女優の吉高由里子が主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合など)の第42話が3日、放送され、主人公のまひろ(吉高)が「源氏の物語」の続編を書き始める展開に、胸を熱くした視聴者が続出した。
平安時代を舞台に、「源氏物語」の作者として知られる紫式部/まひろの幼少期からの生涯と「源氏物語」の執筆や、権力者、藤原道長(柄本佑)とのかかわりを軸に描く波乱の一代記。道長は自身のその子孫の権勢を盤石なものとするため、娘の彰子(見上愛)を入内させ、先代の一条天皇との間に皇子を産ませ、その皇子を次の東宮の座につけることに成功した。人見知りで引っ込み思案だった彰子を前向きに成長させ、「光る君」の物語で帝の関心を引いて、疎遠だった彰子との仲を親密にするのに大きく貢献したのが、道長が後宮の藤壺に女房として送り込んだ藤式部こと、まひろだった。
しかし、一条帝が崩御し、後を継いだ三条天皇(木村達成)は、なにかと道長と対立。この日の放送で、三条帝に入内させた2人目の娘、妍子(きよこ、倉沢杏菜)は、年の離れた帝を寄せ付けたがらず、世継ぎが生まれる見込みは薄くなり、代替わりに伴って彰子も中宮から皇太后となったこともあって、内裏での道長の求心力は低下していた。状況を打開したい道長は、主人公の最期を描いて「源氏の物語」を完結させたまひろのもとへやってきて、一条帝と彰子を結び付けた物語のようなよい策はないかと頼ったが、まひろは「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ」と断った。
その後、道長が病に倒れ、やがて宇治の別荘で静養に入った。日に日に弱っていく道長を案じた従者の百舌彦(本多力)は、里帰りしていたまひろを独断で訪ね、道長に会ってやってほしいと頭を下げた。宇治に出向いたまひろは、別荘近くの川辺を道長と歩きながら、政によってこの国を変えるという若き日に交わした約束を振り返り、もう忘れていいのだと思い悩む道長を慰めた。道長が、その約束こそが自分の命だったと話すと、まひろは「ならば私も一緒に参ります」と心中をほのめかし、物語を書き終え、彰子も強くたくましく成長し、もはや自分の役目はないとこの世に未練がない心境を吐露。道長の「俺より先に死んではならぬ」との言葉を受け、「ならば、道長様も生きてくださいませ。道長様が生きておられれば、私も生きられます」と返した。それが2人の新しい約束となり、まひろは久しぶりに筆を執ると、「光かくれたまひにしのち…」と書き始めた。
「光かくれたまひにしのち…」は、「源氏物語」の第3部第42帖「匂宮(におうのみや)」の書き出しの一節。「匂宮」は、光源氏亡き後の子孫とその縁者の後日談の最初の巻で、「橋姫」から始まる第45帖以降のいわゆる「宇治十帖」の中心人物の名前でもある。今作では、これまでも歴史上の出来事に「源氏物語」の内容が影響を与えたり、逆に史実が「源氏物語」の中のエピソードに着想を与える様子がダイナミックに描かれてきた。まひろは劇中でしばらく物語を書いておらず、第3部全体や「宇治十帖」については紫式部による作品ではないとの説もあることから、まひろ自身が続編に着手する場面に視聴者は興奮。SNSには、「第3部開始のきっかけはこうなるのか…」「この流れで宇治十帖にいくのね」「やはり紫式部が書いた説を取るか」「宇治十帖は道長のために すごい壮大な恋文だな」といったコメントが殺到した。