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賀来賢人×柄本時生×落合モトキ ロングインタビュー《前編》 「賀来の『忍びの家』プロデュースに勇気をもらった」 「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」テレ東7・12スタート

iza(イザ!) 2024年7月11日 12時0分

俳優の柄本時生と今井隆文が初プロデュースするテレビ東京の連続ドラマ「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(毎週金曜深夜0時12分)。12日の初回放送を前に、柄本と賀来賢人、落合モトキのメインキャスト3人が取材に応じ、作品にかける思いや撮影現場での雰囲気などを語った。

過去の「汚れ」を掃除する掃除屋の3人と、過去の「過ち」を暴くルポライターが、東京・錦糸町を舞台にさまざまな人との出会い、出来事を通じ、自らの過去と向き合っていく姿を描くドラマ。今井が初のオリジナル脚本を手がけ、柄本とともにプロデューサーを兼任し出演もする。メガホンをとるのは、映画「余命1ヶ月の花嫁」「月の満ち欠け」「母性」などの廣木隆一監督。「MOROHA」が主題歌「燦美歌」を担当する。

賀来が掃除屋「整理整頓」の社長、木ノ本大助(大助)を演じるほか、柄本が「整理整頓」の社員で大助の幼なじみ、今井裕樹役、落合が「整理整頓」の社員で大助と裕ちゃんの後輩、奥田一平役、岡田将生が錦糸町で暗躍するルポライター、坂田蒼役をそれぞれ務める。4人はプライベートでも親交があり、コロナ禍の2020年に「劇団年一」を結成。同年5月上旬に第1回作品「肌の記録」を配信して反響を呼んだ。

作品が自分の子供のようになる

――俳優がプロデュースを手がけることの意味、やりがいは?

柄本(以下、柄)「やりがいはすごくあって。やったことがないことなんで。俳優として出演してセリフを言う仕事をずっとしてきたなかで、初めて制作という内側を見ると、たとえば衣小合わせ(各キャラクターに衣装と小道具をマッチングする打ち合わせ)1つとっても、役者の立場であれば自分の衣装や小道具を身に着け終わったらもう帰るんですが、(プロデューサーとして)出演者一人ひとりの衣装や小道具を見ると、『こんな衣装になるんだ。俳優とスタッフが会うことで衣装・小道具ができあがるんだ』というクリエイティブの部分を、初めてちゃんと知ることができて、そこにすごく感動とやりがいを感じています」

――作品に対する思い入れも、今までとは違うものがある?

柄「なんとなく根っこの部分だけはとにかくずれないようにということと、僕一人のものではないということを念頭にはおいて。監督や脚本家の意志が絶対に起きるので、ここだけは逃したくないという部分は、とにかく譲らずにやらせていただきました」

――俳優としてかかわるだけの作品とは視点が違う?

柄「もっと大きい部分というか、世界観を壊さないようにするために必死で考えたという感じですかね」

――賀来さん、ネット配信ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」でのご自身のプロデュース経験を踏まえたうえで、この作品に参加しての感想を

賀来(以下、賀)「これは時生くんも感じていると思うんですが、『柄本時生プロデュース』と作品の一番最初に自分の名前が出てたら、もうそれは柄本時生の感性なんですよ。だからめちゃめちゃ恥ずかしい(笑)、言い逃れできない。自分の感性、やりたいことを作品にぶち込んだ責任を負う分、そこを貫き通さなきゃいけないし、それが世間様に伝わった時には、感動も、俳優として参加する作品とはまた違った感覚になりますね。さっき時生が言ったみたいに全体を見るというか、本当にもう(作品が)子供のようになるだろうし…」

柄「(しみじみと)なる! 本当にね、大切!」

プロデューサーは俳優の立ち位置の延長線上に

賀「なるでしょ? 俳優ってすごく受け身なので、ちょっと脳みそは変えなきゃいけないんですが、表現って意味では別に変わらない。俳優って、現場で『こうしたい、ああしたい。ああするにはどうしたらいいだろう』と話し合うんですよ。だから俳優の立ち位置の延長線上にプロデューサーがあると思います」

――現場での柄本さんの印象は?

