早朝5時、愛犬がベッドに飛び乗ってきて目を覚ましたアメリカ在住の夫婦は、執拗に部屋から出るよう愛犬に促された。眠たい目をこすりながら後についていくと、脳卒中を起こした17歳の息子を発見した。息子の部屋のドアは閉まっていたが、愛犬は外からでも息子の異変に気がつき、助けを求めて両親に知らせたのだ。迅速な対応の甲斐あって素早い治療を受けることができ、息子は劇的な回復を見せている。米ニュースメディア『TODAY』などが伝えた。
米テキサス州スプリングに住むアマンダ・タナーさん(Amanda Tanner、44)は8月26日午前5時、夫のデインス・タナーさん(Daines Tanner)と共に寝ていたところ、ベッドに飛び乗ってきた愛犬のボーダー・コリー“アクセル(Axel、1)”に起こされた。
「朝の5時だなんてタイミングが悪いけど、アクセルは外へトイレに行きたかったのだと思っていました」とアマンダさんは当時を振り返る。アクセルはお手をするように、前脚でアマンダさんに何度も触れ、何かをお願いするような行動を取っていたという。
アクセルの様子を見たデインスさんは、眠たい目をこすりながらベッドから出て、階段を下りて外へのドアを開けてあげた。しかしアクセルは外に出ようとせず、なぜか息子のガブリエル・シルヴァさん(Gabriel Silva、17)の寝室のドアの前に座り込んで動こうとしなかった。
アクセルの行動を不思議に思ったデインスさんが、ガブリエルさんの部屋の中を確認するためにドアを開けると、ろれつが回らず、右半身が動かせない状態のガブリエルさんの姿があった。デインスさんたちはすぐに近くの救急外来へガブリエルさんを連れて行くと、専門家のいる同州の病院「Memorial Hermann Hospital」へ運ばれた。血管造影検査で確認すると、脳の左側で虚血性脳卒中を起こしたため、右半身に症状が出ていることが分かった。
担当医のサビ・エフェンディ医師(Sabih Effendi)は、「脳の一部の血管が塞がっていました。動脈解離が起きており、血管が狭くなって脳へ血液が送られなくなったのです」とガブリエルさんの症状を説明した。
ガブリエルさんは高校生活最後の年を送っており、サッカーで学校の代表を務めるなど活発に過ごしていた。大きな健康問題は抱えておらず、その日は卒業写真の撮影を行うなど、いつも通りに過ごしていた。その日の夜には軽い頭痛があったそうだが、すぐに良くなったためテレビゲームをしてから就寝したという。それからガブリエルさんは一度起きて部屋を出て、再び部屋に戻ってくる時に転倒してしまった。
デインスさんに見つけてもらった当時のことを、ガブリエルさんは「痛みはありませんでした。しかし右腕を持ち上げたり右手を握ったりすることができず、視界がぼやけていました」と振り返る。
ガブリエルさんの症状を見たサビ医師は、「もし回復したとしても、24時間体制のケアが必要になるかもしれない」と考えていた。しかしガブリエルさんは治療を受け、理学療法や作業療法、言語聴覚療法などのリハビリを懸命にこなした。そして脳卒中を起こしてから約2か月が経過した現在、普通に話せる状態にまで回復している。
ガブリエルさんがここまで回復できたのは、アクセルがガブリエルさんの異変に気がつき、すぐにアマンダさんたちに知らせたことが大きいと、サビ医師は話す。「虚血性脳卒中では、1分経過するごとに何百万もの神経細胞が失われ、言語や動作に大きな影響をもたらし、死に至ることもあるのです。もしアクセルが両親を起こさず、さらに3~4時間が経過していたら、生活に支障をきたすほどの状態になっていたかもしれません」と、アクセルの行動を称賛した。
アマンダさんは、「ガブリエルは17歳ですし、当時は土曜で休みだったので、部屋に入って起こしに行くことはまずなかったと思います。私たちも前の晩は遅く寝たので、正午になるくらいまではガブリエルの部屋に入るつもりはなかったのです」と話しており、素晴らしい活躍を見せたアクセルに、小さなメダルを作って首輪に付けることを考えているそうだ。
ガブリエルさんは「アクセルは勘が鋭く、落ち込んでいたりストレスを抱えていたりすると、すぐにそれを察知してどうにかしようとベストを尽くしてくれます。あの日の朝も、何かがおかしいと感じ取り、助けが必要だと思ったのでしょう」と、アクセルの行動を振り返った。続けて、「今回の件で、“悲しくなるようなことでくよくよ悩まない”と考えるようになりました」と新しい人生観を得たとコメントしている。
テックインサイト編集部ではアマンダさんに、アクセルとガブリエルさんのこれまでの交流についてや、アクセルが鋭い勘を持つようになったのは何が原因と考えているかなどをうかがうべく取材を申し入れている。
ちなみに2018年には、愛犬が数週間も飼い主の右胸に鼻を押し当て続け、乳がんの事実を伝えたケースが注目を集めていた。
画像は『New York Post 2023年10月25日付「Dog saves teen from deadly stroke: ‘He can tell when something is wrong’」(Facebook/Amanda Tanner)』『ABC News 2023年10月25日付「Family dog alerts parents as 17-year-old suffers stroke in the middle of the night」(Family of Gabriel Silva)』『Nottinghamshire Live 2023年8月11日付「Dog told owner she was sick hours before symptoms using buttons」(Image: Christina Lee/SWNS)』『The Dodo 2023年7月19日付X「This is the most empathetic and loyal dog ever」』『The Mirror 2022年3月1日付「Woman credits chihuahua for saving her life after the dog jumped on her stomach」(Image: Craig Connor/ChronicleLive)』『The Courier 2021年5月21日付「Fantastic Fergus: The clever Angus canine who is woman’s best friend after raising alarm over injured 91-year-old neighbour」』『Anna Neary 2022年1月3日付Facebook「So long story short this beaut saves my life my harvey in 2018」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)
