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賀来賢人×柄本時生×落合モトキ ロングインタビュー《後編》「カメラ回ってない時のほうが汗かいてる」 「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」テレ東7・12スタート

iza(イザ!) 2024年7月12日 12時0分

俳優の柄本時生と今井隆文が初プロデュースするテレビ東京の連続ドラマ「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(毎週金曜深夜0時12分)。12日の初回放送を前に、柄本と賀来賢人、落合モトキのメインキャスト3人が取材に応じ、作品にかける思いや撮影現場での雰囲気などを語った。柄本が初めてプロデュースを手がけた経緯や、個人的にも親交のある3人の関係性などの話題で盛り上がった前編に続き、後編では舞台となる東京・錦糸町や3人が演じるキャラクターの設定について質疑応答が進んだ。

なぜ錦糸町なのか?

――物語の舞台はどういうところから着想を得たのですか?

柄「地元というものを1つのテーマにしたくて。僕自身の地元は下北沢なんですが、よく知ってるせいで、下北沢の物語を考えるのは簡単だなと思ってしまって、もっと別の、地元の感覚が強くて、それでいて閉鎖的な場所はどこだろうと思った時に、錦糸町が浮かんで、そこがスタートでした」

――錦糸町を選んだ理由についてもう少し詳しく

柄「舞台のリハーサルで使う『すみだパークスタジオ』の最寄り駅が錦糸町で、よく行っていたんです。駅からけっこう距離があって、稽古が夜8時くらいに終わって、帰り道に錦糸町の夜の街並みを見ていて、やっぱり面白いなと思ったのが一番の理由ですね」

――ほかの候補はありましたか?

柄「浅草とか上野も考えたんですが、やはり錦糸町でしたね」

――タイトルにある「渋谷から一本」というのは、錦糸町が渋谷から東京メトロの半蔵門線一本で来られる街という意味だと思うのですが、渋谷をタイトルに入れたのにはどういう意味がありますか?

柄「渋谷がちょっと物語に関係してくるんですが、そこはネタバレなので、見てのお楽しみということで」

――清掃員という設定については?

賀「掃除屋、ってずっと言ってたよね」

柄「言ってたね。最初、宇宙人の掃除屋だったんですよ。『緑色の哺乳瓶出てきてさ』とか(賀来笑)。掃除をしながら思い浮かんで、『物語できんじゃん!』と。そういう簡単なところからのスタートでした」

目指したのは群像劇の名画「ナッシュビル」

――プロデューサーの太田勇さんのコメントの中で、「どっちが良いとか悪いとか決めつけたくないというか、決めつけられない群像劇ドラマをやりたいんです」という柄本さんの言葉が引用されていました。このアイデアに至った経緯は?

柄「もともと映画が好きで、目指したい『ナッシュビル』(米、1975年)という作品があって、あんなドラマを作ったらどうなるか、それを見た視聴者の皆さんはどういう反応をするかという衝動的な興味が原点で。掃除をしていたら、掃除屋の話で『ナッシュビル』みたいなことができるなと思いついたところからスタートしました。群像劇を作ろうと考えた時に、登場人物の事情がたくさん見えてくると、単純に善悪で割り切れないんじゃないかと考えたんです。あとはいくつか自分の体験をもとにした話を盛り込んで、僕が感じたことを思い返して考えて出来上がっていくという感じでした」

――賀来さん、落合さんが演じた役のセリフは当て書きですか?

柄「僕が脚本を書いているわけではないのですが、そこは(脚本を担当する)今井(隆文)さんと相談して、個々人で飲んだこともあって、2人の人柄を知ってくれていたので、近しくは書いてくださったんじゃないかなと思います」

――お三方それぞれご自身の役を演じるにあたって、こだわったところは?

賀「僕は濡れ場ですかね、やっぱり…」

柄・落「濡れ場、ないよ!」

賀「(笑)特にこの3人の関係性のなかで、どこか気持ち悪い部分を抱えているのが僕の役の大きな特徴で、それが話数を重ねるごとにちょっとずつ歪みが大きくなっていくさまを丁寧に表現したいと思っています」

落「設定としてはバスケ部のクラブチームに入ってて、実年齢と同じ、2人よりも1歳年下という役柄ですが、たしかに自分の意見も持っているんだろうけど、大助さん(賀来)と裕ちゃん(柄本)の言うことを尊重して、そこには全力でついていきますよっていうところは自分にも近しくて。変に作り込むよりも自分の直感を大事にして、うまいこと2人の間にずっといたいなという振る舞いでいます」

柄「賀来演じる大助さんと僕が幼なじみ、ここ(落合)とも幼なじみで一緒に掃除屋をやる。その理由としてはここの2人(大助と裕ちゃん)の関係値があるんですが、『誰が悪いわけでもない』という作品の根っこにあるモチーフと直結する関係値なんです。その関係値がしっかり見えれば、とは思いながら演じています。芝居の空気感は、かっちゃんが言ったように本当に普段と変わらないような会話をしているので、見ていただけたらすごくわかっていただけるんじゃないかと思います」

賀来と落合の役は、柄本の抱く2人のイメージを反映

――当て書きという話が出ましたが、賀来さん、落合さんはそれぞれご自身の役柄にどういう印象を持ちましたか?

