10月中旬、米ペンシルベニア州ゲティスバーグ郊外の田舎に住むチェルシー・ランボーさん(Chelsea Rumbaugh)の家の柵から、1匹のブタ、その名も「ケヴィン・ベーコン」が脱走した。放し飼いの解放感を堪能するブタを相手に捕獲のチャンスをうかがうランボー家のニュースは、米俳優ケヴィン・ベーコン(65)の目にも留まり、ケヴィンは一躍「時のブタ」として脚光を浴びることとなった。同州のテレビ局『WHP』、米ニュースメディア『People.com』などが報じた。
「彼を捕まえるのは難しいわ」と、10月17日に行われた米ペンシルベニア州のテレビ局『WPMT FOX43』のインタビューに飼い主のチェルシーさんは答えていた。
自身を「ケヴィンのママ」と称するチェルシーさんと夫のマイクさん(Mike)は、3匹のブタを含む17匹の動物を飼育している。ある日、大きくなりすぎてエサ代が負担になったため50ドル(約7500円)で売りに出されたブタをネットで見つけたチェルシーさんは、初めて会った時に、ミニブタの一種「ジュリアンピッグ」というわりに大きな体をしたケヴィンに驚きはしたが、すぐに気に入り、10月13日に迎え入れた。ケヴィンは、他の動物たちにもすぐに受け入れられたという。
しかし翌日、通りの向かいにあるキャンプ場から「おたくのブタが歩き回っているよ」と電話で伝えられて、“新しい我が子”の脱走を知ったそうだ。
ブタのケヴィンは、映画『フットルース』の主題歌のように「日曜礼拝用の堅苦しい靴を蹴飛ばして(Kick off the Sunday shoes)」「自由にならなくちゃ(So now I gotta cut loose)」とでも思い至ったのか、囲いの土を掘り、約200ポンド(約90キロ)の大きな体を使って柵を蹴飛ばして逃げ出してしまっていた。
家の敷地近くの小道でケヴィンの足跡を見つけたチェルシーさんは、おびき寄せるために食べ物や花を用意し、トウモロコシを敷地内の小道に沿って並べた。まだらの黒ぶち柄が特徴のケヴィンは周囲で何度も目撃され、時には、地元のマーチングバンドの集合写真に飛び入り参加しているという驚きの知らせも入ってきたという。近隣の森で自由気ままな生活を満喫中のケヴィンを囲いに引き入れることは難航したが、それでもランボーさん夫妻は、インタビューの時点ではすぐに捕まえることができると確信していた。
「あともう少しだけ、ケヴィンが協力してくれればいいだけなんです。」
地元テレビ各局に取り上げられ、さらにFakebookページ「Bring Kevin Bacon Home(ケヴィン・ベーコンを家に帰そう)」を立ち上げたチェルシーさんは、ネットで注目の的になった。なお、このページは11月1日現在「Kevin’s Home Adventures」に名称を変更している。
しかしケヴィンは脱走して以来、毎日のようにエサを食べに家の前に姿を現したにもかかわらず、捕まえようとすると人間を出し抜いて逃げてしまったそうだ。
「捕獲に使うために買ったネットは迂回されてしまい、小枝や木の葉の音が少しでもすると、その場を去ってしまいました」と、チェルシーさんはケヴィン捕獲の様子を説明する。
家がどこなのかを理解している頭の良いケヴィンを相手に、チェルシーさんらは知恵を絞り、近隣コミュニティや、支援を申し出てくれた事情に明るい人々の助けを借りて策を講じた。
ブタのケヴィンが森で過ごすようになって2週間が経った頃には、熱心な動物愛好家で知られる本物のケヴィン・ベーコンもニュースを聞きつけ、テキスト共有アプリ「Threads」でFacebookページのリンクをシェアし、同名のブタの長引く捕獲活動にエールを送った。
10月31日、チェルシーさんらは、いよいよ市販の抗ヒスタミン薬「ベナドリル」を混ぜた甘いパンを与える作戦に出た。ベナドリルは睡眠導入の効果もあり、またペットにも安全なのだという。
ついにベナドリル入りのパンを食べさせることに成功したチェルシーさんは、同日の昼頃、不在の間に地下部分がコンクリートで補強された囲いの中にケヴィンが入ってるところを見つけた。薬が効いて疲れてきたのか確かなところは分からないが、すぐに眠ってしまったという。
ケヴィン帰還のニュースは、ネットで見守り続けた人々を喜ばせ、テレビ局もすぐに駆けつけた。
すっかり有名になったブタのケヴィンについて、チェルシーさんは、「この名前は元の飼い主が付けたもので、実は新しい名前を考えていたのです。でも今回の騒ぎですっかり知れ渡ってしまったので、このままでいくことに決めました」と地元テレビ局のレポーターに明かしたほか、「私たちの土地を一般公開の農場にして、PTSDや不安、うつ病と闘う子供や大人のために活用してもらえるよう計画しています。もちろんケヴィンもいますよ」と夢を語った。
