Infoseek 楽天

朝ドラ「おむすび」主演・橋本環奈インタビュー〈前編〉「仲里依紗さんとのきょうだいげんかのシーンにグッときた」NHK総合ほかで9・30スタート

iza(イザ!) 2024年9月28日 7時0分

9月30日にスタートするNHK連続テレビ小説「おむすび」(総合・月~土・午前8時、BS/BSプレミアム4K・月~金・午前7時半)に主演する女優、橋本環奈が取材に応じ、作品や演じる役柄についての思い、朝ドラならではの苦労などについて語った。

朝ドラ第111作となる今作は、福岡・神戸・大阪を舞台に、幼少期に阪神・淡路大震災を経験した平成元年生まれの主人公、米田結(橋本)が、栄養士として人の心と未来を結んでいく青春グラフィティー。どんなときも自分らしさを大切にする「ギャル魂」を抱き、激動の平成と令和をパワフルに突き進む姿を描く。

――脚本を読んで物語全体への感想を

「最初に読んだ時に、テンポ感が良く、面白いと感じました。読んでいて早く演じたいという気分になって、特に私が大好きなのは米田家の家族のシーン。みんなキャラが濃いですが、なかでもおじいちゃんの永吉役を演じる松平健さんがいいんですよ。こんなおじいちゃんいたら最高だなっていう。大ぼらを吹いて、いつもニコニコしていて、2人の孫娘への接し方が『いつもで戻ってくりゃいいけん』とすごく温かい。そんな楽観的で気前のいいおじいちゃんに対して、北村有起哉さんが真逆の生真面目なお父さんを演じていて、その対比がまた面白いんです。根本ノンジさんが描く個性的で愛くるしいキャラクターたちが素敵で、結というキャラクターを形作っていく糸島編の物語がすごく好きです。高校の書道部やギャルの子たちとの交流という家の外でのエピソードと並行して、家族愛、仲里依紗さん演じるお姉ちゃん、歩に対する思いなどが丁寧に描かれていて、どの場面でも役の気持ちがすっと入ってきて、演じるうえで迷うことがないです」

子供の目で見て感じた震災を丁寧に演じたい

――1999年生まれのご自身が生まれる前に流行したギャルムーブメントと阪神・淡路大震災について、今作のオファーを受ける前と、撮影に入った後で印象がどのように変わりましたか?

「震災については生まれる前の出来事ということもあって、当時の状況をまったく知りませんでしたので、監督や現地に行って取材をしたスタッフの方とかなり長い時間をかけお話しして、ロケ地や被災した当時の写真などを見せていただいたり、結と同じ当時6歳だった方の話をうかがうなどして学んでいきました。ただ、6歳の子供がどこまで覚えているかというは難しいところで、何かが焦げる匂いや、周りの皆が悲しそうにしていたというようなことがうっすら記憶に残っている一方で、幼い子供らしく、避難所で近所の友達と集まって共同生活をしたことが新鮮で、最初は楽しいと思ってしまったといった体験談も聞いて、子供の目線でのリアルな受け止め方も丁寧に演じなければと思いました。実際に震災を経験した方のフラッシュバックになってはいけませんが、嘘を描きたくないという思いとの間で葛藤もあります。被災した方に寄り添いつつも、憐れむのではなく一緒に前を向いて生きていくという作品ですので、一つひとつのセリフが重くのしかかるような感じがしています。

ギャルに関しては、私の親よりも少し下の年齢層の皆さんがブームだった世代で、身近にはいなかったということもあって自分のなかにまったく情報がなかったので、資料で学びました。最初はやはり、髪が明るい、顔が黒い、ネイルがすごいという見た目の印象が強かったんですが、演じていて日々感じるのは、ギャルって心意気なんだということ。好きなことを貫く、周りの目を気にしないなどの“掟”があるんですが、その魂が素敵で、仲間を大事にして絶対に裏切らず、劇中、同窓会で集まっても昔と変わらない同じ話で笑い合えるのが演じていて青春そのものだなと思いました」

私もマインドはギャル?

――ギャル文化になじみがなかったとのことですが、今作で触れてみて興味を引かれた部分はありましたか?

「今と全然違いますからね、逆に1周回って新鮮に感じます。劇中で身に着けるファッションも『こんなローライズ履いてたんだ! 超腰履きじゃん!』みたいなデニムや、『短すぎるだろ!』ってぐらいのスカートを履いたり、なかなか自分じゃ選ばないファッションが楽しいです」

――Y2Kファッションとしていま注目が集まっていますが、かわいさなどに共感するところはありますか?

