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【朝ドラ「虎に翼」ひとり受け】宇垣美里の「今週のはて?」第1回 轟の花岡への想いに涙…

iza(イザ!) 2024年6月16日 10時0分

私たちには「虎に翼」がある。そう思うと朝起きるのも、月曜日を迎えるのも、全く苦じゃなくなった。現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」。日本初の女性弁護士となり、後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした主人公・寅子(※1)を伊藤紗莉さんが演じている。

母が進めるように結婚するのは何か気が乗らない。そう思っていた寅子は女性も法律を学ぶことができる明律大学女子部の存在を知り、両親を説得して進学。仲間たちと切磋琢磨し、ついに女性初の弁護士となる。しかし数少ない女性弁護士であるが故になかなか仕事に恵まれず、また戦争によって多くを失うのだった。父も夫も兄も亡くした寅子は、生きて家族を養うため、司法省で働くことになる。

舞台は昭和初期だけれど、その実、描かれていることは決して過去の出来事ではない。性別や、経済状況、人種や出自など、寅子をはじめとする登場人物たちの行く手を阻む壁はみな、今なお歴然とそこに存在しているものだ。医学部入試で行われた女性差別に私は未だに怒り狂っている。寅子の中で燃える怒りは私たちが今抱いているそれと同じ。だから、私は見る度にまるで自分事のように怒って、喜んで、泣いている。迎合するでもなく、我慢するでもなく、疑問を流さず「はて?」と食らいつく寅子の姿に、私だって!と勇気が湧いてくる。それでいてしっかりエンタメとしても面白いんだから、もうこのバランス感覚に脱帽である。

出演しているラジオ「アフター6ジャンクション2」を含め周囲に暑苦しくプレゼンし続けているうちに、ついにはこのような連載をお任せいただけるようになった。やはり、愛はしつこいほどに伝えるのが吉。これから毎週の“とらつば”の見どころをお伝えしていきたい。

第11週は月曜日からすさまじい展開をみせた。寅子の学友であった花岡(※2)の悲劇的な死の知らせからスタート。そして同じく学友である轟(※3)はよね(※4)に見守られながら涙ながらに花岡への想いをこぼす。自分でも自覚していない、けれどまごうことなき愛の吐露に、絞り出すようなその言葉に、ぼろぼろと涙がこぼれてしばらく声もでなかった。

思えば初登場から過剰なほどに男らしさにこだわっていた轟。もしかしたら、彼の中に生まれていた感情からくる反動があったのかもしれない。そう思って改めて学生時代の2人の様子を見返すとすべてがつながって見えてたまらなかった。それを気づけなかった自分の無自覚であった偏見にも。

本作の脚本家・吉田恵里香さんはSNSで「轟の、花岡への想いは初登場の時から【恋愛的感情を含んでいる】として描いていて私の中で一貫しています」と宣言し、その上で「私は、透明化されている人たちを描き続けたい」と記されていて、また胸がいっぱいになった。なんと誰もひとりぼっちにしない作品だろう。

家庭裁判所の設立に携わった寅子。大切な友人であったヒャンちゃん(※5)は母国名を隠し、日本人として生きていることが分かる。当時からあったであろう差別を想像するとやるせない。この後朝鮮戦争が起こることを考えると…。そして次週予告にはよねの姿が!私はよねが大好きなんだ!その厳しさ、ブレなさ、気合の入った生き様を遺憾なく発揮してもらいたい。はやく月曜になってくれ!!!!

◆【朝ドラ「虎に翼」ひとり受け】宇垣美里の「今週のはて?」とは?

朝ドラ「虎に翼」にハマっているという、フリーアナウンサー・俳優の宇垣美里さんの連載がスタートしました。宇垣さんが、その1週間を振り返り、彼女ならではの視点で自由に感想などをつづる企画です。毎週日曜公開で、最終週まで続きます。どうぞお楽しみに!

※1 佐田寅子。旧姓は猪爪。

※2 花岡悟。演じるのは岩田剛典。寅子の学友で判事になったが、違法だった闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなった。

※3 轟太一。演じるのは戸塚純貴。寅子の学友で花岡とは同郷の弁護士。戦地から無事に帰還した。

※4 山田よね。演じるのは土居志央梨。寅子たちの学友で常に男装している。まだ司法試験には合格していない。戦後、轟と再会し、共同で弁護士事務所を開設した。

※5 崔香淑。演じるのはハ・ヨンス。朝鮮から日本に留学していたが、戦争が始まり帰国。その後、家庭裁判所設立準備室の室長補佐、汐見圭(平埜生成)と結婚し再来日。現在は「汐見香子」を名乗る。

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