テックインサイト編集部ではチェルシーさんに、俳優のケヴィン・ベーコンがリンクを共有した際の感想や、ブタのケヴィンの詳しい話をうかがうべくインタビューを申し込んでいるが、まだ回答は得られていない。
ちなみに、6月にはカナダの牧場で、家畜小屋に侵入したクマを1匹で追い返し、家畜仲間を守り通した勇気あるメスのミニブタの活躍を捉えた防犯カメラの動画がネットで話題となった。
画像は『CBS 21 News 2023年11月1日公開Youtube「‘I’m so relieved’: Sticky Buns and benadryl bring Kevin Bacon home」』のサムネイル、『Kevin’s Home Adventures 2023年10月17日付 Facebook「Kevin did not come home for his evening buffet of my flowers.」、2023年10月31日付 Facebook「Okay okay, I’ll write the childrens book」(Harrison Jones Photographer)』『Kevin Bacon 2023年10月27日付Threads「Bring Kevin Bacon home!」』『CBC.ca 2023年6月25日付「Watch this small but mighty pig defend family farm from bear on Vancouver Island」(CHEK News)』『Anchorage Police Department 2023年2月14日付Facebook「Just shy of a year ago we responded to a call about a turkey trying to enter a convenience store.」』『Local 12 WKRC-TV 2022年3月22日付「WATCH: Two pigs fight off bear that climbed into their pen」(Rebecca Shaw/CBS Newspath)』『BBC 2021年6月17日付「Pregnant pig escapes farm and gives birth in woods」(BRINSLEY ANIMAL RESCUE)』『Glasgow Times 2021年3月15日付「Meet 20-stone Francisco who is living in a house after his owners thought he was a micropig」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 秋本神奈)
「彼を捕まえるのは難しいわ」と、10月17日に行われた米ペンシルベニア州のテレビ局『WPMT FOX43』のインタビューに飼い主のチェルシーさんは答えていた。
自身を「ケヴィンのママ」と称するチェルシーさんと夫のマイクさん(Mike)は、3匹のブタを含む17匹の動物を飼育している。ある日、大きくなりすぎてエサ代が負担になったため50ドル(約7500円)で売りに出されたブタをネットで見つけたチェルシーさんは、初めて会った時に、ミニブタの一種「ジュリアンピッグ」というわりに大きな体をしたケヴィンに驚きはしたが、すぐに気に入り、10月13日に迎え入れた。ケヴィンは、他の動物たちにもすぐに受け入れられたという。
しかし翌日、通りの向かいにあるキャンプ場から「おたくのブタが歩き回っているよ」と電話で伝えられて、“新しい我が子”の脱走を知ったそうだ。
ブタのケヴィンは、映画『フットルース』の主題歌のように「日曜礼拝用の堅苦しい靴を蹴飛ばして(Kick off the Sunday shoes)」「自由にならなくちゃ(So now I gotta cut loose)」とでも思い至ったのか、囲いの土を掘り、約200ポンド(約90キロ)の大きな体を使って柵を蹴飛ばして逃げ出してしまっていた。
家の敷地近くの小道でケヴィンの足跡を見つけたチェルシーさんは、おびき寄せるために食べ物や花を用意し、トウモロコシを敷地内の小道に沿って並べた。まだらの黒ぶち柄が特徴のケヴィンは周囲で何度も目撃され、時には、地元のマーチングバンドの集合写真に飛び入り参加しているという驚きの知らせも入ってきたという。近隣の森で自由気ままな生活を満喫中のケヴィンを囲いに引き入れることは難航したが、それでもランボーさん夫妻は、インタビューの時点ではすぐに捕まえることができると確信していた。
「あともう少しだけ、ケヴィンが協力してくれればいいだけなんです。」
地元テレビ各局に取り上げられ、さらにFakebookページ「Bring Kevin Bacon Home(ケヴィン・ベーコンを家に帰そう)」を立ち上げたチェルシーさんは、ネットで注目の的になった。なお、このページは11月1日現在「Kevin’s Home Adventures」に名称を変更している。
