俳優、神木隆之介が主演を務める日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS系)が始まり、初回(10月20日)放送後から視聴者による考察が続々とSNSに寄せられ、盛り上がりを見せている。
石炭産業で躍進した長崎・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、家族の壮大な物語を描く「海に眠るダイヤモンド」。戦後復興期から高度経済成長期の「何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代」にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく。脚本は野木亜紀子さん、監督は塚原あゆ子さん、そしてプロデューサーは新井順子さんが担当しており、3人が手掛けた同局のドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と映画「ラストマイル」は高く評価されている。
神木は、端島の炭鉱員の家で生まれ育った明るくまっすぐな鉄平と、東京に生きる無気力なホスト、玲央の一人二役に挑んでいる。注目の初回では、神木演じるキャラクター2人の“対比”が描かれる一方、ベテラン女優、宮本信子が演じる謎の女性、いづみの存在感も際立った。第2話(11月3日)の放送前に視聴者の期待が高まるなか、同局の新井順子プロデューサーが取材に応じ、一人二役という難しい仕事と向き合う神木の様子や、今後の見どころなどについて語った。
第1話振り返り
2018年夏、東京。新宿でその日暮らしのホストをしている玲央は、出会ったばかりのいづみから突然プロポーズされた。玲央からホストクラブを案内され、いづみは彼のために大金を使う。「都合のいい」客に巡り会った玲央は、後日再び現れたいづみに誘われ、軽い気持ちで長崎を訪れた。フェリーに乗った2人が向かったのは端島。すでに廃虚と化した島を前にいづみは思いを馳せ、玲央の前で涙を押し殺した。
東京に戻った玲央は、常連客に“つけ払い”を踏み倒され、呼び込みで女性グループに声をかけるも無視される毎日が続いた。ある日、客を見送った後に酔いつぶれて路上に倒れた玲央のもとにいづみがやってきて、顔を見下ろしながら「玲央、人生変えたくないか? ここから変えたくないか?」と声をかけた。
現代と並行して描かれる1955年では、長崎大を卒業した鉄平が、炭鉱業で栄える生まれ故郷の端島で鷹羽鉱業の職員として働くために帰島した。同じ大学を卒業した幼なじみの賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も島に帰ってきていて、島にある銀座食堂の看板娘、朝子(杉咲花)は幼いころから鉄平に片思いしていたが、鉄平は全く気付いていなかった。そんな矢先、端島に謎の美女、リナ(池田エライザ)が降り立ち、鉄平は歌手だというリナに興味を抱く。その後リナは職員クラブで女給として働き始めるが、客としてやってきた取引相手の社長を怒らせてしまい、クビを宣告された。
島を去ることを決意したリナを鉄平は「悔しくないか?」と呼び止め、「人生変えたくないか? ここから変えたくないか?」と彼女の目をまっすぐ見ながら尋ねた。鉄平も学生だったころ、端島出身であることを長崎で蔑まれ、悔しい思いをしてきた。鉄平から背中を押されたリナは島民の前で「端島音頭」を熱唱。見事な美声に島民たちが大きな歓声を上げた。
「ホスト神木」の印象や、今後の注目ポイントは?
第1話では、神木が長いキャリアのなかで初めて演じるホスト役がSNSで「ビジュアル大爆発」「リアルすぎてまじすごい」などと話題になった。新井さんは神木の役をホストに設定した理由について「『見たことのない神木さんを作りたい』とホストになりました」と説明。そのうえで「(企画書を渡した後の神木が)すでにホストの動画をたくさん見てきてくれていて、(神木から)『こんなホストのイメージですか?』みたいな提案もありました。もうすごい詳しくて、私が知らない有名ホストのことも教えてくれたんです」と述べ、この仕事と真摯に向き合う神木の様子についても言及した。
新井さんによると、神木は実際にロケで使用している店のホストの方に「声をかける時、どうやってやるんですか?」と取材するなど、積極的に役作りに励んでいるという。その姿勢に新井さんは感心。「第1話で声をかけた女性に無視されて『ケチ』と言うときに『生っぽい』っというか、リアルだなって思いました」と振り返る。
性格が真逆の2人を演じる点について、神木は現場で苦労を重ねているというが、本番ではさすがの集中力を発揮。何度もうならされる場面があったと明かす。第1話で玲央が「ケチ」と発言したシーン。この日は夕方まで鉄平の撮影が続いており、夜だけ玲央のシーンが撮影された。その際、神木は「切り替えをするのがすごく難しい」ともらしていたというが、本番では完全に「玲央モード」にチェンジ。新井さんは当時の様子を「(無気力な玲央の)死んだような目とかしっかりとなじんでいて、見事にやっていました。一瞬で没入できるタイプで、スイッチの切り替えがすごいですね」と振り返りながら、その仕事ぶりを絶賛する。
異なる時代を生きる鉄平と玲央だが、新井さんは、神木の一人二役が今後どのように「つながっていくのか」が重要なポイントになると話す。「推測してください。めちゃめちゃ難しいんですけど、でも『そこか!』ってなると思います。第1話から “謎”が散りばめられていて、スタッフも『えー!』って(笑)」。すでに1話から「伏線」が張られていることを明かし、神木が一人二役である意味が最後にわかると強調した。
今後の見どころについては「過去で描かれた内容がどう現代に結びついてくるのか、そこを見ていく物語だと思います」とコメント。そのうえで「それぞれが主役みたいな登場人物がいて、彼らの人生を玲央が知ることによって気持ちが変わっていきます。過去からのメッセージを玲央がどう受け取って行動していくのか、そこを見て欲しいと思います」と話す。第2話のポイントは「台風が来ます!」。そして登場人物たちのラブストーリーも動き出すとし、野木さん、塚原さんと一緒に初めて手掛ける日曜劇場に「また違う世界が広がったと思ってもらえればと思います!」と呼びかけた。
■番組概要
[タイトル]日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
[放送日時]毎週日曜よる9:00~9:54
(第2話は15分拡大、~10:09)