NHKは11日、横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に、俳優の桐谷健太、古川雄大、片岡鶴太郎、岡山天音、寛一郎、山中聡、栁俊太郎、山口森広、浜中文一の9人が出演すると発表した。
“江戸のメディア王”として時代の寵児となった蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう、横浜)の波乱万丈の生涯を描く大河で、今回出演が決まった面々は蔦重とつながり、絵師や戯作者などとしてヒット作を世に生み出す仲間や江戸で名声をとどろかせた文化人を演じる。
桐谷は、幕臣にして、江戸随一の文化人、天明狂歌のスターの大田南畝を演じる。大田は、牛込の御徒組屋敷で生まれ育った幕臣。10代で出した狂詩集『寝惚先生文集』で一躍有名となり、その後四方赤良という狂名で、天明狂歌を牽引する存在となる。批評家、戯作者など多彩な一面も持ち合わせ、蔦重とは、南畝が書いた黄表紙評判記『菊寿草』をきっかけに、交流がスタートする。
桐谷健太コメント
「ワタクシ、桐谷健太が演じますのは大田南畝という、表の顔は真面目で実直な御家人、裏の顔は狂歌や戯作など、笑いに溢れた文芸作品のべストセラー作家であり、パーティー好きな、べらぼうに明るく楽しい人物だったそうです。ただその明るさの奥には何があったのか、もしくは無垢な明るさだったのか。これから更に探求したいです。彼の辞世の句にヒントを感じた今日この頃です」
古川演じる山東京伝(北尾政演)は、絵師、戯作者、マルチな才能を持つ江戸のベストセラー作家。深川木場生まれで、北尾重政(橋本淳)に画を学び、その後徐々に洒落本や黄表紙などを手掛け鶴屋喜右衛門(風間俊介)が出した『御存商売物』で、戯作者としての地位を確立する。蔦重とは、たびたび吉原に出入りするなかで知り合い、親交を深めていく。『江戸生艶気樺焼(うまれうわきのかばやき)』の大ヒット以降、蔦重の出版パートナーとして欠かせない存在となっていく。古川は大河ドラマ初出演となる。
古川雄大コメント
「この度、NHK大河ドラマ『べらぼう』に山東京伝役で出演させて頂きます! 歴史ある大河ドラマに初参加させて頂けることをとても光栄に思います。台本を読んでいると『絵なんてモテるために描くんだ』というセリフがあり驚きました。山東京伝は、とにかく女に目がなく、浮名を流すほどの女泣かせで、明るく周りを照らす様なイメージを持ちました。ただ、どこか鋭さもあり、その感性が絵にも反映されています。そんな山東京伝が主役の蔦屋重三郎に出会って、彼に見出されて上り詰めていくという役柄です。以前もご一緒させていただいた、とても信頼しているスタッフの方々と共に作り上げていく中で、やはり皆様の作品への愛情はとても強く、いつも現場で新しい発見をさせて頂いています。
皆様と同じ熱量で『べらぼう』に挑み、この作品の一部として盛り上げられる様に努めます。どうぞ、ご期待下さい」
片岡は妖怪画の大御所、鳥山石燕を演じる。鳥山は、徳川将軍家に仕える狩野派に絵を学び、安永5年(1776)に『画図百鬼夜行』を刊行し、妖怪画の名手として注目を浴びる。喜多川歌麿(染谷将太)や恋川春町(岡山天音)など数多くの弟子を持つ。特に歌麿には、小さい頃から目をかけ、その“才能の目覚め”にきっかけを与えていく。
片岡鶴太郎コメント
「この度は絵師・鳥山石燕を演じさせて頂きます。鳥山石燕は妖怪絵師として独自の世界を切り拓き後進の歌麿を見出しそして現代の妖怪漫画・ゲゲゲの鬼太郎の作者水木しげるさんへと繋がって行きます。どうぞお楽しみ下さいませ!」
このほか、岡山が挿絵も文章も書ける戯作者の恋川春町(倉橋格)役、寛一郎が江戸浄瑠璃の歌い手、富本午之助役、山中は「解体新書」の生みの親、杉田玄白役、栁は田沼意次(渡辺謙)の腹心の部下で、勘定組頭の旗本の土山宗次郎役、山口はユーモアのセンスに長けた江戸の戯作者、唐来三和役、浜中は狂歌三大家の一人、朱楽菅江役を務める。