フリーアナウンサーの森香澄が、現在放送中の連続ドラマ「3年C組は不倫してます。」(日本テレビ系、火曜深夜0・24)に出演し、堂々とした芝居を見せている。
「18歳成人」の実施に伴い、親の同意なく結婚できるようになった高校3年生のクラスを舞台に、初恋、妊娠、結婚、そして不倫を描く前代未聞の学園不倫サスペンス「3年C組は不倫してます。」。3年C組の生徒だけでなく、親や教師も不倫中で、そんななか、さまざまな交錯する思いが、ある事件へとつながっていく。
森が演じるのは、青応大学附属高等学校の養護教諭、中野怜。同じ高校の3年C組の担任で夫の正義(細田善彦)はクラスの生徒、佐々木真鈴(田中美久)と不倫中だ。そんな“サレ妻”を体当たりで「熱演」している森を直撃し、撮影現場でのエピソードや来年に挑戦したいことなどを聞いた。
――最初に、本作のオファーを受けた時の感想からお伺いしたいです
「保健室の先生役でオファーをいただきました。学園ドラマですけど、不倫をテーマにした物語と聞いて、どういう立ち回りをするのか、どんな不倫にどう関わっていく役なんだろうと思いながら、本読みを進めていたら、だいぶバチバチしていて面白そうだなと思いました。私としては、悩む要素は特になくて、すぐ『よろしくお願いします』という感じでした」
――正式に出演が決定してから、具体的なお話はありましたか?
「衣装合わせのとき、企画の藤野(良太)さんから、『受けてくれると思わなかった』と言われました。パッと思いついて、私に怜役をオファーしてくださったみたいですが、すぐオッケーしたのでびっくりしたみたいです。衣装合わせの時には、まだ第3話ぐらいまでしか台本があがっていなくて、『この後、衝撃的なシーンがあります』とおっしゃっていたのですが、ぜひ物語終盤のそのシーンに注目していただきたいです。」
――その、衝撃的なシーンを含めてネタバレにならない範囲で今後の見どころを教えてください。
「第8話以降、怜と真鈴(田中)が、バッチバチになっていくと思います(笑)。現段階で、怜はまだ不倫に気づいていなくて、純粋に生徒のことを考えているし、旦那さんのことも大切に思っています。私自身はこの先に起こることを知っていますけど、怜としては知らないので、すべて知るまでは純粋な気持ちで演じることを意識しました。第10~11話に、教室内で事件が起きるので、そこで怜がどう対応するのか注目してください。そこが、怜の中では一番の見どころかな」
――印象的なセリフや、撮影時のエピソードは?
「TVerのスピンオフ『3年C組の担任と不倫してます。』で、真鈴に保健室でマウントを取るシーンは大分楽しかったですね(笑)。本編でも若干描かれてはいますが、TVerではより顕著にマウントを取っていて…。でも、怜はマウントを取っているつもりはないから、純粋に旦那さんとのうれしかったエピソードを真鈴に話しているだけなのですが、さすがに不倫相手からしたら悪気がない方がムカつくみたい。まさか真鈴と旦那さんが不倫していると知らない怜は、真鈴から、『旦那さんが不倫すると思わないんですか』と聞かれても、怜は純粋に『そんなことできる人に見える? できるわけないじゃん』と。本当に信じている感じが、真鈴はムカつくんでしょうね。そんな2人のバチバチがリアルに描かれていて、心の声も入っているところは面白いポイントだなと思います。実際、この状況がフィクションじゃなくて、本当にあったとしたらこんな気持ちなのかもしれません」
――そういうシリアスなシーンの撮影前後は、田中さんとはどういう関係性なのでしょう?
「美久ちゃんとは、『楽しいね』と、キャッキャキャッキャしていました。年齢差はあるのですが、本当の先生と生徒みたいな感じですごく慕ってくれて、シーンの相談をする時もあります。こうした方が、もっとバチバチしたように見えるかなとか、実際の現場はすごく楽しいです。心の中では2人ともバチバチするのをめっちゃ楽しんでいました。なかなかこんなにバチバチすることもないし、嫌悪感をこんなに顔に出すこともないので、『すごく楽しいね!』と言いながら撮影は進んでいました(笑)」
――撮影現場はすごく楽しそうですね。女優として演技のスイッチはどの辺りで入るんですか
「結構ギリギリまで喋っていますね。監督にもギリギリまで演技指導をしていただいて、『よーい、スタート』の声でスイッチが入る感じです」
――アナウンサーからフリーになられて、女優さんとしてもマルチに活躍されています
「アナウンサーになるのが夢で、テレビ東京にアナウンサーとして入社しましたが、やっていく中でいろいろなことに挑戦してみたいなと思いはじめて…。会社をやめてからは、アナウンサーの仕事を基盤として続けながら、お芝居をしたり、バラエティーにも出たりしたいなと思っていました」
――お芝居の勉強はその時からですか?
「もともとドラマを見るのがすごく好きで、アナウンサーになる前から全局のドラマをすべて見ていました。でも、以前ドラマを見ていた時と、自分がお芝居をするようになってからでは、ドラマの見方が変わって、撮影の仕方や演技の面で、勉強する意味での視点が入ったかもしれません。お芝居の勉強は特にしていなくて、毎回現場で勉強させていただいています。監督に聞いたり、共演者の皆さんと相談したり、現場で学びながらやらせてもらえて、すごくありがたいなと思います」
――夫役の細田さんの印象について
「細田さんは面白い方で、すごく気さくに話しかけてくださってありがたいです。やっぱり、細田さんとのシーンが一番多かったので、空き時間もたくさん話をしました。おいしいご飯の話とか、よく食べている物とか、最近行ったご飯屋さんの話もしてくださって。仲の良い夫婦としてのシーンもありますし、夫婦関係がギクシャクするシーンもあるので、どんな距離感で接するのがベストなのか難しかったです」
――夫婦でイチャイチャする保健室でのシーンもありましたね
「あれは自由演技でした。でも、細田さんから『真鈴を拒否した分、怜は拒否しない方がいいんじゃないかな』と提案してくださり、現場で流れが変更になったのです。台本よりもイチャイチャを誇張するというか、真鈴に夫婦の仲の良さを見せて嫉妬させるシーンなので、確かにそっちの方が真鈴も怜も感情が乗りやすいからそうしましょうって。プロデューサーさんにも、『ここであざとスイッチを入れてください』と言われたので、真鈴がいるときは保健室の先生だけど、旦那さんと2人になった瞬間に怜になるというスイッチをカチッと入れました」
――ドラマをご覧になる時、旦那さんと真鈴が不倫しているシーンをどういう気持ちで見てらっしゃいますか
「さすがに、怜として見ていることはないのでやきもきすることはないですけど、普通にいち視聴者として俯瞰(ふかん)して見ています。でも、台本を読んでいますし、ストーリーも把握しているのですが、旦那さんと真鈴の関係に『あれっ、こんなに?』と、もやっとしたシーンもありました。やっぱり、自分で演じた分、どちらかというと、オンエアでは怜に感情移入してしまいますよね」(つづく)