賀「めちゃめちゃ楽しそうにやってましたよ。僕とそのある女性キャストの割と真剣なシーンの時も、見えないところでずっと“盗聴”してたり、すごく邪魔だったんですけど(笑)。『1秒でもいいから現場にいたい!』みたいな感じで、すごく楽しそうですね」

――落合さんいかがですか?

落合(以下、落)「そうですね、僕が初めてプロデュースしたのは…」

賀・柄「してないだろ!」(会場爆笑)

落「初めて時生ちゃんがプロデュースする作品ということで連絡をいただいて、内容を聞いてすごくいいと思ったので、『僕の事務所に聞いてみて』というところから始まりました。その後、衣装合わせ、読み合わせと進んで、クランクインがこの3人で一緒のシーンだったんですよ。撮影前のメイクをしている時に賀来くんが時生に、『ここまで準備しても撮影が中止になる現場もあるから、本当おめでとう!』みたいなことを言ってて、『よかったな時生』って思ったりして」

賀「撮影するまでが大変って言うからね」

柄「いや、マジそう」

賀「まだわかんないけどね」

柄「え! うそでしょ…」(会場笑)

賀「まだわかんないよ、放送されるまで」

柄「降りる可能性あんの? 2人…」

賀「わかんない…」

落「うーん…」(会場笑)

賀「マー君(岡田将生)いないし」

柄「ホントだ。マー君(岡田将生)いないんだよな、忙しいからな…降りんのかな?」

落「やめろ(笑)」

――落合さんもプロデュースにチャレンジしてみたいという意欲が湧いてきますか?

落「見てて楽しそうだな、うらやましいなとは思いますが、大変そうだなってところもあったりして。一緒に作りたいというパートナーがいれば面白いと思うんですが、自分だけだとそんなに欲がない人なので、人の“船”に乗るほうのタイプかなと思います」

きっかけは「劇団年一」

――柄本さん、俳優とプロデューサーの二刀流に挑戦するハードルが下がった、手を上げやすくなったというような環境の変化は感じますか?

柄「すごく感じますね。僕らより一個上だと、(山田)孝之さんとかが始めてくださっていたり、賀来さんが(『忍びの家』でプロデューサーを)やったことが、僕にとっては本当にデカかったです、やっぱり。身近な人間でここまでやりきった人が1人いるというだけで、やってみよう、やっていいんだという勇気を与えてもらいました。俳優の業界内でもそういうことを認めていただける環境になったのは、すごくいいことだなと感じていて、もっとクリエイティブなものがどんどん作られていくんじゃないかと思っていて、自分の作品ももちろんですが、これから出てくるものも楽しみにしています」

――一足先にプロデューサーに挑んだ賀来さんから、アドバイスなどは?

賀「(照れながら)ないです、ないです。ただ時生からたまに電話がかかってきて、『かっちゃん…大変だね! よくやったね!」という、謎の電話は来ましたけど(柄本爆笑)、別に僕は何も言ってないですし、本当にここまでね、ちゃんといい座組で、すばらしいキャストで今こうやって現場で撮影してるのはすごいことだと思います」

――柄本さん、特に大変なところは?

柄「全部です。キャスティング、本打ち(合わせ)、音楽打ち合わせとか初めてだし、知らない単語ばっかりなんで。衣装合わせの前に『衣装イメージ打ち合わせ』というのがあるとか。現場行っても頭が真っ白で、一言もしゃべらない時間があったりもしましたし、それ1つとっても大変でしたが、必要なことだとは思ったし、知ったおかげでいろんなことに興味を持てたのがよかったです」

――次の作品、今後もプロデューサーをやりたいかなど将来の展望を

柄「いくつかはやりたいと思ってるものがありますので、いつか実現できたらと思っております」

――プロデュースを手がけるきっかけはやはり劇団年一ですか、それともそれ以前に何かありましたか?

