2025年度後期に放送される、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の取材会が28日、島根県松江市の小泉八雲旧居で行われ、主演を務める女優の高石あかり(※「高」はしごだか)と相手役の英国人俳優、トミー・バストウが出席。舞台となる松江の街の印象などについて語った。
「ばけばけ」は113作目となる朝ドラで、松江の没落士族の娘、小泉セツをモデルにした物語。外国人の夫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とともに「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の人生を描く。高石がヒロインの松野トキ役を務め、その夫、ヘブン役をバストウが演じる。
高石は、27日にNHK大阪放送局で行われた記者会見で出演が発表されたばかりのバストウとともに、松江市内の各所を巡った。松江の街の印象について、古い街並みから昔の雰囲気を感じられたという高石は、「セツさんとハーンさんも、自分の住んでいるところから相手の家や宿が見えるような距離感で生活をしていたのかなと思えて、とても感慨深かった」と述べ、バストウは「松江の景色を見ながら、ハーンさんの心情に思いをはせた」と話した。
前日に初めて顔合わせした互いの印象を尋ねられると、高石は「すごく優しいオーラに包まれている方で、とても真摯に作品や小泉八雲さんに向き合われているところも尊敬しますし、これから2人の空気感ををゆっくり作っていけたら」と期待を寄せた。10年間独学で日本語を学び続けているというバストウも日本語で受け答えし、高石に会う前に鑑賞した彼女の主演作、映画「ベイビーわるきゅーれ」を「思ったよりもヒューマン(人間性)がよく見つかりまして、すばらしい演技にひかれました」と絶賛。初対面時の好印象を「会った瞬間、あ、すごくいい!と思いました」と振り返りつつ、「一緒に役や話をつくっていくことを本当に楽しみにしています」と目を輝かせた。
2人で松江を散策中、どんな会話をしたかとの質問に、高石は、バストウが東京の雑司ケ谷霊園にある八雲とセツの墓参に行った際の話を披露。バストウは霊園で蚊に刺されたが、虫に生まれ変わりたいと願っていたほどの虫好きで知られる八雲の逸話から、「(転生した)八雲さんに刺されたんだ」と喜んでいたのが「とてもチャーミング」と笑った。また、バストウは高石との言語交流が楽しいとし、この日教わった「沁みるわぁ…」というフレーズをかみしめるように2人で繰り返し口にしながら笑顔を交わしていた。