イギリスで先日、マラソン大会に向けてトレーニングしていた男性が、警察官に呼び止められた。男性はただ走っていただけだったが、背中にある荷物を背負っており、そのせいで不審者と勘違いされてしまったのだ。男性は確固たる意志を持って大きな荷物を担いで走っていると言い、その理由をテックインサイト編集部が直接うかがったところ、快く話してくれた。
英ハートフォードシャー州スティーブニッジ在住のダニエル・フェアブラザーさん(Daniel Fairbrother)は先月7日、4月21日に開催されるロンドンマラソンに向けてトレーニングをしていた。ダニエルさんは、当時の様子を「静かな夜でした。通り過ぎていく車以外は暗闇に包まれていて、私は頭にヘッドライトを付けて走っていました」と振り返る。
1人でトレーニングに勤しんでいたダニエルさんだったが、すれ違ったパトカーがダニエルさんの方に戻ってきたことに気付いた。そしてパトカーの窓を開けた警察官から、「あなたの背中にあるのは冷蔵庫ですか?」と問われた。
ダニエルさんは当時、背中に25.7キロの冷蔵庫を背負ってジョギングをしていたのだ。その姿に警察官は、ダニエルさんがどこかで窃盗を働いたと勘違いしたようだ。
そんなダニエルさんが冷蔵庫を背負って走っているのには、立派な理由があった。
ダニエルさんは、1型糖尿病を患う親友をサポートしたいと考え、イギリスの糖尿病慈善団体「Diabetes UK」への募金活動を行うことを決意した。「私は医者ではないので治療法を考えることはできませんが、治療をする人々に資金を提供することはできます。募金活動が注目を浴びるように、何か大きなことをしたかったんです」と話すダニエルさんは、昨年4月に冷蔵庫を背負いながらのマラソンで4時間52分10秒という世界記録を打ち立てたイギリス海兵隊伍長のサム・ハモンドさん(Sam Hammond)の勇姿に感銘を受けたという。
「私はずっと、ギネス世界記録の記録保持者になりたいと思っていたので、サムさんが新記録を達成した時、これは私にとって挑戦だと思いました。冷蔵庫を背負って走ったことは一度もありませんでしたが、『これなら私にもできるかもしれない』とすぐに思いました。」
こうしてダニエルさんは、“白物家電を背負って走るフルマラソン”の世界記録更新を目指して、トレーニングに励むことになった。
警察官に呼び止められた当時、冷蔵庫を担いでのトレーニングは2回目だったという。ダニエルさんは、「あの時は行き交っていた車も止まってしまったので、少し恥ずかしかったですね。でも、私がこれから話すこと(冷蔵庫を背負っている理由)を、警察官は信じてくれないのではないかと不安になりました」と明かす。
警察官は「なぜ呼び止めたのか分かると思います」とダニエルさんに話しかけたそうで、「私は笑いながら『はい、ちゃんとすべて説明すると約束しますよ』と答えました。警察官の方々は素晴らしい人たちで、チャレンジの成功を祈ってくれました」とダニエルさんは語っており、無事に警察官の理解を得ることができたという。警察官らは「Currys(イギリスの家電量販店)で購入すると、家まで配達してくれますよ」とジョークを述べ、最後は笑顔で握手を交わして別れたそうだ。
実はダニエルさん、昨年も同様のチャレンジを行ったが、記録更新には至らなかったという。そこで現在のトレーニング内容について尋ねたところ、ダニエルさんはこう語っている。
「トレーニングで最も大変だったのは、25.7キロの重さを背負うことに体を慣らすことでしたね。脚に影響が出ていて、ひどく痛みを感じています。現在は体力をつけることに専念していて、フルマラソンを4時間30分以内で走ることを目標にトレーニングしています。この目標を達成するのは簡単ではないので、トレーニングが報われるのを祈って当日を迎えることになりますね。」
非常に高い目標に向かってトレーニングに打ち込むダニエルさんだが、今回のチャレンジが英国放送協会『BBC』のデジタル版で配信されると、週間閲覧数がトップの記事になったという。そして冷蔵庫を背負ったダニエルさんの姿は瞬く間に話題を呼び、ラジオ局やテレビ局から引っ張りだこになった。
そんなダニエルさんは募金の目標金額を1万ポンド(約187万4800円)に設定し、オンライン募金プラットフォーム「JustGiving」に専用ページを立ち上げており、『BBC』で報じられる前は700ポンド(約13万1200円)が集まっていたが、現在は5700ポンド(約106万8600円)を上回っている。
ダニエルさんは自身のInstagramで、「私の人生は一気に変わりました。皆さんのサポートにずっと感謝し続けます」と綴っている。また、イギリスの朝の情報番組『グッド・モーニング・ブリテン』に出演する可能性もあり、現在は返事待ちだという。
画像は『BBC 2024年1月29日付「Fridge-carrying marathon runner stopped by police」(Daniel Fairbrother)』『Daniel Fairbrother 2024年1月30日付Instagram「What happens when you go viral ?」』『New York Post 2021年8月12日付「Embrace fear: Free climber scales another London skyscraper」(Yui Mok/PA via AP)』『WPEC CBS 12 2022年5月3日付「WATCH: Local lady celebrates turning 100 by skydiving」(WPEC)』『Caleb J. Prewitt 2021年6月13日付Instagram「HE DID IT!!!」』『Jason Clark 2020年2月24日付Instagram「I have never been this close to dying.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)
