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【朝ドラ「虎に翼」ひとり受け】宇垣美里の「今週のはて?」第2回 はるさんの死から見えてくるもの

iza(イザ!) 2024年6月23日 10時0分

今日が休みで本当に良かった。木曜朝の感想です。みんなちゃんと学校とか会社とか、行けましたか!? 私はしばらく涙が止まらなくて使い物になりませんでした。はるさん(※1)にもう会えないのが本当に本当にさびしい。

ようやく家庭裁判所が設立され、最高裁判所家庭局事務官かつ、東京家庭裁判所判事補となった寅子(※2)は、家庭局の面々と共に戦争孤児の問題に向き合う中で、孤児たちの面倒をみている轟(※3)とよね(※4)に再会する。やがて戦争孤児たちの兄貴分であった道男(※5)を家に引き取ることになるが、突然はるが倒れてしまう。

今際の際のはるを前に死んじゃ嫌だと大泣きする寅子はまるで駄々っ子。彼女は弁護士になっても親になっても、ずっとずっとはるの娘で、はるがいたからこそ自由に翼を広げ、好き勝手に飛び回っていられたのだと痛感した。虎の一翼は、母の大きな愛だ。1人の大人として道男を肯定するはるの言葉からも、子供が子供でいられた猪爪家の環境がどれだけ素晴らしいものだったのかが改めて伝わってきて、だからこそもらい泣きが止まらなかった。あとちょっと、うらやましかった。

この物語は、猪爪家は、大切な屋台骨を失った。けれど、寅子には花江(※6)が、花江には寅子がいるからきっと大丈夫。親友で、兄嫁と妹で、家族。血がつながっていなくても、女同士でも、2人で立派に猪爪家を切り盛りしていくことだろう。そう考えると、いよいよ名字が一緒じゃないと家族じゃないとか、ちゃんちゃらおかしいと感じちゃいますね。

道男とまるで同じように、寅子を拒絶するよね。よねもまた傷つききった1人の孤児であったのだと思い知らされた。父に売られ、姉を失い、やっとできた心を許せる友・寅子は仕方ないとはいえ何の相談なしに去っていった。心底傷ついたからこそ、もう信じるのが怖いのだとそのおびえが見て取れる。なんという瞳の演技。そしてのれんからぴょっと顔をだす轟のかわいらしさよ。ああ、よねに轟がいて本当によかった。

来週の予告にはなんと梅子(※7)が登場。どうやら梅子と寅子はちゃんと再会を喜び合えているようでちょっと安心。母の死を認めたくなくてぼろぼろと涙をこぼす寅子にあきれ笑いを浮かべて頭をなでるはるとは対照的に、父の死を前に泣くんじゃありません! と孫を叱咤する恐ろしい姑(※8)も登場。あの優しい梅さんをして「存在自体が嫌」って言わすって、相当な人物に違いない。というか、親が死んだ時くらい泣かせてやれよ…。

よねにヒャンちゃん(※9)、そして梅子と明律大女子部時代の仲間たちがまた物語に戻ってきてくれて、とてもうれしい。道男を引き取ってくれた傍聴マニアの笹山さん(※10)含め、“とらつば”はどんな登場人物も使い捨てにしない。ひとりひとりがこの世界の中で懸命に生きているんだと実感しながら見ることができる。そして「その道が離れることもあればまた交わることもある」と。だから、私もきっとその先同じ世界で生きているのだ、と勇気が湧いてくる。来週ももちろん、目が離せない。

◆【朝ドラ「虎に翼」ひとり受け】宇垣美里の「今週のはて?」とは?

朝ドラ「虎に翼」にハマっているという、フリーアナウンサー・俳優の宇垣美里さんの連載。宇垣さんが、その1週間を振り返り、彼女ならではの視点で自由に感想などをつづる企画です。毎週日曜公開で、最終週まで続きます。どうぞお楽しみに!

※1 猪爪はる。演じるのは石田ゆり子。主人公の母。心労がたたって倒れてしまい、家族に看取られて亡くなった。

※2 佐田寅子。旧姓は猪爪。

※3 轟太一。演じるのは戸塚純貴。寅子の学友で花岡とは同郷の弁護士。戦地から無事に帰還した。

※3 山田よね。演じるのは土居志央梨。寅子たちの学友で常に男装している。まだ司法試験には合格していない。戦後、轟と再会し、共同で弁護士事務所を開設した。

※5 島田道男。演じるのは和田庵。上野で寅子と知り合い、一時期、猪爪家で保護された。

※6 猪爪花江。演じるのは森田望智。寅子の親友で、戦争で亡くなった寅子の兄、直道(上川周作)の妻。2人の息子を授かる。

※7 大庭梅子。演じるのは平岩紙。寅子の学友だったが、高等試験(現在の司法試験)を控えるなか、夫から離婚届を突きつけられていた。

※8 大庭常。演じるのは鷲尾真知子。梅子の姑で、弁護士一家としての大庭家の誇りを守ることを第一に考えている。

※9 崔香淑。演じるのはハ・ヨンス。朝鮮から日本に留学していたが、戦争が始まり帰国。その後、家庭裁判所設立準備室の室長補佐、汐見圭(平埜生成)と結婚し再来日。現在は「汐見香子」を名乗る。

※10 演じるのは田中要次。戦時中に店を閉めて田舎に戻っていたが、上京してすし屋を再開しようとしている。道男に住み込みで働くことを提案した。

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