アメリカ在住のある夫婦は長年にわたる不妊治療の末、3か月間で4人の子供の親となった。夫婦は養子縁組と胚養子縁組(Embryo Adoption)の手続きを同時に進め、その結果、7月に養子縁組で女児1人を、10月には胚養子縁組により女児2人と男児1人を授かったという。米ニュースメディア『Good Morning America』などが伝えた。
米ペンシルベニア州セント・メアリーズ在住のザック・ウルフさん(Zac Wolfe、31)と妻のブリトニーさん(Brittney、32)は現在、4人の子供たちがいる。
大学時代からの友人で2015年に結婚した2人は、長年の不妊治療を経て、ついに親になる夢を叶えることができたという。
ザックさんはこれまでの経緯について、このように振り返った。
「私たちは結婚直後から子供を望んでいましたが、一年間自然妊娠を試みてもうまくいかず、不妊治療専門医に相談することにしました。2011年7月に交通事故で脊髄を損傷し、腰から下が麻痺してしまった私は、そのことが不妊の原因ではないかと心配し、自然に子供を授かることができるかどうか不安だったのです。そして様々な検査を受けた結果、2人とも特に問題はないことが分かりました。」
しかし、その後も子宝に恵まれず、人工授精や体外受精も試みたが成功することはなかったため、夫婦は養子縁組を行う決意をした。
ザックさんとブリトニーさんが立ち上げたウェブサイト「Zac and Brittney’s Adoption Journey(養子縁組への道のり)」には、2人の思いがこのように綴られている。
「私たちはずっと大家族に憧れてきました。長年の不妊治療や流産の経験を経て、私たちにとって重要なのは、どのような方法で子供を授かるかではなく、親になることそのものなのだと気づかされました。そしてそのことが私たちを養子縁組へと導いてくれたのです。」
同ウェブサイトやSNSなどで発信を続けた夫婦にはたくさんのメッセージが届いたそうだが、残念ながら実際に養子縁組へと繋がる機会はなかった。
そんな時、2人は親戚から胚養子縁組(Embryo Adoption)の話を聞いた。
胚養子縁組とは、体外受精の過程で使用されなかった凍結胚を持っている人々から提供を受け、妊娠出産を行うことができるものだ。
夫婦は2022年12月、それを実行するためテネシー州ノックスビルの非営利団体「全米胚提供センター(National Embryo Donation Center、以下NEDC)」へ向かった。そして胚移植を受けたブリトニーさんの妊娠が確認されるも、数週間後に流産してしまったという。
その結果にショックを受けていた2人だが、時を同じくして隣人から養子縁組を希望する妊娠中の女性を紹介されたそうで、ブリトニーさんは当時の心境について次のように明かしている。
「その女性と初めて会ったのは、今年3月のことでした。私たちは本当に嬉しくて、ついに夢が叶ったと思いました。当時、彼女は妊娠中期で、その後の妊婦検診にはすべて立ち会いました。20週目のエコー検査で赤ちゃんが女の子だと分かったんです。」
養子縁組の手続きを進める一方で、胚養子縁組も諦めてはいなかった夫婦は今年4月、NEDCで2度目の胚移植を行った。
そして2021年に凍結された2つの胚と2011年に凍結された1つの胚の移植を受けたブリトニーさんは、3つ子を妊娠した。
「妊娠が判明してから最初のエコー検査の時、私はスタッフに『お願い、赤ちゃんがいると言って…私たちは心からこの子を望んでいるのです』と言いました。すると彼女は微笑みながら『あら、2人いますね。待って…3人いるわよ』と告げたのです。それを聞いた私たちは本当に驚いて、全身の力が抜けてしまいました。」
そのように語ったブリトニーさんの妊娠経過は順調で、7月27日に養女となるチャーリーちゃん(Charlie)の誕生に立ち会い、それから約3か月後の10月19日、妊娠30週を迎えた彼女は帝王切開で3つ子を出産した。
ノックス君(Knox)、ノアちゃん(Noa)、ナヴィちゃん(Navie)と名付けられた3人は全員が約900~1360グラムという極低出生体重児として誕生したため、新生児集中治療室(NICU)に入院したが、3人とも経過は順調だという。
わずか3か月間で4人の子供たちを迎えた夫婦は、これから始まる家族6人での生活についてこのように述べている。
「2度目の胚移植の際に3つの胚がすべて着床し、3つ子が誕生する確率は1%以下だと言われました。それなのに何ということでしょう…でも、私たちはやり遂げたのです。きっとこの先もうまくいくと思います。そして、養子縁組を考えている人は先入観を持たず、この道に進んでほしいのです。家族だけが与えることのできる愛と安定を切望している子供がいます。意志があれば道は開けるのです。」
なおテックインサイト編集部ではブリトニーさんに、3か月で4人の子供たちの親になるという経験を通して夫婦にどのような変化があったか、これからの家族生活にどのような期待を持っているかなどをうかがうべく取材を申し入れている。
画像は『Good Morning America 2023年10月30日付「After 8 years of infertility, couple becomes parents of 4 babies in 3 months」(Creative State Of Mind Photography)(Courtesy of Zac and Brittney Wolfe)、2022年11月22日付「Couple welcome twins from embryos frozen 30 years ago」(National Embryo Donation Center)、2023年3月7日付「Fiancée of slain reporter speaks out on decision to have his child via IVF」(Courtesy of Casey Fite)、2023年6月16日付「Dads celebrate 1st Father’s Day after adopting 6 siblings」(Samantha Lowe Photo)』『The Sun US 2022年7月5日付「SCRAMBLED EGGS I’m a mom of twins who are only half-sisters ― even doctors are blown away that it’s possible」(Credit: Caters)』『KFOR.com 2020年8月13日付「“I hope one of y’all pick me,” 9-year-old boy desperately wants a place to call home」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)
