2025年度後期放送予定のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン、松野トキを演じることが決まった女優の高石あかりが29日、「列島ニュース」(総合)に生出演し、「朝ドラヒロインとして見てくださる皆さんに温かい気持ちになってもらったり寄り添えるような作品になれるよう精いっぱい頑張ります」などと同作への意気込みを述べた。
朝ドラ113作目となる「ばけばけ」は松江の没落士族の娘、小泉セツをモデルにした物語。外国人の夫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とともに「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の人生を描く。高石が演じるトキは、人魂よりさまよい、お化けより生きるのが下手くそな人たちに囲まれ、幽霊よりもこの世をうらめしく思う没落士族の娘。絶対取りつかれてるんじゃないか、早くおはらいに行った方がいいんじゃないかぐらいのつまずきを繰り返しながら、どこか憎めない人々と共に、それでも前向きに生きていく。
この日、ヒロイン発表の模様が「列島ニュース」内で生放送された。会見場に白い和服姿で登場した高石は登場するなり涙を流し、「自分は小さい頃から朝ドラヒロインになるのが夢で、今回『ばけばけ』のオーディションを通してヒロインになりたいということと同じように、大阪のスタッフの皆さんとどうしてもお仕事がしたいという気持ちが強くて、今さっきまで袖で皆さんとお話しながらすごく今、実感が湧いていて皆さんの温かい表情に胸がいっぱいになりました」とあいさつ。そのうえで「朝ドラヒロインとして見てくださる皆さんに温かい気持ちになってもらったり寄り添えるような作品になれるよう精いっぱい頑張ります」と話した。
番組内で同局の高瀬耕造アナウンサーによるインタビューのあと、会場に集まった記者から高石が質問に答えた。「舞いあがれ!」「あんぱん」に続き、3度目の挑戦で夢をつかんだという高石。そのオーディションに立ち会った脚本担当のふじきみつ彦さんは、夫役の俳優との芝居を「本当にモデルの2人のようだと錯覚するぐらいだった」と絶賛した。高石は当時を振り返り、和装でかしこまっていた際に監督から「(殺し屋役で主演を務めたアクション映画)『ベイビーわるきゅーれ』と思って」と声をかけられたことを告白。その言葉のおかげで「自分らしくできたのかも」と話した。
これから始まる大阪生活に向けて、ジャンクフード好きの高石はいろんなお好み焼きやたこ焼きを食べ歩きしたいと目を輝かせた。司会の小山径アナウンサーから新大阪駅の地下にもいい店があると言われると、高石は「あ、そうなんですか? ちなみに何ていう…」と前のめり。しかし、職業上、特定の店舗に言及できない小山アナの「NHKなんで」という言葉に事情を察し、口を押さえて目を見開き「しまった!」という表情を見せた。コロコロと表情を変える高石に会場に集まった多くの関係者たちが和んだ。