米フロリダ州の52歳の男性の脳内に、サナダムシの一種「有鉤条虫」の幼虫(嚢虫)が寄生していることが判明し、医師らを驚愕させている。男性は長年、生焼けのベーコンを食べ続けてきたそうで、ここ数か月は激しい片頭痛に悩まされていたという。今月7日付のオンライン医学ジャーナル『アメリカン・ジャーナル・オブ・ケース・リポーツ(American Journal of Case Reports)』に掲載された記事を、米ニュースメディア『New York Post』などが伝えた。
脳への寄生虫感染が判明したのは米フロリダ州オーランドに住む52歳の男性で、慢性の片頭痛に悩まされていた。しかも4か月ほどの間は服用していた薬が効かなくなり、ほぼ毎週のように片頭痛に苦しむようになった。
そして病院でCT検査を行ったところ、医師は男性の脳の両半球が腫れ、複数の嚢胞があることを発見した。感染症専門家らは有鉤条虫の幼虫が脳に寄生し、頭蓋骨下の組織を刺激した結果であることを確認。血清学的検査も行い、診断幼虫(嚢虫)が脳内に達した病態である「神経嚢虫症(Neurocysticercosis、NCC)」との診断を下した。
有鉤条虫とは人の腸に寄生するサナダムシの一種で、汚染された生や加熱不十分の豚肉を食べることで感染する。また感染者は便中に条虫卵を排出して環境を汚染するため、豚が人の糞便と触れる環境や衛生状態の悪い場所での感染が多くなる。
この条虫卵が付いた食品や水を摂取すると「嚢虫症」に感染し、腸内で孵化した幼虫は血流にのって全身の至るところに寄生。これが脳に達して「神経嚢虫症」を発症すると、激しい頭痛、精神状態の変化、てんかん発作や脳浮腫、失明などを起こすことがあり注意が必要となる。
2型糖尿病患者で肥満体型のこの男性は「直近の海外渡航歴はない。カリカリのベーコンよりも生焼けのベーコンが好きで、長年食べていた」と明かしたそうで、医師は「加熱不十分のベーコンを食べ続けてきた習慣が、神経嚢虫症につながった」と推測した。
さらに「自家感染によるもの」と明記し、男性がまず有鉤条虫に感染し、自分で排泄した虫卵が生焼けのベーコンに付着。そのまま経口摂取されたことで嚢虫症を引き起こした可能性を示唆した。
ちなみに男性はその後、病院の集中治療室に入院し、脳の炎症を抑えるためのステロイド系抗炎症薬を一日4回服用し、寄生虫駆除剤を2週間飲み続けたことで嚢胞が消え、片頭痛も改善したという。
なお「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、 米国での神経嚢虫症の感染は非常に珍しいものの、年間で推定1000人が入院を強いられているそうだ。
嚢虫症の予防には、食品や飲料水の十分な加熱、手洗いの徹底などが有効だが、過去にも米マサチューセッツ州の38歳の男性が「神経囊虫症」と診断されて話題となっていた。
画像は『NDTV 「US Man Goes To Hospital With Migraines, Doctors Find Tapeworm In His Brain」(Image credit: American Journal of Case Reports)』『New York Post 「Florida man complains of migraines ― docs find tapeworm in his brain from eating undercooked bacon」、「Worm discovered living in woman’s brain in world’s first case: ‘It’s alive!’」(CDC)』『The New England Journal of Medicine 「Disseminated Cysticercosis」』『Zing 「Sán làm tổ trên não vì thích ăn tiết canh giải nhiệt」(Ảnh: Liputan6)』『AsiaOne 「Worm lived in Chinese man’s brain for 30 years, causing headaches and seizures」(PHOTO:Pearvideo)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
脳への寄生虫感染が判明したのは米フロリダ州オーランドに住む52歳の男性で、慢性の片頭痛に悩まされていた。しかも4か月ほどの間は服用していた薬が効かなくなり、ほぼ毎週のように片頭痛に苦しむようになった。
そして病院でCT検査を行ったところ、医師は男性の脳の両半球が腫れ、複数の嚢胞があることを発見した。感染症専門家らは有鉤条虫の幼虫が脳に寄生し、頭蓋骨下の組織を刺激した結果であることを確認。血清学的検査も行い、診断幼虫(嚢虫)が脳内に達した病態である「神経嚢虫症(Neurocysticercosis、NCC)」との診断を下した。
有鉤条虫とは人の腸に寄生するサナダムシの一種で、汚染された生や加熱不十分の豚肉を食べることで感染する。また感染者は便中に条虫卵を排出して環境を汚染するため、豚が人の糞便と触れる環境や衛生状態の悪い場所での感染が多くなる。
この条虫卵が付いた食品や水を摂取すると「嚢虫症」に感染し、腸内で孵化した幼虫は血流にのって全身の至るところに寄生。これが脳に達して「神経嚢虫症」を発症すると、激しい頭痛、精神状態の変化、てんかん発作や脳浮腫、失明などを起こすことがあり注意が必要となる。
2型糖尿病患者で肥満体型のこの男性は「直近の海外渡航歴はない。カリカリのベーコンよりも生焼けのベーコンが好きで、長年食べていた」と明かしたそうで、医師は「加熱不十分のベーコンを食べ続けてきた習慣が、神経嚢虫症につながった」と推測した。
さらに「自家感染によるもの」と明記し、男性がまず有鉤条虫に感染し、自分で排泄した虫卵が生焼けのベーコンに付着。そのまま経口摂取されたことで嚢虫症を引き起こした可能性を示唆した。
ちなみに男性はその後、病院の集中治療室に入院し、脳の炎症を抑えるためのステロイド系抗炎症薬を一日4回服用し、寄生虫駆除剤を2週間飲み続けたことで嚢胞が消え、片頭痛も改善したという。
なお「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、 米国での神経嚢虫症の感染は非常に珍しいものの、年間で推定1000人が入院を強いられているそうだ。
嚢虫症の予防には、食品や飲料水の十分な加熱、手洗いの徹底などが有効だが、過去にも米マサチューセッツ州の38歳の男性が「神経囊虫症」と診断されて話題となっていた。
画像は『NDTV 「US Man Goes To Hospital With Migraines, Doctors Find Tapeworm In His Brain」(Image credit: American Journal of Case Reports)』『New York Post 「Florida man complains of migraines ― docs find tapeworm in his brain from eating undercooked bacon」、「Worm discovered living in woman’s brain in world’s first case: ‘It’s alive!’」(CDC)』『The New England Journal of Medicine 「Disseminated Cysticercosis」』『Zing 「Sán làm tổ trên não vì thích ăn tiết canh giải nhiệt」(Ảnh: Liputan6)』『AsiaOne 「Worm lived in Chinese man’s brain for 30 years, causing headaches and seizures」(PHOTO:Pearvideo)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)