米テキサス州スプリングに住むアマンダ・タナーさん(Amanda Tanner、44)は8月26日午前5時、夫のデインス・タナーさん(Daines Tanner)と共に寝ていたところ、ベッドに飛び乗ってきた愛犬のボーダー・コリー“アクセル(Axel、1)”に起こされた。
「朝の5時だなんてタイミングが悪いけど、アクセルは外へトイレに行きたかったのだと思っていました」とアマンダさんは当時を振り返る。アクセルはお手をするように、前脚でアマンダさんに何度も触れ、何かをお願いするような行動を取っていたという。
アクセルの様子を見たデインスさんは、眠たい目をこすりながらベッドから出て、階段を下りて外へのドアを開けてあげた。しかしアクセルは外に出ようとせず、なぜか息子のガブリエル・シルヴァさん(Gabriel Silva、17)の寝室のドアの前に座り込んで動こうとしなかった。
アクセルの行動を不思議に思ったデインスさんが、ガブリエルさんの部屋の中を確認するためにドアを開けると、ろれつが回らず、右半身が動かせない状態のガブリエルさんの姿があった。デインスさんたちはすぐに近くの救急外来へガブリエルさんを連れて行くと、専門家のいる同州の病院「Memorial Hermann Hospital」へ運ばれた。血管造影検査で確認すると、脳の左側で虚血性脳卒中を起こしたため、右半身に症状が出ていることが分かった。
担当医のサビ・エフェンディ医師(Sabih Effendi)は、「脳の一部の血管が塞がっていました。動脈解離が起きており、血管が狭くなって脳へ血液が送られなくなったのです」とガブリエルさんの症状を説明した。
ガブリエルさんは高校生活最後の年を送っており、サッカーで学校の代表を務めるなど活発に過ごしていた。大きな健康問題は抱えておらず、その日は卒業写真の撮影を行うなど、いつも通りに過ごしていた。その日の夜には軽い頭痛があったそうだが、すぐに良くなったためテレビゲームをしてから就寝したという。それからガブリエルさんは一度起きて部屋を出て、再び部屋に戻ってくる時に転倒してしまった。
デインスさんに見つけてもらった当時のことを、ガブリエルさんは「痛みはありませんでした。しかし右腕を持ち上げたり右手を握ったりすることができず、視界がぼやけていました」と振り返る。
ガブリエルさんの症状を見たサビ医師は、「もし回復したとしても、24時間体制のケアが必要になるかもしれない」と考えていた。しかしガブリエルさんは治療を受け、理学療法や作業療法、言語聴覚療法などのリハビリを懸命にこなした。そして脳卒中を起こしてから約2か月が経過した現在、普通に話せる状態にまで回復している。
ガブリエルさんがここまで回復できたのは、アクセルがガブリエルさんの異変に気がつき、すぐにアマンダさんたちに知らせたことが大きいと、サビ医師は話す。「虚血性脳卒中では、1分経過するごとに何百万もの神経細胞が失われ、言語や動作に大きな影響をもたらし、死に至ることもあるのです。もしアクセルが両親を起こさず、さらに3~4時間が経過していたら、生活に支障をきたすほどの状態になっていたかもしれません」と、アクセルの行動を称賛した。
アマンダさんは、「ガブリエルは17歳ですし、当時は土曜で休みだったので、部屋に入って起こしに行くことはまずなかったと思います。私たちも前の晩は遅く寝たので、正午になるくらいまではガブリエルの部屋に入るつもりはなかったのです」と話しており、素晴らしい活躍を見せたアクセルに、小さなメダルを作って首輪に付けることを考えているそうだ。
ガブリエルさんは「アクセルは勘が鋭く、落ち込んでいたりストレスを抱えていたりすると、すぐにそれを察知してどうにかしようとベストを尽くしてくれます。あの日の朝も、何かがおかしいと感じ取り、助けが必要だと思ったのでしょう」と、アクセルの行動を振り返った。続けて、「今回の件で、“悲しくなるようなことでくよくよ悩まない”と考えるようになりました」と新しい人生観を得たとコメントしている。
テックインサイト編集部ではアマンダさんに、アクセルとガブリエルさんのこれまでの交流についてや、アクセルが鋭い勘を持つようになったのは何が原因と考えているかなどをうかがうべく取材を申し入れている。
ちなみに2018年には、愛犬が数週間も飼い主の右胸に鼻を押し当て続け、乳がんの事実を伝えたケースが注目を集めていた。
画像は『New York Post 2023年10月25日付「Dog saves teen from deadly stroke: ‘He can tell when something is wrong’」(Facebook/Amanda Tanner)』『ABC News 2023年10月25日付「Family dog alerts parents as 17-year-old suffers stroke in the middle of the night」(Family of Gabriel Silva)』『Nottinghamshire Live 2023年8月11日付「Dog told owner she was sick hours before symptoms using buttons」(Image: Christina Lee/SWNS)』『The Dodo 2023年7月19日付X「This is the most empathetic and loyal dog ever」』『The Mirror 2022年3月1日付「Woman credits chihuahua for saving her life after the dog jumped on her stomach」(Image: Craig Connor/ChronicleLive)』『The Courier 2021年5月21日付「Fantastic Fergus: The clever Angus canine who is woman’s best friend after raising alarm over injured 91-year-old neighbour」』『Anna Neary 2022年1月3日付Facebook「So long story short this beaut saves my life my harvey in 2018」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)