落「初日にカメラの前に立った時に、一応引き出しにいろいろと忍ばせては行ったんですが、結構手前にあるものをすぐ使えたかなというような感じがあって。その空気感でいいのか、出会ってから20年経験を積んできて、初めてそろって共演して、残念なものは出したくないとは思ったし、それまでに積み上げたものも忘れたくないけど、変に考えずにできたのは、自分から遠のいた役ではなかったからかなと思いました」

柄「自分に近いようで遠いような感覚がありますかね。セリフなどは本当に普段どおりの会話をできるように心がけているなかでも、置かれてるのはまったく違う環境で、自分で考えたキャラクターではあるけれど、自分とはちょっと違う人間だなと思って演じています」

賀「時生から見た僕はこうなんだろうなと思ってやってます。バスケ小僧みたいな恰好をめちゃめちゃさせられてます」

柄「(笑)でもまあ、そうなんだと思う」

――柄本さんがキャラクターに込めた狙いは?

柄「2人の前で言うのは恥ずかしいですね(会場笑)」

賀「あるんだ。そういう役割というか、どう見えてるかっていうのが」

柄「ある! めちゃめちゃある! できあがって気づいたこともあるけど、キャラクターができた時に配役は速攻で決まったので、確実に自分の中で(イメージが)あるんだと思う」

――視聴者が驚く配役ですか? それとも納得する配役ですか?

柄「納得してもらえたらうれしいですけど、僕の心の内のものがあるので、そこは理解していただけたらうれしいんですけど」

――お2人はそんな狙いに気づいてる? まだわからない?

賀「時生から見たら僕と世間様が見てる僕って違うと思うので、そこも含めて楽しんでいただけたら」

落「そうだと思いますね。かっくん、時生ってドラマの中で呼んでるわけじゃなくて、役としてのフィルターが一枚かかるので、(視聴者の皆さんにはフィクションとして)作品に入っていっていただけるのかなと思います」

――この作品が終わった後、3人の関係性に変化は?

賀・落「何ら、ないですね」(会場笑)

柄「俺、ちょっとは起きるかなと思った。何ら、ないよね? 今のところ」

――それはいい意味で?

賀「いい意味です!(爆笑)」

柄「それ、いいのかな? わかんないけどね(笑)」

ただ楽しいだけでは終わらせたくない

――長い付き合いのメンバーと共同での企画が実現したことについての感慨を聞かせてください

柄「感慨はすごく深いです。撮影が進んで落ち着いてきていますが、僕の中で一番『やばいやばいやばい』ってなったのは、情報解禁の時ですね。そこまではストレスのせいか、ずっとじんましん出てるみたいな感じだったので。解禁されてネットの記事とか見させていただいた時にとにかく感動して。うれしかったですね、あの時は」

――本当だったんだ!と

柄「本当にそのとおりなんですよ。『あ、やれるんだ!』というのが急にこみ上げて、うれしかったのを覚えています」

落「毎日感慨深いですよ。メイク室に時生ちゃんが入ってきて、かっくんが入ってきて、きょうも始まるんだと思って、台本を読んでカメラの前に立つと、お芝居をする役者になって。でも時生ちゃんには言ったんですが、自分に近い役で3人の空気でただただ楽しいだけの作品では終わらせたくないという思いもあって。ちゃんとスタッフさんも巻き込んで、愛される劇団年一でありたいなと思うし、その空気を視聴者の皆さんに届けられたらいいのかな、より愛されたらいいのかなと思います」

賀「もっくんの言うことに同意しつつ、まったく真逆のことを言うんですけど、本当にただ楽しいので、毎日が(笑)」

落「そうなのよね」

賀「さっき言ったみたいに、こんな時間ってないんですよ。もう大人で僕も子供2人いるし。みんな仕事忙しいし、そんなに毎日ね、みんなとお芝居もできておしゃべりもできてという時間はないので、いかにこの時間を育むかっていう。それが画面に伝わればなおいいなと思います」

落「だってうちら、カメラ回ってない時にもしゃべってるから、その時のほうが汗かいてるもんね」(会場爆笑)

賀「そうなんだよ! 疲れちゃうんだよね」(笑)

落「ほかの役者さんだと、役に集中したいだろうからって距離置いちゃうこともあるから…」

賀「こんなにしゃべんないもんね(笑)」

(おわり)

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