NHK連続テレビ小説「おむすび」(総合など)第15週「これがうちの生きる道」(第71~75回)の第75回が17日、放送される。
平成元年生まれのヒロイン米田結(橋本環奈)が、栄養士として人の心と未来を結んでいく青春グラフィティー。どんなときも自分らしさを大切にする「ギャル魂」を抱き、激動の平成と令和をパワフルに突き進む姿を描く。主題歌「イルミネーション」をB’z、語りをリリー・フランキーが担当する。
「おむすび」第15週「これがうちの生きる道」振り返り(ネタバレ)
2010(平成22)年春、結と翔也(佐野勇斗)は大阪のアパートで新婚生活を始め、家事を分担しながら共働きし、公私ともに充実した日々を送っていた。ある日、体調を崩した結は病院で腎盂腎炎と診断され、同時に妊娠も判明。重症妊娠悪阻で脱水症状となっていたため、そのまま1週間ほど入院することになった。
病院の管理栄養士、西条小百合(藤原紀香)は、体内の電解質のバランスを取り戻すことを優先し、結に絶食を提案。半信半疑で指導に従うと、結の熱は下がり吐き気も軽減した。西条は、何気ない会話から、結が喜びそうな食材や調理法を工夫した病院食を提供しており、やれる範囲で最善を尽くし、患者の命を支えるのが管理栄養士の仕事と説明した。患者にストレスをかけずに寄り添う彼女の仕事ぶりに結は感動した。
平成23年、結は第一子となる女児を出産し「花」と名付けた。その年の3月11日、東日本大震災が発生。姉の歩(仲里依紗)は被災の映像を見て呼吸が荒くなり、靴職人の渡辺孝雄(緒形直人)は阪神大震災で亡くなったひとり娘の真紀(大島美優)のことを思い出した。米田家を含め、被災地から遠く離れた神戸の人々は、阪神大震災を経験した自分たちにできることはないか、それぞれに考え、行動に移していった。
1カ月後、産休中の結のもとに、栄養専門学校の同窓生、湯上佳純(平祐奈)が訪ねてきた。佳純は大きな被害が出た宮城県気仙沼市で支援活動を行うボランティアに参加。合同救護チームのメンバーには訓練を受けた医師や看護師が多く、避難所の食事の状況を確認しようとしても後回しにされ悔しい思いをしたが、目の前の命を救うことで精いっぱいで何も言えなかった。救援物資置き場では、薬や食料などが未整理のまま山積みにされており、せっかくの物資が本当に必要とする人の手に届けられない実情に愕然とした。
歩は、自身が提案したカスタムシューズでギャルから「ナベベ」と呼ばれ親しまれるようになった孝雄が納期を遅らせたいと古着店の相原三花(松井玲奈)に連絡したと聞いて心配し、店に駆けつけた。孝雄は東北に靴を送る準備を進めていた。阪神大震災では裸足でケガをした人も多かった。今回も被災地ではそうで、特に子供の靴が不足していた。そんな孝雄を歩は手伝おうとしたが、「ギャルやったら、ギャルにしかできんことせえ」と言われ、何ができるか思案した。
歩はギャル時代のアルバムを引っ張り出し、東京・渋谷で出会ったアキピー(渡辺直美)を思い出す。彼女は岩手県出身だったが無事で、今は盛岡でギャルサーを仕切っているという。彼女から必要なものを聞き、三花をはじめとしたギャル仲間と集めて東北へ送った。
佳純は当時の話を続けた。哺乳瓶を探し若い夫婦に渡したが、話を聞けば、被災者の食事はカップ麺など満足なものではなかった。気仙沼は新鮮な魚が獲れる場所で缶詰に抵抗感を示す人が多く、佳純はミーティングで炊き出しを提案。医師たちからは食中毒を心配する声があがったが、結に誘われて商店街の炊き出しを手伝った経験がある佳純は、その時作ったわかめおむすびと鯖缶のけんちん汁で炊き出しを敢行。被災者たちは、久しぶりに米を食べた、おいしいものを食べたら元気になったと笑顔を見せた。
佳純は、かつて結から聞いた、神戸の震災のときに避難所におむすびを配りに来た女性の話を思い出したという。結は冷たくなったおにぎりをチンして温めてほしいとわがままを言ってしまい、その女性もホカホカのおむすびを食べてもらいたかったはずなのに、ひどいことを言ってしまったとずっと後悔していた。佳純は、気仙沼の避難所の人たちに、神戸での自身の被災経験を明かし、もう二度と元に戻らないと思っていた神戸の街が、たくさんの人のおかげで復興したから、東北も必ずそうなると信じていると励ましの言葉をかけた。そして結に、あの時ほど、栄養士の仕事を選んでよかったと思った日はないと話し、みんなにおいしいものを食べてほしいという気持ちを教えてくれた結に、どうしてもお礼が言いたかったと伝えた。
「おむすび」第75回あらすじ
平成24年1月17日。結は神戸で両親や商店街の人たちと17年前の阪神大震災で犠牲になった人々を追悼して黙とうする。一方で、徐々に忘れられていっているとも感じており、子供たちの世代にも伝えていかなければとの思いを新たにする。
歩は真紀の墓前で、孝雄とともに静かに鎮魂の祈りを捧げる。