF史上かつてない小スペクタクル“で描いてきました。
でも、第5話になって、池松壮亮さんが演じる岸本という『月曜から夜ふかし』のディレクターが、2月23日の“富士山の日”を前に『富士のふもとで個人的ニュースを聞いてみた件』と題して、富士山あるあるを聞きに来たら、高橋の目撃情報がたくさん出てきて、物語が思いもよらない方向に進んで行きます。
高橋のことや、宇宙人がこの町にいるらいしいということも知らない岸本が、街録で高橋が能力を使っているところを目撃した人々に遭遇して、人間では考えられない不思議な能力を持ったメガネの男がこの富士にいるらしいと思い始める。一方、清美(市川)たちはそんなことはつゆ知らず、相変わらずの日常を送っているんだけど、密かに高橋のことがテレビに乗っかってバレちゃいそうになるんです。そこで、小スペクタクルなストーリーのスペクタクルがちょっとだけ上がるかなと思います」
――山梨では富士山の日は特別なんですか?
「私も、今回山梨を取材をしているときに知ったのですが、2月23日が富士山の日だということは、山梨では当たり前のことで、例えば、学校給食に富士山ゼリーが出るらしいです。実は、第7話の放送日は2月23日で富士山の日なんです」
――富士山の日の第7話は何か起こりそうですね
「思いもよらないことになってきます! そして、第8話では衝撃の展開もあります、なんて…。先日、升野さんがSNSで第8話の決定稿を送信したと発信していましたけど、今は、第9、10話のことが見えてきた状況です。私たちも8話の台本を見て衝撃で、『こんなことになるなんて!』みたいな。これ以上は言えないです」
――小田さんが興味を引かれた富士山のエピソードはありますか?
「富士山ってパワースポットというか、宇宙人とかが降りてきそうな雰囲気を感じるなと、撮影していていつも思います。少しだけドラマに関係していることでいうと、1975年に山梨県甲府市で、小学生がぶどう畑で肩を叩かれて振り向いたら宇宙人がいたっていう『甲府事件』というのがあるのですが、それが2月23日なんですよ。これを聞いてびっくりしました」
――今後のキーパーソンは?
「第5話で、木南(晴夏)さんが演じる岡田綾乃“あやにゃん”の娘のりっちゃん(原春奈)がお絵描きが好きで、第3話の最後に高橋さんが爆走しているのを描いてたりしているんです。よく、ちっちゃい子の目撃証言ってありますよね。そういうのとか、第3話で、都市伝説好きな磯村由美(夏帆)から、『小野寺くんって宇宙人じゃないですか』と言われていた、同僚の小野寺君(白石隼也)が、第5話ではキーパーソンかもしれません」
――「ブラッシュライフ」に出演されていた木南さんや夏帆さんが、今作にも出ていらっしゃいますが、今後、安藤サクラさんが出演される予定は?
「サクラさん、私も出てほしいんですけどね…」
――野間口徹さんや小日向文世さん、眞島秀和さんなどが今後、どう関わってくるのかも気になります
「第1話の冒頭で、野間口さんの隣の子供が鼻をすすっていて、最後に角田さんが鼻をすすっていたことで、『野間口さんが父親では?』と話題になっていましたが、あのシーンだけだったら野間口さんをキャスティングできませんからね(笑)。『ブラッシュアップライフ』の第1話って、一見するとずっと無駄話をしているように思えるのですが、見返してみると全部最終回に向けての伏線だったように、今回も第1話を見るとドキドキします。野間口さんのシーンもそれ以外も何度でも見て欲しいです。
小日向さんも、謎が多いですよねー。きっと、ただのお客さんでは終わらないですよ、なんて。でも、小日向さんに出演をお願いした際は、まだいろいろなことが見えていなくて、『僕、セリフが“ただいま”しかない』とおっしゃっていました(笑)。眞島さんは、日テレで実際に『月曜から夜ふかし』の総合演出をしている、実在する社員の役をお願いして、服装もその人に寄せています。眞島さんに限らず、他のスタッフも髪型とかを似せてリアリティーを出しています。主人公の清美たちの髪が真っ黒だったり、あの地区にしかない自動販売機を出したり、劇中で見ているテレビを実在するローカル番組にしたり、見る人が見れば分かる、いろいろなこだわりも楽しんでください」