英ハートフォードシャー州スティーブニッジ在住のダニエル・フェアブラザーさん(Daniel Fairbrother)は先月7日、4月21日に開催されるロンドンマラソンに向けてトレーニングをしていた。ダニエルさんは、当時の様子を「静かな夜でした。通り過ぎていく車以外は暗闇に包まれていて、私は頭にヘッドライトを付けて走っていました」と振り返る。
1人でトレーニングに勤しんでいたダニエルさんだったが、すれ違ったパトカーがダニエルさんの方に戻ってきたことに気付いた。そしてパトカーの窓を開けた警察官から、「あなたの背中にあるのは冷蔵庫ですか?」と問われた。
ダニエルさんは当時、背中に25.7キロの冷蔵庫を背負ってジョギングをしていたのだ。その姿に警察官は、ダニエルさんがどこかで窃盗を働いたと勘違いしたようだ。
そんなダニエルさんが冷蔵庫を背負って走っているのには、立派な理由があった。
ダニエルさんは、1型糖尿病を患う親友をサポートしたいと考え、イギリスの糖尿病慈善団体「Diabetes UK」への募金活動を行うことを決意した。「私は医者ではないので治療法を考えることはできませんが、治療をする人々に資金を提供することはできます。募金活動が注目を浴びるように、何か大きなことをしたかったんです」と話すダニエルさんは、昨年4月に冷蔵庫を背負いながらのマラソンで4時間52分10秒という世界記録を打ち立てたイギリス海兵隊伍長のサム・ハモンドさん(Sam Hammond)の勇姿に感銘を受けたという。
「私はずっと、ギネス世界記録の記録保持者になりたいと思っていたので、サムさんが新記録を達成した時、これは私にとって挑戦だと思いました。冷蔵庫を背負って走ったことは一度もありませんでしたが、『これなら私にもできるかもしれない』とすぐに思いました。」
こうしてダニエルさんは、“白物家電を背負って走るフルマラソン”の世界記録更新を目指して、トレーニングに励むことになった。
警察官に呼び止められた当時、冷蔵庫を担いでのトレーニングは2回目だったという。ダニエルさんは、「あの時は行き交っていた車も止まってしまったので、少し恥ずかしかったですね。でも、私がこれから話すこと(冷蔵庫を背負っている理由)を、警察官は信じてくれないのではないかと不安になりました」と明かす。
警察官は「なぜ呼び止めたのか分かると思います」とダニエルさんに話しかけたそうで、「私は笑いながら『はい、ちゃんとすべて説明すると約束しますよ』と答えました。警察官の方々は素晴らしい人たちで、チャレンジの成功を祈ってくれました」とダニエルさんは語っており、無事に警察官の理解を得ることができたという。警察官らは「Currys(イギリスの家電量販店)で購入すると、家まで配達してくれますよ」とジョークを述べ、最後は笑顔で握手を交わして別れたそうだ。
実はダニエルさん、昨年も同様のチャレンジを行ったが、記録更新には至らなかったという。そこで現在のトレーニング内容について尋ねたところ、ダニエルさんはこう語っている。
「トレーニングで最も大変だったのは、25.7キロの重さを背負うことに体を慣らすことでしたね。脚に影響が出ていて、ひどく痛みを感じています。現在は体力をつけることに専念していて、フルマラソンを4時間30分以内で走ることを目標にトレーニングしています。この目標を達成するのは簡単ではないので、トレーニングが報われるのを祈って当日を迎えることになりますね。」
非常に高い目標に向かってトレーニングに打ち込むダニエルさんだが、今回のチャレンジが英国放送協会『BBC』のデジタル版で配信されると、週間閲覧数がトップの記事になったという。そして冷蔵庫を背負ったダニエルさんの姿は瞬く間に話題を呼び、ラジオ局やテレビ局から引っ張りだこになった。
そんなダニエルさんは募金の目標金額を1万ポンド(約187万4800円)に設定し、オンライン募金プラットフォーム「JustGiving」に専用ページを立ち上げており、『BBC』で報じられる前は700ポンド(約13万1200円)が集まっていたが、現在は5700ポンド(約106万8600円)を上回っている。
ダニエルさんは自身のInstagramで、「私の人生は一気に変わりました。皆さんのサポートにずっと感謝し続けます」と綴っている。また、イギリスの朝の情報番組『グッド・モーニング・ブリテン』に出演する可能性もあり、現在は返事待ちだという。
画像は『BBC 2024年1月29日付「Fridge-carrying marathon runner stopped by police」(Daniel Fairbrother)』『Daniel Fairbrother 2024年1月30日付Instagram「What happens when you go viral ?」』『New York Post 2021年8月12日付「Embrace fear: Free climber scales another London skyscraper」(Yui Mok/PA via AP)』『WPEC CBS 12 2022年5月3日付「WATCH: Local lady celebrates turning 100 by skydiving」(WPEC)』『Caleb J. Prewitt 2021年6月13日付Instagram「HE DID IT!!!」』『Jason Clark 2020年2月24日付Instagram「I have never been this close to dying.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)