「かわいいんですよね、色合いが鮮やかでピンクに緑を合わせたり、アクセサリーもおもちゃ屋さんに売っているようなブレスレットを何重にもして両手にシャラシャラつけていたり」

――ファッションからマインドもギャルになる感じでしょうか?

「きっとそうですね。洋服が変わると気持ちも変わりますよね。ネイルをつけたりすると女性はテンションも上がるし」

――ご自身の中にギャル魂があるとしたらどんな部分ですか?

「仲間を大事にするところでしょうか。私自身も友達が本当に大切で、一番の味方でいたいと思っています。私は高校の時にすでにお仕事をしていましたので、夏休みなどを使って撮影をしつつも授業に出席できない日があったんですが、周りの友達が授業のノートを貸してくれたり、久々に行ったらお弁当を作ってくれていたり、賞を受賞した時や誕生日に黒板に寄せ書きを書いてくれたりして、優しく支えてくれる人に恵まれていました。だから、自分もそんな友達を大事にしたいなと。自分が心を開いて大切にしていると相手からも返ってくる気がするので、そういう面では私もマインドはもしかしたらギャルだったのかもしれませんね」

リアリティーを追求した博多弁で演じやすい

――故郷の福岡が舞台になっていることへの思いを聞かせてください

「福岡は私が高校卒業までずっと住んでいた大好きな街なので、天神とか、それこそ学生の時に友人と遊んでいた場所がロケ地になっていてすごい懐かしく感じるとともに、博多弁でのお芝居はやはりとてもやりやすいです。最初は、方言になじみのない皆さんにも伝わりやすいように共通語を混ぜようか、という話もあったんですが、私としてはリアリティーを追求しているのでとても演じやすいです。福岡の皆さんはとても温かくて、今回の舞台である糸島の皆さんが盛り上げてくださるんです。フェスのシーンではエキストラとして来てくださったんですが、皆さんお芝居が上手で。学生の子たちも朝からずっとロケに付き合って、一緒に盛り上がってくれて本当にありがたかったです」

20代の次に高校生!時系列順でない撮影が大変

――座長という立場で何か気をつけていることは?

「特別に気負わない、というところでしょうか。いつも楽しく、というのが一番だと思っています。もちろん時間がなくてスタッフの皆さんはピリピリすることもあるかとは思いますが、そんな時はとにかく明るく盛り上げようとは考えます。気をつけているというよりも自分がそうしたくてしているだけなので、特に無理して頑張ったり努力していると思うことは一切ないです。でも、それ以前にスタッフの皆さんが本当に温かい。NHKで、しかも大阪でこうして長期間にわたってドラマをやらせていただくのは今回が初めてですが、大勢いらっしゃるスタッフの皆さんの、このほっこりした雰囲気を最後まで保てたらいいなと思っています」

――主演ということで覚えなければならないセリフが膨大にあると思いますが、それを覚えるための取り組み、向き合い方についてお聞かせください

「朝ドラをやる方は誰しも感じることだと思いますが、保有してる台本の数が多くて! 映画だと1冊ですし、民放の連続ドラマでも多くても1話から3話、5話まで持っているというぐらいですが、朝ドラは何十冊も…。覚えるのは苦手なほうではないので、セリフ自体は全然覚えられるんですが、大変なのは、時系列順の撮影ではない場合があるところですね。たとえば、第13週で20代を撮った後が第6週の撮影で高校生に戻らなきゃいけなかったりする。セリフは成長とともにキャラクター性を変えていきたいんです。お姉ちゃんとの距離感を見ても、最初はお姉ちゃんもギャルも嫌いというところから始まって、徐々に一番の理解者という関係性まで持っていくところを、毎日15分放送されるからこそ、1話1話丁寧に演じなければということを一番考えて演じ分けています。覚え方としては今までと変わらず、写真のように覚える感じです。

でも、里依紗さんとの2人のきょうだいげんかのシーンは、お互いにぶつかっていく感じとか、実際の里依紗さんのお芝居で全然変わるし、グッときたところがたくさんあって、ご一緒できてすごくうれしかったですし、一番注目してほしいシーンです。テストは軽くセリフを合わせて流れを確認するだけで、本気を出してガンガンやり合うところは、1回の本番の時にピークみたいなものが出せたんじゃないかなと思います」(後編に続く)

ヘアメイク:美舟(SIGNO)

スタイリスト:NIMU(makiura office)

この記事の関連ニュース