映画『シラノ・ド・ベルジュラック(原題:Cyrano de Bergerac、1990年公開)』の主役でセザール賞主演男優賞やカンヌ国際映画祭男優賞を受賞し、同年のハリウッド映画『グリーン・カード(原題:Green Card、1990年公開)』ではゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞したフランス人俳優ジェラール・ドパルデュー(75)が、複数の女性に性的暴行を行っていたとして3件目の訴えを起こされたことが明らかになった。
昨年12月7日に仏国営放送「France2」の番組『Complément d'enquête(「さらなる調査」の意)』で、ジェラール・ドパルデューが、未成年を含む女性に対する性的な発言を含め、女性差別的で侮辱的な発言を繰り返したことに端を発した論争が特集された。更には2018年に北朝鮮を訪問した際にドパルデューがわいせつな発言を繰り返し、通訳の女性を困らせたことも報道された。
これを受けてオリヴィエ・ヴェラン政府報道官(43)は、衝撃を受けたとし、「これらの(ジェラール・ドパルデューによる)言動にショックを受けており、不快に感じた人々、被害者である人々に思いを馳せます」とフランスのニュース専門局「BFM TV」とラジオ局「RMC」で語った。
同時に、同報道官は「事件が裁判所に付託された場合、それを決定するのは裁判所であり、あなた(視聴者や国民)でも私でもない。我々は人民裁判所ではない」と述べ、『Complément d'enquête』の内容にショックを受けたとはいえ、公開処刑的な報道の在り方に遺憾の意を表明している。
また昨年12月末、仏大統領エマニュエル・マクロン(46)はジェラール・ドパルデューへの支持を表明。「(ジェラールは)偉大な俳優」であると述べ、France2の「私的捜査」を非難、番組中で使用された映像が編集された可能性を示唆した。
一方、文化大臣のリマ・アブドゥル・マラク(44)は昨年12月15日、レジオン・ドヌール勲章大司令部がドパルデューに授与した同国の最高勲章「レジオン・ドヌール」の剥奪に向けた手続きを始めることを発表した。その際、同大臣はドパルデューの発言について「フランスの恥」だと強く糾弾している。
これら一連の騒動により、有名人の蝋人形を展示しているパリのグレヴァン美術館は、ジェラール・ドパルデューの蝋人形を撤去したと発表した。
ジェラール・ドパルデューは、2012年に税金逃れのためにフランス国境に近いベルギーの村に移住し、それを非難されると翌2013年には所得税の税率が一律であるロシア国籍を取得して話題となった。また美食家としても知られるジェラールは、以前パリ・オペラ座近くに「フォンテーン・ガイヨン」という名のレストランを所有し、フランス各地にワイナリーも所有していたが、ロシア国籍取得に伴い、フランスへの納税を避けるためすべて売却している。
そして今回の『Complément d'enquête』の放送を受け、12月19日、スペインのジャーナリスト兼作家のルース・バザ(Ruth Baza、51)が、1995年にジェラール・ドパルデューから性的暴行を受けたとし、強姦罪で告訴したと『AFP通信』に語った。
ルース・バザは、1995年10月12日にパリで雑誌『Cinemanía』のためドパルデューにインタビューした際にレイプされたと主張。昨年12月14日にスペイン警察に告訴状を提出したと語った。当時23歳だったルースは、ドパルデューから“同意のない性行為”を強要されたという。今回の告訴により、2018年以降、ジェラール・ドパルデューが性的暴行で訴えられるのは3度目となる。
法的には、ルース・バザの告発はフランスでは時効となる。ルースは30年近く前の被害を今になって告発したいきさつについて、『Complément d'enquête』の報道を知り、「記憶がフラッシュバックした」と明かしている。さらに自らが被害を名乗り出ることにより、「他の人々の助けになれば」と告訴を決意した理由について述べている。
ジェラール・ドパルデューは、2020年にも女優シャルロット・アルヌールに対し性的暴行を行ったとして強姦容疑で捜査を受けている。ドパルデューは容疑を否認している。
