米コロラド州サンファン山脈のブラックヘッド山(標高約3810メートル)で10月30日、8月19日から行方不明になっていたハイカーの男性(71)がハンターによって遺体で発見された。そばには72日間を生き延び、体重が通常の半分以下に減った愛犬が寄り添っていたそうで、「奇跡の生還」との声が上がっている。アウトドア専門のニュースサイト『Outside Magazine』などが伝えた。
コロラド州アーチュレッタ郡パゴサ・スプリングスのリチャード・ムーアさん(Richard Moore、71、以下リッチさん)が先月30日、行方不明になってから72日ぶりに遺体で発見された。経験豊富なハイカーだったリッチさんは8月19日、愛犬でジャック・ラッセル・テリアのメス、“フィニー(Finney、3)”と登山に出掛け、帰宅することはなかった。
遺体はたまたま馬に乗って狩猟中だった男性が、山頂から東に4キロ(2.5マイル)の急斜面で発見したそうで、一帯は当初行われた16日間の捜索の対象外だった。男性はそばに寄り添っていたフィニーを捕まえようとしたものの失敗し、地元の救助隊らが翌日、ヘリコプターで一帯を捜索してフィニーを保護し、地元の動物病院に搬送後、家族に引き渡した。
遺体が見つかった場所は登山道からかなり離れており、リッチさんが何故その一帯に立ち入ったのかは不明だが、アーチュレッタ郡の検死官ブラッド・ハント氏(Brad Hunt)によると、死因は低体温症という。
なおフィニーの発見を受け、今回ヘリコプターからフィニーを発見したアーチュレッタ郡保安官事務所の危機管理司令官、ライアン・フォスターさん(Ryan Foster)は、次のように語った。
「発見時、遺体のそばにいたフィニーは救助隊員に歯をむき出しにし、吠え、襲い掛かろうとしていました。ガリガリに痩せてはいましたが動きは活発で、遺体を守っていたのです。」
「我々がフィニーをおびき寄せるために使ったのは、鎮静剤を入れた缶のドッグフードでした。フィニーはひどくお腹が空いていたのでしょうね。缶を歯で噛んで離そうとせず、ゆっくりと一口一口、噛みしめながら食べていました。」
さらに結婚34年になるという妻ドナ・ホルビーさん(Dana Holby、78)は、「夫が亡くなったことは今でも信じられません。でもフィニーが戻って来たことは異次元の出来事ですよ」と驚きを隠せず、帰宅後の愛犬の様子についてこのように明かした。
「フィニーは帰宅後、飛んでいる蛾や虫を捕まえたり、裏庭で幼虫を掘り起こすなど以前には見られなかった行動が見られるようになりました。きっと山の中で、虫などのほか、巣穴に棲むネズミ、シマリス、リスなどのげっ歯類を食べていたのでしょうね。」
「以前のフィニーは社交的な性格でしたが、帰宅後は他の犬が近づくと私の背後に隠れるようになりました。きっとそうやって捕食者から逃げていたのでしょう。フィニーがなぜピューマに見つからずに済んだのかは分かりませんが、あの子は小さいながらもとても賢いのです。」
なおフィニーの体重は通常、4.5キロ(一部報道では5.4キロとも)ほどだそうだが、家族が引き取った時には半分以下しかなく、肋骨が浮き出ていたという。また鼻には土とかさぶたで覆われた深い切り傷があったそうで、げっ歯類や虫を食べたり、近くの小川の水を飲んだりして生き延びたとみられている。
ちなみにジャック・ラッセル・テリアはもともと、キツネや小さなげっ歯類の狩猟のために交配された種で、リッチさんとドナさんは2020年、生まれたばかりのフィニーをニューハンプシャー州のブリーダーから手に入れたという。
ドナさんは現在、「フィニーが夫の匂いを嗅ぐことができるように」と家の中のあちこちに夫の衣服を置き、出かける時も、就寝時もフィニーと一緒にいるとのことで、感慨深くこのように語っていた。
「これはずっと感じていたことなのですが、フィニーはきっと、リッチが私のもとに送ってくれたのではないかと思っているのです。リッチはきっと、フィニーにこう伝えたのでしょうね。『家に戻って、ドナの世話をしてあげて!』とね。」
画像は『Outside Magazine 2023年11月15日付「A Hiker and a Terrier Climbed a Peak. The Dog Came Home 72 Days Later.」(Dana Holby/Archuleta County Sheriff)(Photo: Bill Milner)(Photo: Dustin English)(Photo: Dana Holby)』『Metro 2022年1月5日付「Dog sat on owner for 13 hours after he broke his leg climbing mountain」(Picture: Antonija Sjaus Brkic)』『Soccorso Alpino e Speleologico Friuli Venezia Giulia - CNSAS 2021年2月18日付Facebook「Sopravvive a sette notti all’addiaccio Venzone (ud)」』『Keswick Mountain Rescue Team 2021年10月30日付Facebook「Incident 104」』『The Daily Star 2022年2月11日付「Devastated dog pines for owner at his funeral after being killed in deadly landslide」(Image: Newsflash)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