柄「劇団年一でリモート芝居をやってからですかね。せっかくこういうものを作ったんだったら、これを何かにできないかなということをよく考えていたので」

普段のままの関係性が画面に出ている

――岡田さんも含めてこの顔ぶれでやるからこその意味、強みとは?

柄「強みというのは正直まだわからないのが本音です。僕はこの3人それぞれに対して1人の俳優としてとんでもないリスペクトを持って、親友だと思っていて。夢のように『こういうことがあったらいいな。やろうぜ』って語っていたことを実現できるところまで来たっていうのが、とにかく僕にとってはうれしいことで。そのなかで、現場に入って思ったのは、『脚本これだとどうなの?』っていう会話を何回かしたんですよ。その時に自分たちが大人になったんだという実感があって、肌感覚なんですけど、『これがやりたかった』と思えたのが一番印象深かったです。廣木監督が撮ってくださった映像で、そういう部分が見えれば、それが強みになってくれるのかなと思います」

――ほかの俳優さんと比べて、やりやすさはありますか?

柄「あるような気はしつつ、俺めっちゃ緊張してます。この人(賀来)が(全然緊張していなくて)すごいんですよ!」

賀「違うんですよ、時生ともっくん(落合)は20年前のドラマ『4TEEN(フォーティーン)』(2004年)で廣木監督と仕事をしていて、14歳から廣木さんを知ってる。マー君も廣木さんの作品に出たことがある一方で、僕だけ廣木さん初めてなんですよ」

柄「すごく自然と現場にいて自然とセリフを言うんですよ。もうね、感動しちゃって」

賀「さっきの質問にあった、このメンバーである意味は何かと考えたら、やっぱり僕たちの関係性を特にこの3人を出さないともったいないし、撮影初日に廣木さんが『自由にやってみて』って言ってくれたので、本当に自由にやってみたんです。そしたら本当に楽しかった。普段のまんまの関係性で、芝居なのか何なのかちょっとわかんないんですが、それが画面に、世の中に出る。もう19歳ぐらいから知ってる皆とのただの会話をお芝居に昇華して放送できるぜいたく! 廣木さんはそれでOKを出してくれたし、作り込んでもできるものではないそういう関係性が画面に出るドラマってあまりないと思うので、そこが面白いと思います」

落「10代のころから知っていて、20代前半はプライベートでもほぼ毎週というくらい会っていた4人なので、各々一緒に仕事したこともありましたが、一緒に4人で芝居したいねなんて話をしてたので、今回4人そろって映像で切り取ってもらえる夢が叶ったのなかと思いながら、毎日現場に来ています」

俺たちは4兄弟? 岡田将生は四男

――ご自身にとって、他の2人はどういう存在ですか?

賀「モトキくんがいると、僕もスイッチが入るんですよ。昔を思い出させてくれるというか。いろんなところで言ってることなんですが、多分芸能界で一番面白いんですよ、彼が。絶対に一番だと思ってて。普段すごく静かですが、やっぱり僕とかといる時はシラフでもそのテンションまで持っていってくれる。時生は本当に優しいので、利用されたら嫌だな、詐欺とか遭わなきゃいいな(笑)と思いながら…守ってあげたい存在ですね」

落「賀来くんは昔から知ってる仲ですが、ただただ路上でベンチに座って待ってる間に久々に普通に会話するという時間があって、20代前半のころよりも会う機会が減っているなかで、今しかできないこの何げない時間で埋め合わせて、お互いの経験してきたことを話しています。時生ちゃんも昔から知ってるし、彼の家に2週間ぐらい住んでたこともあるので、プロデューサーという肩書でも変わらない面影があるような感じで、時々悩みを抱えてるように見えると、『どした? 大丈夫?』みたいな感じでケアにも回ったりして。俺にとっても、守ってあげたい人かもしれないですね」

柄本「俺、4兄弟で考えてた。長男、次男、三男、マーくん四男っていう感じです」

(後編へつづく)

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