米ペンシルベニア州セント・メアリーズ在住のザック・ウルフさん(Zac Wolfe、31)と妻のブリトニーさん(Brittney、32)は現在、4人の子供たちがいる。
大学時代からの友人で2015年に結婚した2人は、長年の不妊治療を経て、ついに親になる夢を叶えることができたという。
ザックさんはこれまでの経緯について、このように振り返った。
「私たちは結婚直後から子供を望んでいましたが、一年間自然妊娠を試みてもうまくいかず、不妊治療専門医に相談することにしました。2011年7月に交通事故で脊髄を損傷し、腰から下が麻痺してしまった私は、そのことが不妊の原因ではないかと心配し、自然に子供を授かることができるかどうか不安だったのです。そして様々な検査を受けた結果、2人とも特に問題はないことが分かりました。」
しかし、その後も子宝に恵まれず、人工授精や体外受精も試みたが成功することはなかったため、夫婦は養子縁組を行う決意をした。
ザックさんとブリトニーさんが立ち上げたウェブサイト「Zac and Brittney’s Adoption Journey(養子縁組への道のり)」には、2人の思いがこのように綴られている。
「私たちはずっと大家族に憧れてきました。長年の不妊治療や流産の経験を経て、私たちにとって重要なのは、どのような方法で子供を授かるかではなく、親になることそのものなのだと気づかされました。そしてそのことが私たちを養子縁組へと導いてくれたのです。」
同ウェブサイトやSNSなどで発信を続けた夫婦にはたくさんのメッセージが届いたそうだが、残念ながら実際に養子縁組へと繋がる機会はなかった。
そんな時、2人は親戚から胚養子縁組(Embryo Adoption)の話を聞いた。
胚養子縁組とは、体外受精の過程で使用されなかった凍結胚を持っている人々から提供を受け、妊娠出産を行うことができるものだ。
夫婦は2022年12月、それを実行するためテネシー州ノックスビルの非営利団体「全米胚提供センター(National Embryo Donation Center、以下NEDC)」へ向かった。そして胚移植を受けたブリトニーさんの妊娠が確認されるも、数週間後に流産してしまったという。
その結果にショックを受けていた2人だが、時を同じくして隣人から養子縁組を希望する妊娠中の女性を紹介されたそうで、ブリトニーさんは当時の心境について次のように明かしている。
「その女性と初めて会ったのは、今年3月のことでした。私たちは本当に嬉しくて、ついに夢が叶ったと思いました。当時、彼女は妊娠中期で、その後の妊婦検診にはすべて立ち会いました。20週目のエコー検査で赤ちゃんが女の子だと分かったんです。」
養子縁組の手続きを進める一方で、胚養子縁組も諦めてはいなかった夫婦は今年4月、NEDCで2度目の胚移植を行った。
そして2021年に凍結された2つの胚と2011年に凍結された1つの胚の移植を受けたブリトニーさんは、3つ子を妊娠した。
「妊娠が判明してから最初のエコー検査の時、私はスタッフに『お願い、赤ちゃんがいると言って…私たちは心からこの子を望んでいるのです』と言いました。すると彼女は微笑みながら『あら、2人いますね。待って…3人いるわよ』と告げたのです。それを聞いた私たちは本当に驚いて、全身の力が抜けてしまいました。」
そのように語ったブリトニーさんの妊娠経過は順調で、7月27日に養女となるチャーリーちゃん(Charlie)の誕生に立ち会い、それから約3か月後の10月19日、妊娠30週を迎えた彼女は帝王切開で3つ子を出産した。
ノックス君(Knox)、ノアちゃん(Noa)、ナヴィちゃん(Navie)と名付けられた3人は全員が約900~1360グラムという極低出生体重児として誕生したため、新生児集中治療室(NICU)に入院したが、3人とも経過は順調だという。
わずか3か月間で4人の子供たちを迎えた夫婦は、これから始まる家族6人での生活についてこのように述べている。
「2度目の胚移植の際に3つの胚がすべて着床し、3つ子が誕生する確率は1%以下だと言われました。それなのに何ということでしょう…でも、私たちはやり遂げたのです。きっとこの先もうまくいくと思います。そして、養子縁組を考えている人は先入観を持たず、この道に進んでほしいのです。家族だけが与えることのできる愛と安定を切望している子供がいます。意志があれば道は開けるのです。」
なおテックインサイト編集部ではブリトニーさんに、3か月で4人の子供たちの親になるという経験を通して夫婦にどのような変化があったか、これからの家族生活にどのような期待を持っているかなどをうかがうべく取材を申し入れている。
画像は『Good Morning America 2023年10月30日付「After 8 years of infertility, couple becomes parents of 4 babies in 3 months」(Creative State Of Mind Photography)(Courtesy of Zac and Brittney Wolfe)、2022年11月22日付「Couple welcome twins from embryos frozen 30 years ago」(National Embryo Donation Center)、2023年3月7日付「Fiancée of slain reporter speaks out on decision to have his child via IVF」(Courtesy of Casey Fite)、2023年6月16日付「Dads celebrate 1st Father’s Day after adopting 6 siblings」(Samantha Lowe Photo)』『The Sun US 2022年7月5日付「SCRAMBLED EGGS I’m a mom of twins who are only half-sisters ― even doctors are blown away that it’s possible」(Credit: Caters)』『KFOR.com 2020年8月13日付「“I hope one of y’all pick me,” 9-year-old boy desperately wants a place to call home」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)