しかしケヴィンは脱走して以来、毎日のようにエサを食べに家の前に姿を現したにもかかわらず、捕まえようとすると人間を出し抜いて逃げてしまったそうだ。
「捕獲に使うために買ったネットは迂回されてしまい、小枝や木の葉の音が少しでもすると、その場を去ってしまいました」と、チェルシーさんはケヴィン捕獲の様子を説明する。
家がどこなのかを理解している頭の良いケヴィンを相手に、チェルシーさんらは知恵を絞り、近隣コミュニティや、支援を申し出てくれた事情に明るい人々の助けを借りて策を講じた。
ブタのケヴィンが森で過ごすようになって2週間が経った頃には、熱心な動物愛好家で知られる本物のケヴィン・ベーコンもニュースを聞きつけ、テキスト共有アプリ「Threads」でFacebookページのリンクをシェアし、同名のブタの長引く捕獲活動にエールを送った。
10月31日、チェルシーさんらは、いよいよ市販の抗ヒスタミン薬「ベナドリル」を混ぜた甘いパンを与える作戦に出た。ベナドリルは睡眠導入の効果もあり、またペットにも安全なのだという。
ついにベナドリル入りのパンを食べさせることに成功したチェルシーさんは、同日の昼頃、不在の間に地下部分がコンクリートで補強された囲いの中にケヴィンが入ってるところを見つけた。薬が効いて疲れてきたのか確かなところは分からないが、すぐに眠ってしまったという。
ケヴィン帰還のニュースは、ネットで見守り続けた人々を喜ばせ、テレビ局もすぐに駆けつけた。
すっかり有名になったブタのケヴィンについて、チェルシーさんは、「この名前は元の飼い主が付けたもので、実は新しい名前を考えていたのです。でも今回の騒ぎですっかり知れ渡ってしまったので、このままでいくことに決めました」と地元テレビ局のレポーターに明かしたほか、「私たちの土地を一般公開の農場にして、PTSDや不安、うつ病と闘う子供や大人のために活用してもらえるよう計画しています。もちろんケヴィンもいますよ」と夢を語った。
テックインサイト編集部ではチェルシーさんに、俳優のケヴィン・ベーコンがリンクを共有した際の感想や、ブタのケヴィンの詳しい話をうかがうべくインタビューを申し込んでいるが、まだ回答は得られていない。
ちなみに、6月にはカナダの牧場で、家畜小屋に侵入したクマを1匹で追い返し、家畜仲間を守り通した勇気あるメスのミニブタの活躍を捉えた防犯カメラの動画がネットで話題となった。
画像は『CBS 21 News 2023年11月1日公開Youtube「‘I’m so relieved’: Sticky Buns and benadryl bring Kevin Bacon home」』のサムネイル、『Kevin’s Home Adventures 2023年10月17日付 Facebook「Kevin did not come home for his evening buffet of my flowers.」、2023年10月31日付 Facebook「Okay okay, I’ll write the childrens book」(Harrison Jones Photographer)』『Kevin Bacon 2023年10月27日付Threads「Bring Kevin Bacon home!」』『CBC.ca 2023年6月25日付「Watch this small but mighty pig defend family farm from bear on Vancouver Island」(CHEK News)』『Anchorage Police Department 2023年2月14日付Facebook「Just shy of a year ago we responded to a call about a turkey trying to enter a convenience store.」』『Local 12 WKRC-TV 2022年3月22日付「WATCH: Two pigs fight off bear that climbed into their pen」(Rebecca Shaw/CBS Newspath)』『BBC 2021年6月17日付「Pregnant pig escapes farm and gives birth in woods」(BRINSLEY ANIMAL RESCUE)』『Glasgow Times 2021年3月15日付「Meet 20-stone Francisco who is living in a house after his owners thought he was a micropig」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 秋本神奈)