コロラド州アーチュレッタ郡パゴサ・スプリングスのリチャード・ムーアさん(Richard Moore、71、以下リッチさん)が先月30日、行方不明になってから72日ぶりに遺体で発見された。経験豊富なハイカーだったリッチさんは8月19日、愛犬でジャック・ラッセル・テリアのメス、“フィニー(Finney、3)”と登山に出掛け、帰宅することはなかった。
遺体はたまたま馬に乗って狩猟中だった男性が、山頂から東に4キロ(2.5マイル)の急斜面で発見したそうで、一帯は当初行われた16日間の捜索の対象外だった。男性はそばに寄り添っていたフィニーを捕まえようとしたものの失敗し、地元の救助隊らが翌日、ヘリコプターで一帯を捜索してフィニーを保護し、地元の動物病院に搬送後、家族に引き渡した。
遺体が見つかった場所は登山道からかなり離れており、リッチさんが何故その一帯に立ち入ったのかは不明だが、アーチュレッタ郡の検死官ブラッド・ハント氏(Brad Hunt)によると、死因は低体温症という。
なおフィニーの発見を受け、今回ヘリコプターからフィニーを発見したアーチュレッタ郡保安官事務所の危機管理司令官、ライアン・フォスターさん(Ryan Foster)は、次のように語った。
「発見時、遺体のそばにいたフィニーは救助隊員に歯をむき出しにし、吠え、襲い掛かろうとしていました。ガリガリに痩せてはいましたが動きは活発で、遺体を守っていたのです。」
「我々がフィニーをおびき寄せるために使ったのは、鎮静剤を入れた缶のドッグフードでした。フィニーはひどくお腹が空いていたのでしょうね。缶を歯で噛んで離そうとせず、ゆっくりと一口一口、噛みしめながら食べていました。」
さらに結婚34年になるという妻ドナ・ホルビーさん(Dana Holby、78)は、「夫が亡くなったことは今でも信じられません。でもフィニーが戻って来たことは異次元の出来事ですよ」と驚きを隠せず、帰宅後の愛犬の様子についてこのように明かした。
「フィニーは帰宅後、飛んでいる蛾や虫を捕まえたり、裏庭で幼虫を掘り起こすなど以前には見られなかった行動が見られるようになりました。きっと山の中で、虫などのほか、巣穴に棲むネズミ、シマリス、リスなどのげっ歯類を食べていたのでしょうね。」
「以前のフィニーは社交的な性格でしたが、帰宅後は他の犬が近づくと私の背後に隠れるようになりました。きっとそうやって捕食者から逃げていたのでしょう。フィニーがなぜピューマに見つからずに済んだのかは分かりませんが、あの子は小さいながらもとても賢いのです。」
なおフィニーの体重は通常、4.5キロ(一部報道では5.4キロとも)ほどだそうだが、家族が引き取った時には半分以下しかなく、肋骨が浮き出ていたという。また鼻には土とかさぶたで覆われた深い切り傷があったそうで、げっ歯類や虫を食べたり、近くの小川の水を飲んだりして生き延びたとみられている。
ちなみにジャック・ラッセル・テリアはもともと、キツネや小さなげっ歯類の狩猟のために交配された種で、リッチさんとドナさんは2020年、生まれたばかりのフィニーをニューハンプシャー州のブリーダーから手に入れたという。
ドナさんは現在、「フィニーが夫の匂いを嗅ぐことができるように」と家の中のあちこちに夫の衣服を置き、出かける時も、就寝時もフィニーと一緒にいるとのことで、感慨深くこのように語っていた。
「これはずっと感じていたことなのですが、フィニーはきっと、リッチが私のもとに送ってくれたのではないかと思っているのです。リッチはきっと、フィニーにこう伝えたのでしょうね。『家に戻って、ドナの世話をしてあげて!』とね。」
画像は『Outside Magazine 2023年11月15日付「A Hiker and a Terrier Climbed a Peak. The Dog Came Home 72 Days Later.」(Dana Holby/Archuleta County Sheriff)(Photo: Bill Milner)(Photo: Dustin English)(Photo: Dana Holby)』『Metro 2022年1月5日付「Dog sat on owner for 13 hours after he broke his leg climbing mountain」(Picture: Antonija Sjaus Brkic)』『Soccorso Alpino e Speleologico Friuli Venezia Giulia - CNSAS 2021年2月18日付Facebook「Sopravvive a sette notti all’addiaccio Venzone (ud)」』『Keswick Mountain Rescue Team 2021年10月30日付Facebook「Incident 104」』『The Daily Star 2022年2月11日付「Devastated dog pines for owner at his funeral after being killed in deadly landslide」(Image: Newsflash)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)