「フランス映画の聖なる怪物」と称されたジェラール・ドパルデュー。フランス国内では「破天荒が売り」と言われた超大物俳優であり、エマニュエル・マクロン大統領までが彼を養護するなどその影響は政界にまで及ぶ事態となっている。今後の公的捜査に注目したい。
(TechinsightJapan編集部 リエコ)
昨年12月7日に仏国営放送「France2」の番組『Complément d'enquête(「さらなる調査」の意)』で、ジェラール・ドパルデューが、未成年を含む女性に対する性的な発言を含め、女性差別的で侮辱的な発言を繰り返したことに端を発した論争が特集された。更には2018年に北朝鮮を訪問した際にドパルデューがわいせつな発言を繰り返し、通訳の女性を困らせたことも報道された。
これを受けてオリヴィエ・ヴェラン政府報道官(43)は、衝撃を受けたとし、「これらの(ジェラール・ドパルデューによる)言動にショックを受けており、不快に感じた人々、被害者である人々に思いを馳せます」とフランスのニュース専門局「BFM TV」とラジオ局「RMC」で語った。
同時に、同報道官は「事件が裁判所に付託された場合、それを決定するのは裁判所であり、あなた(視聴者や国民)でも私でもない。我々は人民裁判所ではない」と述べ、『Complément d'enquête』の内容にショックを受けたとはいえ、公開処刑的な報道の在り方に遺憾の意を表明している。
また昨年12月末、仏大統領エマニュエル・マクロン(46)はジェラール・ドパルデューへの支持を表明。「(ジェラールは)偉大な俳優」であると述べ、France2の「私的捜査」を非難、番組中で使用された映像が編集された可能性を示唆した。
一方、文化大臣のリマ・アブドゥル・マラク(44)は昨年12月15日、レジオン・ドヌール勲章大司令部がドパルデューに授与した同国の最高勲章「レジオン・ドヌール」の剥奪に向けた手続きを始めることを発表した。その際、同大臣はドパルデューの発言について「フランスの恥」だと強く糾弾している。
これら一連の騒動により、有名人の蝋人形を展示しているパリのグレヴァン美術館は、ジェラール・ドパルデューの蝋人形を撤去したと発表した。
ジェラール・ドパルデューは、2012年に税金逃れのためにフランス国境に近いベルギーの村に移住し、それを非難されると翌2013年には所得税の税率が一律であるロシア国籍を取得して話題となった。また美食家としても知られるジェラールは、以前パリ・オペラ座近くに「フォンテーン・ガイヨン」という名のレストランを所有し、フランス各地にワイナリーも所有していたが、ロシア国籍取得に伴い、フランスへの納税を避けるためすべて売却している。
そして今回の『Complément d'enquête』の放送を受け、12月19日、スペインのジャーナリスト兼作家のルース・バザ(Ruth Baza、51)が、1995年にジェラール・ドパルデューから性的暴行を受けたとし、強姦罪で告訴したと『AFP通信』に語った。
ルース・バザは、1995年10月12日にパリで雑誌『Cinemanía』のためドパルデューにインタビューした際にレイプされたと主張。昨年12月14日にスペイン警察に告訴状を提出したと語った。当時23歳だったルースは、ドパルデューから“同意のない性行為”を強要されたという。今回の告訴により、2018年以降、ジェラール・ドパルデューが性的暴行で訴えられるのは3度目となる。
法的には、ルース・バザの告発はフランスでは時効となる。ルースは30年近く前の被害を今になって告発したいきさつについて、『Complément d'enquête』の報道を知り、「記憶がフラッシュバックした」と明かしている。さらに自らが被害を名乗り出ることにより、「他の人々の助けになれば」と告訴を決意した理由について述べている。
ジェラール・ドパルデューは、2020年にも女優シャルロット・アルヌールに対し性的暴行を行ったとして強姦容疑で捜査を受けている。ドパルデューは容疑を否認している。
「フランス映画の聖なる怪物」と称されたジェラール・ドパルデュー。フランス国内では「破天荒が売り」と言われた超大物俳優であり、エマニュエル・マクロン大統領までが彼を養護するなどその影響は政界にまで及ぶ事態となっている。今後の公的捜査に注目したい。
(TechinsightJapan編集部 リエコ)